第6話 ジェスターヴァンスギャング団

 キャトルドライブの途中、ヴァンス組の襲撃を受けた”ジョン・ウェスト”。ガンマンの1人がカーター・ヒルを捕まえようとするが撃たれてしまう。


カーター「馬もらうぜ」


ジョン「あ、逃げやがった」


カーターが牛の群れの中にに消えていく


テッド「たく油断してんじゃ・・・アレ?」


 ハリーを縛っていた筈のロープがいつの間にかラバに繋いである


キッド「へへ」


「パン」


 ハリーがラバのケツを叩き、ラバが勢い良く走り出す。それに続いてテッドも引きずられていく


キッド「じゃぁなぁ~」


テッド「ヤロォォ」


ジョン「何やってんだ」


 ロープを撃ってテッドを助けてやり、ついでにハリーの足を撃ってやるつもりが


「タン」


テッド「ととっ!サンキュ」


???「さっさと行くぞ」


キッド「おお!迎えに来てくれたのかジェス」


ジョン「アイツは!?」


「ガッガッ」


ジョン「やべ、レバー噛んだ」


キッド「ハハハハ」


テッド「逃げられたか。畜生、脱獄の常習犯って聞いてたから念入りに縛ってやったてのに。ああ!クソクソ!!」


アレックス「抜け駆けした罰よ。やーいヤーイ」


テッド「何でコックがこんなとこいんだよ、ぁあん!」


アレックス「リーダーのヴァンスを狩に、二人とも同じ方向に逃げたからそこに居るはずよ、たぶんね」


ジョン「いや、しっかり居たぞ3人目・・・」


アレックス「見たの!?やりぃー」


テッド「腕が鳴るぜ」


ジョン「銃がイカレちまった、アレックスお前の銃を一丁分けてくれ。俺も行く」


アレックス「は?拾ったヤツなら別にいいけど。牛は?」


ジョン「他のヤツがなんとかする、みんな手際が良い」


テッド「へぇ~珍しくヤル気じゃねぇか」


 銀目のヴァンスって奴の顔を確認しておかないとな、もし奴なら・・・


アレックス「・・・じゃあ行きましょうか」


テッド「ちと待て、オレも乗せろ」


アレックス「イヤよ、荷物で一杯なんだから」


テッド「一体何処からそんな大量の弾薬手に入れたんだ」


アレックス「そこらへんに落ちてるのを集めたの」


テッド「暴発しても知らねぇぞ。てかお前ら足跡読めるのか?デタラメに走っても追いつけねぇぞ」


アレックス「うぅ・・・」


ジョン「はぁ・・・、俺の馬に乗れ」


 テッドを後ろに乗せてやる


アレックス「えー、つれてっちゃうのぉ」


テッド「なんだ、抜け駆けはさせねぇぞ」


アレックス「アンタに言われたくないっての!」


ジョン「おい、ケンカしてないでさっさと行くぞ」


 テッドが足跡を読み先導する。逃げたヴァンス組は・・・


カーター「ハリー乗れ」


キッド「おお、馬持ってきてくれたのか。あんがとよ」


カーター「たくよ、ひどい目にあったぜハハッ」


???「お前等が作戦無視して遊んでるからだ。まったく牛だけを盗ってくればいいものを」


カーター「そうカッカすんなよヴァンスのダンナ」


 ヴァンスが覆面を外し素顔をさらす


ヴァンス「お前たちの役目は賞金稼ぎどもを引き付ける事だ、真面に張り合ってどうする。よりにもよって警戒しろと注意させた3人組に喧嘩を売って。何のために仕事を干された連中をけしかけさせたと思っている」


