第11話 第64区遺跡
第64区に向かう途中、適当な場所で簡易テントを張り休んでいた”ジョン・ウェスト”すき間から入った朝日に照らされ目を覚ました
ジョン「む・・・むぐ。朝か・・・・っよいしょ」
テントから這い出て朝食の用意をする。焚き木に火をつけスチール製のティーカップに革袋から取り出したペミカンを入れ温める
ジョン「勢いに任せて町を出ちまったがどうするかね・・・バーで飲んだ酒がいけなかったかな」
ペミカンの油が溶け出し干し肉とドライフルーツのシチューのような状態になる。温め終わったペミカンを口に運ぶ
ジョン「モグモグ、口当たりはよかったが強い酒だったみたいだなモグ」
ペミカンを食べ終わった後のティーカップにナイフので適当に砕いたコーヒー豆と水を入れ再び火にかける
ジョン「たぶん密造酒だなハーブ系の。瓶になんか書いてあったが何だっけ、アブサントだったか?やっぱ酔ってたのかな俺」
コーヒーが沸いた。飲もう
ジョン「熱っち、フーフー。お前は酔っても顔に出ないから気を付けろってよく言われてたのにゴクゴク」
パイプに火をつけて一服しながら、焚き木に土をかけ火を消し使い終わった食器も乾いた土で洗う。いちいち水を使ってたら飲み水が無くなっちまう
ジョン「ほら起きろ相棒」
馬「ブルゥゥゥ」
馬を起こしてテントを片付けボンサックの中に押し込む
ジョン「馬まで買っちまうとはな。いずれ必要になるだろうからいいけど」
馬「ヒーン」
馬にはもう名前をつけている。俺はその名前を呼び出発した
ジョン「おう、出発するかシルビア」
シルビア「ヒヒン」
地図を頼りに64区までの道を馬で移動する。その途中
ジョン「だいぶ進んできたが・・・・ベンじいさんが言ってた小さいトカゲみたいのってコイツのことだったのかな」
ラプトル達「グルル・・・・」
地下のバーで見たラプトルの群れに囲まれていた
ラプトル1「ギャア」
「バンバン」
ラプトル1「グルゥ」
ショットガンを撃ち先にけん制しライフルを抜く
ジョン「ちっ、弾をもっと買っておくんだった」
ラプトル2「ギァオ」
ジョン「とう!」
後ろから奇襲してきたラプトルを鞍に手を付いた姿勢で両足で蹴り落とす
シルビア「ブルゥ!」
ラプトル2「ッグ!」
蹴ったラプトルが地面に落ちる前に馬も後ろ蹴りを放ち止めを刺した。その間に抜いたライフルで前方のラプトルの群れに発砲
ラプトル3「ギャ」
ラプトル4「ィイン」
ジョン「ハハ、上手いぞシルビア。まずは4匹・・・ってマズッ」
吸っていたパイプから焦げ臭い味がして見てみるとパイプが燃えていた
ジョン「うっ!ぺっ」
咥えていたパイプを吐き捨てる。コーンパイプは燃えやすいとは聞いてたがこんなに勢いよく燃えるものなのか?
ジョン「くそ、何なんだ一体。何か不吉な事の前触れじゃあるまいな」
シルビア「ヒヒン。ブル?」
ジョン「ん?どうした」
「・・・・・・ダダダダダ」
後ろから砂塵を巻き上げながら馬車が突進してくるのが見える
ジョン「なんだ、馬車が暴走してるのか!?」
「・・・・・タンタンタン」
ラプトル達「ガッ。ギャア!」
俺の周りに居たラプトル達が馬車からの射撃でやられていく
ジョン「なんだ助けてくれ・・・」
「ギュン、バッバッ、ギィン」
無数の流れ弾がかすっていく
ジョン「ちょ!待て!!こっちまで蜂巣にする気か!!!」
シルビア「ヒヒ!?」
「タンタンタンタン!」
御者「ウラララララ!」
ラプトル達「ピアァ」
ラプトル達が逃げていき。乱射魔がすぐそこまで迫ってきた
御者「どう!」
馬車馬「ひいん!」
馬車馬が両足を高く上げ勢いよく足を振り下ろす。よく知った顔が乗った馬車は急停止し衝撃で大きな音を鳴らす
「バタン!!!」
アレックス「ふぅ・・・待たせたわね」
ジョン「待ってねぇ!!こっちまで殺す気か!?」
テッド「待てよこのクソコック!」
後ろから馬でテッドも現れた
ジョン「テッドもか、あーえーと・・・まさかお前達も遺跡に行くのか?」
テッド「まっそう言う事だ。ヴァンス組がいる事は知ってんだろ。よろしくな」
ジョン「よろしくって。そんな軽装で大丈夫なのか」
