救(チュウ‼︎)出作戦

「……とりあえず引っ張るぞ?手を伸ばして力を抜いてくれるか?」




まずは、無難に彼女の手を引っ張り、前から引っこ抜く作戦にしたエト。


「はい、お願いします」


女の子は、申し訳なさそうに手を伸ばし、エトがその手を掴むのを待つ。


「…………っ⁉︎⁉︎〜〜〜〜っっっ(///)」


だが、


手を掴むどころか、女の子から目をそらしてしまうエト。


その顔は湯気でも立ちそうなほどに真っ赤になっている。



「な……何か?」


そんなエトの様子を見ていた女の子は、不安げにエトに問う。


「いや……その……」


純粋な瞳を向けて問いかける女の子に対し、しどろもどろな返事を返すエト。


「胸が……な?」


ちょいちょい、


と、手を伸ばしたことで完全に無防備になった、女の子のあの部分を指差す。


相変わらず視線は向けずに。


「胸……ですか?」


女の子は、相変わらずキョトンとした様子で、エトが指差す先、自分の胸を見る。


「これは……胸……?」


女の子は、自分の胸を見るなり少し困ったような表情をした後、恐る恐るそれに手を伸ばし、


ふよんふよん……



と自らの手でそれをゆすり、首を傾げた。


「そうだよ‼︎……おっぱいだよ‼︎」


何言ってるんだこいつは‼︎

と勢いでつっこむエト。


つっこんだはいいが、


「……〜〜しまえ……ないよな……」


自分で口に出した言葉に顔を赤くする。


(こいつに羞恥心はないのか⁉︎)


少なくとも今、自分が裸でいることに気がついたはずだが、


それを隠す気もなく、恥じる気配もなさそうにも見続ける女の子を前に、内心荒れ狂うエト。


だが、表はあくまで冷静を装おうと努力する。


「これは……触るとわかったのですが、なんだか不思議な感覚がしますね……」


そんなエトを尻目に、自分の胸を触りながら、謎の発言を繰り返す女の子。


「なんというか……むずがゆいような……でもやめられないようなクセになる、不思議な感覚……」


女の子は自分の胸を堪能するように感想を述べながら揉みしだく。


心なしか、女の子の体は赤く火照り、息も荒くなり始める。


「やーめーなーさい‼︎それ以上はアウトだから‼︎」


胸を触った感想とか聞いてないから‼︎と、慌てて女の子の発言を止めに入るエト。


ちなみに今は、女の子自身の手によって胸が隠されているため、普通に女の子の方を見て話せている。


……エトはシャイボーイなのだ。


「はい……」


だらん……


とまた女の子は自分の胸を惜しむように手を離した。


「キャッ‼︎」


女の子みたいな悲鳴をあげて慌てて両手で顔を覆うエト。


……また振り出しに戻った。



「……じゃあこうしましょう」


しかしそこで、エトが気にしていることに気付いてか、まさかの女の子の方から提案をする。



「私の手の届くところまで来て手を出して下さい。私があなたの手を掴みます」


「よしそれでいこう」


シュッ‼︎バッ‼︎


と、一瞬のうちに片膝ついて両手を出したエト。


「はい、お願いします」


若干引きながらも、返事と共についに女の子はエトの手を掴んだ。


もちろんエトは目をしっかり閉じている。


「……よし、引っ張るぞ‼︎深呼吸だ。せーの‼︎」


ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥ〜。





「……ダメ……みたいですね」


「ああ、すまん……」


やはり、骨盤が引っかかって少しも前に進めなかった。



「なら、戻れないのか?ここまで入ったのだから抜けそうだが……」


当然といえば当然の質問をするエト。



「……はい、実は一人の時に何度か試したのですが……」


と、女の子は腰を引き、自分の上半身を引き抜こうとする。


すると、



ふにょん……。




女の子の豊かな胸が見事に柵に引っかかり、それ以上抜けなくなっていることを物語る。


「……おおぅ…………」


……なんだかな。



嬉しいような嬉しくないような……見てはいけないものを見てしまった。


とばかりに、エトは完全に脱力した。

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