物事とは常に良くない方向へ向かう

「グェッ‼︎」


女の子を引っこ抜いた勢いで、尻餅をついて倒れてしまったエト。



その勢いで地面に後頭部を打ち付け、軽い脳しんとうを起こしてしまっている。



(抜け……た?)



だがその心中は、安堵と、そして困惑の入り混じっている不思議な感じだ。



女の子は?無事なのか?


女の子の無事を確認するため、口を開いて声を出そうとするが、


「ングング……」


(………は?)



そこで、自分が喋れないことに気づく。


頭は星が飛んでいるし、体中痺れて感覚が狂っているため、どうも、今は喋ることも難しいらしい。


と、尻餅をついた勢いで目を閉じてしまっていたエトは、目を開いて周囲を確認



……しようとしたが、



(なんだ?……暗い?……それにこれは、何か顔が……重い?)


目を開いても、視界は真っ暗。


ただでさえ、パチパチする視界のせいで余計見にくくなっているし、思考がうまく働かない今、何が視界を塞いでいるのかを理解することすらできずにいる。


さらに、頭を持ち上げようと力を入れるが、重たくて持ち上がらない。


(何か……乗っている?)


そこで、


かろうじてエトは、自分の顔に何か重いものが乗っていて、それが自分の口と視界を塞いでいるのではと、思い始めた。


「あっ……んん……」



エトが、必死に状況を理解しようとしている中、何やら気持ち良さげな女の子の声がエトの耳に入る。



(……これは、まさか)


そこで、ようやく意識が回復してきたエトは、ある結論を導き出す。


(今、上に乗っているものは……まさか)




――――ムニュ


「あん‼︎」


あの女の子か‼︎


手で掴んだものの感触と、それに対する女の子の反応から確信を得た。



「ダメ‼︎それ以上は‼︎」


何やら興奮気味に声を上げる女の子。


(……あー、そういえば……)


そこであることを思い出したエト。


女の子がいま、自分の上でどんな体勢でいるのか、だとしたら、今自分の顔に乗っているのはどの部分になるのか、


そこまで思考が追いついた時、この後の展開が容易に想像できた。


そして、


「あっ……あ〜……」


チョロロロ……


断末魔と共に、女の子のダムが決壊した。


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