第75話 ちきりおきし させもかつゆを

契りおきし させもが露を 命にて

あはれ今年の 秋もいぬめり


ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて

あはれことしの あきもいぬめり


藤原基俊


訳)

お約束戴いたありがたい言葉を信じてお待ちしていたのに、今年の秋も虚しく過ぎていきます。


超訳)

ねえ、約束してくださいましたよね!

秋も終わりましたよ!

どうなってるんですか?


ちょっと一言)

この歌の背景。

藤原基俊は名家藤原北家の出身。

家柄は凄いが基俊自身はあまり出世しなかったらしい。

この歌は息子の光覚を出世の約束された大法会の講師にして貰うよう藤原忠通にお願いした後の物だ。


「うちの子をよろしく!」

「いいよ~♪」

・・・・

「約束したよね!どうなってんの!」

って感じ。


基俊が頼んだ際、忠通は

「なほ頼め しめぢが原の させも草

我が世の中に あらむ限りは」

(しめじが原のさせも草よ、頼ってもいいぞ、私がこの世にある限りは。はっはっは)

なんて調子のいい事を言ってる。


させも草とはよもぎの事。

よもぎのつゆの様にありがたい言葉を、命の様に大切に思ってきたのに。と歌っている。


昔も今もやる事はあまり変わらないのかな?

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