アレックス「小細工が得意みたいだし、真正面からもとからやる気が無いんじゃない?そんな装備で人狩ろうとかマジありえないし」
テッド「お前らがイロイロ持ち過ぎなんだよ。オレにはコイツがある」
テッドがライフルを手に取った
ジョン「長物も持ってたのか。キャトルドライブの時は何で使わなかったんだ」
テッド「猟師をやってたころに使ってた銃なんだが弾がデカすぎてな。50-140弾、コイツで人を撃つと」
葉巻の様な大きさの弾をライフルに込めてテッドが構える
「バァン!」
テッドが物陰に隠れてた何かを撃つと何かの肉が破裂しラプトルがわらわらと逃げていく
「ビチャビチャ」
テッド「ミンチになって誰だか分かんなくなっちまうからな、賞金首には使えねぇ」
ジョン「あのトカゲまだ隠れてたのか」
アレックス「すごいけど見た目は軟そうな銃ね」
テッド「古い型の単発式だが火力以外は無駄が無い良い銃だぜ。シャープな撃ち味だ」
ジョン「そりゃ頼りになりそうだが・・・俺は別に一人でも」
テッド「ほー、そうかい。じゃあオレ達が先に暴れても問題ねえな」
アレックス「ふふん、じゃあお先に」
ジョン「ちょっと待て!俺はこれからその遺跡に人探しをだな」
テッド「そいつの情報を得るためヴァンスを雇ってるトレジャーハンターとコンタクトを取りたいんだろ」
ジョン「そうだ、同業者なら何か聞けるかと」
テッド「だったら平和的な交渉は諦めな。遺跡調査にギャング雇って武器まで与えるヤツなんてまともじゃねぇ」
ジョン「武器?」
アレックス「機銃があるらしいわよー、戦利品が楽しみね。ウフフフフ・・・・」
ジョン「お前はそっちが目的か!?」
テッド「どーするぅー?コイツほどじゃないにしても荒くれ共は新しい玩具にご機嫌だろうなぁ。ノコノコ一人で行ってミンチになるかい?それともコックが料理したミンチから手掛かり探すかい?」
ジョン「くそぅ、冗談じゃないぞ。分かった、分かったよ、一緒に連れてってくれ」
テッド「ハハハ、よろしくな」
アレックス「交渉はすんだなら早く行きましょ。フフ」
ジョン「頭痛くなってきた」
アレックス「コーラ飲む?」
ジョン「一杯くれ・・・・」
どうして、こうもトラブルメーカーばかり集まるんだ俺の周りは
テッド「じゃ、出発しようか野郎ども」
俺達は64区までの道を順調に進んで行った
ジョン「山の中に入っちまうと返ってモンスターが出ないもんだな。不自然なくらいに」
アレックス「んー、なんか変だと思ったらもう出尽くした後みたいね」
テッド「ああ、足跡を消した跡もあるし、よく見れば弾痕もそこらじゅうにある。まったく痕跡を残したいのか隠したいのか・・・」
ジョン「変な所で統率が取れてないよなヴァンス組って」
テッド「止まれ、あそこに転がってるの見えるか」
前をよく見ると遠くで分からなかったが動物が死んでいた。大きい猿のようだが恐らく人と間違われて狙撃され、そのままにされたんだろう
ジョン「見張りがいるのか」
テッド「これ以上道沿いに進むのは危険だな。どっかで回りこむしか・・・」
アレックス「よし、火力で押し切りましょう」
ジョン「却下」
アレックス「馬車を置いて迂回するなんて嫌よ。せっかく買ったのに」
テッド「めんどくせえ・・・ん、ちょっと待ってろ」
テッドが森の中に入って行った。しばらくすると戻ってきて
テッド「オイ、こっちだ。馬車もどうにか行けそうだぞ」
言われるままついて行くと別の道につながっていた。多少デコボコしているが馬車でも問題なく進めそうだ
ジョン「こんな道が有ったのか。地図にはのって無いみたいだが」
テッド「最近出来た獣道だろ。このまま進める所まで進んでみようぜ」
ジョン「獣道って・・・馬車より大きな奴が通ってできた道てっ事だよな!?」
テッド「回りの様子から察するにメガテリウムだろ、草食だから怒らせない限り大丈夫だ、ほら葉っぱを食い散らかした跡が有るだろ」
アレックス「何それ、見てみたいんだけど」
ジョン「この道使って本当に大丈夫なんだろうな」
「パキパキパキ・・・パシン」
不意に頭上の木の葉が無くなり明るくなる、保護色になって分からなかったがそこに7m程の熊のような生き物が居た
