第97話 こぬひとを まつほのうらの

来ぬ人を 松帆の浦の 夕凪に

焼くや藻塩の 身もこがれつつ


こぬひとを まつほのうらの ゆふなぎに

やくやもしほの みもこがれつつ


権中納言定家


訳)

来ない人を待つ私は松帆の夕凪に焼く藻塩の様に、身も焦がれる思いでいるのです。


超訳)

ああ、いつまで待てばいいの。

私の心は藻塩を採る海藻の様に、じりじり焼かれてているのに。


ちょっと一言)

来た~!藤原定家!え?誰?

・・・最初に書いたっしょ!

小倉百人一首を選んだ人!


でも何で第一首や百首目じゃなくて97首目なんだろうね?

実は百人一首、基本的に発表された順に掲載されてるそうです。


この歌、定家が55歳の時に作った、切ない女心を詠んだ歌。

藻塩は海藻から採取する塩の事。

海藻にたっぷり海水をかけ、天日干しし、焼いて水に溶かし、煮詰めて塩を取り出していた。

いや~、手間のかかる事だ。

風のない夕暮れ、辺りは夕陽に赤く染まる。

じりじりと焼かれる海藻を見つめる女性。

井上陽水の歌に出てきそう・・

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