こん……じゃなかった、チュウ‼︎ばんわ

女の子は、まだ頭が覚醒しきっていないようでボーっととした表情でエト顔を見る。


「……お……はよう?」


恐る恐る声をかけるエト。


「…………⁇」


キョトンと首を傾げる女の子。


「……あれ?言葉通じない?」



その様子を見て、こちらの言葉が通じていないと思ったエトは困惑する。


どうやって説明するんだ?自分は無害だと、今から助けるから暴れたり叫んだりしないでくれと。


「……おい?分かるか?僕が言ってること」


祈りにも聞こえる言い方で、女の子に話しかけ続ける。


「……ぁ…………」


すると、女の子はわずかに口を開き、何かを話そうとし始めた。


だが、どういう訳か、自分の声を聞いた瞬間、女の子はハッとしたように目を見開いて、自分の喉を抑えて困惑し始める。



「……おい、どうした?」


こっちも一杯一杯なのに、その原因に困られたらこっちはお手上げだぞと、まずは女の子を落ち着かせようと仕方なしにそばまで歩み寄り、両肩を掴んで目を合わせる。


「……わた……し……」


まだ少し上ずった声ではあるが、なんとか落ち着きを取り戻しつつある女の子が、ゆっくりと話し始める。


「わたし……話せてる?」


女の子の言っているかことの意味は分からないが、ありのままを伝えることはできる、


「ああ‼︎話しているぞ‼︎だから説明してくれ‼︎どうしてこんなところでこんなことになっているのかを」


またパニックになられても困るので、彼女が冷静な内に状況の説明をさせることにした。


「わたし……きのう、優しい人にお礼しようとして……挟まって進めなくなって……」




「あっ……」


女の子がせっかく話し始めたのに、エトは1つ大事なことを思い出した。


そのせいで後の話が全く耳に入ってこない。


彼女は今、全裸でうちの玄関に挟まっているのだった。


「だから……わたしは……」


「よし‼︎」



「えっ⁉︎」


突然立ち上がったエトに驚く女の子。


「まずはそれ、なんとかしようか、話はそのあと、うちでゆっくり聞かせてもらうよ」


この場をなんとかしようと必死なエト。


口が滑ってさっきボツにした案が浮上しているが、気にはなっていないようだ。


「……はい」


そんなエトの様子を見て女の子が気を使ったように返事をする。


こうして、


全裸の女の子を眺めること約10分。


ようやく救出作戦が始まった。


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