ジョン「うわわわ」
テッド「大きな声出すな、無視して先進むぞ」
「ペロン、ペキペキパキ」
その生き物は手の鉤爪で枝を引き寄せ舌で葉を絡めとって食べている
アレックス「んー・・・・」
ジョン「どうしたアレックス?」
アレックス「いえ、このクマ、馬より早く走れると思う?」
テッド「いや、とろいよ。ハンターやってた時はよく相手にしてた」
アレックス「相手にした感想は」
テッド「んーそだな、的がデカい分バッファローより狩り易かったかな」
アレックス「でも私の銃じゃ撃っても怒らせるだけよね」
テッド「だな。オレが持ってる様な大口径の銃じゃないとまぐれでも殺れねぇな。トロくても怒らせると面倒だぞ」
アレックス「面倒ねぇ・・・」
ジョン「お、開けた場所に出られそうだぞ」
テッド「オレが先行して安全を確認する。大人しくしてろよ」
ジョン「頼んだぞー」
オレとアレックスは足を止めて、地図を確認。テッドは隠れながら先に進んでいった
ジョン「ふぅ。さて俺たちの居る場所はどこだろ」
アレックス「多分このへん。あら、もうすぐそこじゃない」
ジョン「地図よむの早いな。軍人仕込みは伊達じゃ、って!アレックス後ろ!」
アレックス「へ?」
メガテリウム「ペロッもぐもぐ」
例のデカい動物が長い舌を馬車に入れ何かを食べている。アレックスは直ぐに馬車の中に入っていった
アレックス「ちょっと何やってんの!・・・ああ!私のジャガイモが、こら!ニンジンにも手を出すんじゃない!」
シルビア「ひんヒン」
ジョン「ニンジンは後でな。今はリンゴで我慢しろ」
シルビアにリンゴをやる
シルビア「シャキ、モグモグ」
アレックス「うわ、この舌すごくネバネバしてる・・・こらちょっ・・・ダメ・・・ふえぇー」
馬車の中で格闘しているアレックスが変な声を出してる内にテッドが戻ってきた
テッド「大丈夫そうだぞ。動物と遊んでないでみんなついて来い」
ジョン「おう、モグモグ」
シルビア「もぐもぐ・・・」
アレックス「あーもう!後で覚えてなさい畜生ども!」
先に行くと遺跡を見下ろせる場所に出る事ができた。俺達は見つからないように伏せて様子をうかがった
テッド「ちぃ・・・30人以上は居るな」
ジョン「幹部連中もそろってるな。奥で誰かと話してるのが依頼主か・・・ここからじゃよく見えん」
ヴァンス「・・・じゃあその手順で。おい、入口の警備は任せるぞ」
キッド「俺もついて行かなくていいのかジェス」
ヴァンス「貴様らを入れると中の物がどうなるか知れたもんじゃない。ここで大人しくしていろ」
カーター「大人しく?ヤダね。せっかくの玩具だ、しっかり遊ばせてもらいますぜダンナ!」
「ドドドドドドドド」
カーターは銃座に固定された機銃で掃射で回りのモンスターを駆逐している
ヴァンス組員1「ヒュー!最高ですぜ兄貴!」
ヴァンス組員2「野郎どもカーターの兄貴に続け!」
「バババババババン!バダダン!バラララン!」
キッド「コラ!帰りに使う弾薬ぐらいとっておけよテメェら!」
ヴァンス組員達「へーい・・・」
キッド「おい!誰か肉食獣が寄ってくる前に死体片付けろ」
ヴァンス組員3「あっしが行きます、援護してくだせえ」
ヴァンス組は10人ほど引き連れて中に入って行こうとしている。外の指揮はキッドとカーターに任せてたようだ
テッド「へへ、キッドは外か。アイツには手を出すなよオレの獲物だ」
アレックス「他の連中をまるごといただいてもいいって事よね。じゃあ遠慮なく」
ジョン「ちょっと待ってくれ。依頼主の発掘屋はどこなんだクソ・・・ん?」
中に入ろうとした団体の中の一人が足を止める
ジョン「あ・・・」
人混みの中から取り残されたそいつはこちらにその目をむけた
ヴァンス「どうした、ジャック」
ジャック「いや、なんでもない。行こう」
ヴァンスと一緒に奴も中に入って行った
ジョン「こっち見た今のヤツ・・・アイツには手を出すな・・・ヤツは俺が殺る」
END
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