カーター「皆オレらの為に集まってくれたんだ。相手しなきゃバチ当たるぜ」


キッド「そうそう、祭りは派手にやらないとなイシシシ」


ヴァンス「お前らぁ・・・もう人手が足り無い今日はここまでだ。あっちも事態を収拾するので手一杯のはずだ、このままアジトまで帰るぞ。盗んだ牛はもう移動させている」


カーター「相変わらず手際いいなぁ。さすが大学出」


ヴァンス「大学中退だ」


キッド「あーあ、もっと遊びたかったな」


テッド「ハハッ、ビンゴ!ほらちゃんと先回り出来ただろう!」


 テッドのガイドのおかげで無事に俺達はカーター達に追いつく事ができた


ヴァンス「ん!」


アレックス「はしゃいんでんじゃないわよ便利屋。あんたら忘れ物よ。ドッカーン」


 アレックスがマイトを放り投げる


「バチバチバチッドーン」


ヴァンス「クッ、待ち伏せ!?」


 ヴァンスが馬から落ちた


カーター「ダンナ!」


「タンタンタンタンタン」


 アレックスの弾幕がカーターとハリーが乗る馬を襲う


カーター「よっ」


 鞍からショットガンを抜きそのまま馬の影に隠れながらカーターが発砲。ハリーは何処かに放り出されたようだ


アレックス「あら、とっと」


 散弾が馬に当たりアレックスが馬から落ちる


アレックス「ツゥ~~。やるじゃない、殺りがいがあるわ」


カーター「女の細腕じゃあオレをハイにできないぜ」


アレックス「ハハ、言ってなさい。さぁ、派手に逝ってもらいましょうか!」


キッド「痛てて、あのバカ女!」


 ハリーがアレックスに38口径ダブルアクションリボルバーの照準を合わせる。多くのガンマン達が使ってるシングルアクションの銃を小さくしたような見た目だ


テッド「おっと、お前の相手はこっちだ」


キッド「な!」


 忍び寄ったテッドがハリーを取り押さえようとするが


キッド「ッ」


 ハリーの予備の38口径がテッドに押し当てられる


「タン」


テッド「おおっ熱ち熱ち」


 それを何とかかわしてみせるテッド、だが至近距離から撃たれたため服が少し燃えている


キッド「まったくしつけぇな」


テッド「コケにされたまま帰られるかよ。来い栗鼠ヤロウ」


キッド「誰がリスだこのノッポ!今度は火傷だけじゃすまさないぜ」


 二人共それぞれ獲物に食らいついた。さて俺は・・・


ジョン「銀目!こっち向け」


「タン」


 銀目の帽子を撃ち落す


ヴァンス「ちい!」


「タタタン」


 連射は利くが銃はパーカッションのダブルアクションリボルバー。


ジョン「おまけに金髪か。悪い人違いだわ、ええと・・・ミスターヴァンス?」


ヴァンス「わざわざ人の帽子に穴開けて人違いか、まったく気の利いたジョークだ」


ジョン「いや本気だ」


ヴァンス「は?」


ジョン「マジで」


ヴァンス「まったくどいつもこいつも、人違いならさっさと帰ってくれないか。銃の腕はあまり良く無くてね、弾が真直ぐ飛ばなくてね」


ジョン「俺も似たようなもんだ。え~と盗んだ牛はどこへやった、教えてくれたら見逃してもいいぞ」


ヴァンス「こっちも商売だ、わたせないね」


ジョン「そうか、二人をおいて帰るわけにもいかないし・・・ついでだ、相手してもらうぞ」


「タンタン」


 できるだけ急所をはずして撃ったが岩影に隠れられ防がれてしまう


ヴァンス「あ~ぁ、まったく。風は無し、標的までの距離と・・・」


 ブツブツ言いながらヴァンスが岩に隠れながらあらぬ方向に銃口を向け発砲する


ジョン「ん?」


「タンタンタン」


 発砲した銃弾が岩に跳ね返りこっちに飛んできた


「ビュン」


ジョン「おお!あぶねぇ」


ヴァンス「ちっ、まだ練習が必要だな」


ジョン「ヤロウ、銃は苦手じゃなかったのか!」


ヴァンス「銃弾を真直ぐ飛ばすのはな。ビリヤードには自信があってね。この弾には鉄の芯を入れてある、硬いものに当たると綺麗に跳ね返るんだ。なかなか面白いだろう」


ジョン「まったく、勘弁してくれよ」


 散弾を撒き散らしながら次の岩場まで走る


「バンバン」


「キュン、キュン」


「ブン、ブン」


ジョン「ちっ、四方八方からハエみてぇにブンブン、ブンブンと鬱陶しい」


 ヴァンスが二丁拳銃で跳弾をバラ撒く命中率が低いのが唯一の救いか


ジョン(あの辺りから足音がしたが何処だ)


 ライフルを肩に担ぎナイフをストックのケツごと握る。これでナイフを鏡の代わりにして顔を出さずに後ろ向きのまま狙らえる


ジョン「さぁ顔を出せ」

 

 岩陰で何か動いた


ジョン「そこ!」


「タン」


ヴァンス「ちぃ」


 手応えは有ったがそのまま走り抜けていった


ジョン「チャンス!」


 ヤツ自ら近くの岩場まで来てくれた。撃たれて焦ったか間抜け


「ビュンビュンビュンビュンビュンビュン」


 勢い良く跳弾が飛んで来るが構わず突進し目潰しの入った袋を投げ撃ち落とす。これで隙が出来るはずだ


ヴァンス「なに!」


ジョン「銃を捨てろ」


ヴァンス「・・・ああ」


 ヴァンスに銃を突きつけると大人しく銃を捨てた、左手の銃を俺の足元に投げ続いてもう一丁


「タン」


 捨てると思いきや先に捨てた銃の丈夫なシリンダー部分に向け引き金を引いた


ジョン「ぐっ」


 跳弾が俺の腹に命中した。銃口が下を向いていたので油断した


ヴァンス「フッ!」


 俺は銃を掴まれると同時に傷口を殴られ地面に倒れた


ジョン「こんにゃろう!」


「バンバン」


 意識が途切れそうになったのを耐えてショットガンを撃つが。そこにヴァンスはいなかった


ヴァンス「なかなかやるじゃないか。子供騙しだが色々と面白い芸をもってる」


 まだ近くにいる・・・痛みで感覚が鈍る・・・どこだ


ジョン「クソ・・・ワザと懐に誘い込んだな・・・目潰しは・」


ヴァンス「あんな物、少し目を瞑って息を止めていればいいだけだ。お前、それなりに場数を踏んでるようだが自分と同格以上の相手と戦った事がないだろう?」


ジョン「うっ」


ヴァンス「だから相手が墓穴を掘ったと見るや疑いもしないで突っ込んで勢いで押し切ろうとする。悪くないがそれを活かす技量がお前には足りない。まぁ少し仕事こなせば身につくだろうが」


ジョン「?・・・がっ!」


 横から現れたヴァンスが銃を持った腕を踏みつけこちらを見下ろす


ヴァンス「私と来ないかキミの腕なら十分やっていける、盗み、騙し、殺し、色々な」


ジョン「お断りだ」


ヴァンス「そうか残念だよ」


 ヴァンスが俺に銃を向けたが俺は構わず口笛を吹いた


ジョン「ヒュウ」


「タタタタ!」


ヴァンス「まだ居たのか!」


「タンタン」


 ヴァンスが馬に向かって発泡するが馬上には誰も乗っていない


馬「ヒヒィーン」


ジョン「フン!」


ヴァンス「ちぃ!お前!クソ居ない」


 足を払いのけ俺は岩の裏に隠れた。すぐに見つかるかもしれないがアイツが来たら来たでナイフで応戦するまで。ホントなら他の二人が援護に来てくれると助かるのだが


「タンタンタンタン」


カーター「クソ、マジでしつけぇ女だ。てか弾いくつ持ってやがる」


アレックス「さぁ観念しなさい!ウララララ!」


「キン!キン!」


キッド「おら、さっさと倒れなノッポ・・・今度はどこ切ってほしい」


テッド「そっちこそ、もう出血でフラフラじゃねぇか・・・ええ?おい」


 アレックスは乱射しながらカーターを追い回し、デッドとハリーは弾が切れたのかナイフで格闘中。助けは期待できそうに無い


牛泥棒「ダンナがた無事ですかい!」


アレックス「チィ、新手!」


「タンタンタンタン」


ヴァンス「ハリー、カーター!引くぞ。レディ・・・・」


カーター「げっ」


キッド「待て待て!」


ヴァンス「GO」


「キュンキュンキュンキュンキュンキュン」


 ヴァンスが二人の間に跳弾を放ちその隙にカーターとハリーが逃げていく


アレックス「わわわ!」


テッド「とっとぉ!」


カーター「クソ、お楽しみは無しだ嬢ちゃん」


キッド「カァァ、体中痛え!」


ヴァンス「走れ走れ走れ!」


アレックス「まてーコラー!」


テッド「引くぞ・・・分が悪い」


ジョン「クソ情けねぇ。ヒューッ!」


 口笛で馬を呼びどうにか乗る事ができた


ジョン「おい!みんなこっち来い」


アレックス「あらジョン、馬もまだ生き・・・って、後ろ後ろ」


ジョン「っ!アレックス頼む!」


 牛泥棒の投げたマイトが迫ってきた来たのでアレックスの所まで逃げる


「バァァァン」


アレックス「ウラララ」


牛泥棒共「死ねオラ」


「タンタンタンタンタン」


ジョン「早く乗れ」


アレックス「少しは戦ってよ」


テッド「よし、さっさと逃げるぞ。もうそろそろ限界だ・・・」


ジョン「げ、いつの間に!?」


 テッドが馬の首にもたれかかっていた。アレックスも後ろに乗ってきた


アレックス「そんな事より囲まれるわよ、早く」


「タンタンタン」


 そう言いながらアレックスは牛泥棒に応戦する。


ジョン「おう」


 馬を走らせるが重すぎてスピードが出ない


テッド「うう、オラ」


「グサ」


馬「ヒィィ」


 テッドが馬を刺してスピードを上げた


ジョン「テメェ、ライトニングを刺すな!可哀想に」


アレックス「あんた借り物の馬に名前つけてたの・・・」


テッド「揺らすな落ちる!」


「タンタンタン」


 銃声のなかキャンプまで走り続けた。こんな事じゃもしアイツに会ったとしても敵を取るどころか俺は・・・・


END

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