第32話引き払い

 寮に戻って来た俺達は、早速荷作りを…俺荷物無いわ。


 エリス達は、家具をアイテムボックス(冒険者の通常装備らしい)に蔵っている。アイテムボックスあるんだ…まあ

 入る数に制限があるらしいが。


 大和の2人は、俺の部屋の前で待機中。で、俺は部屋の中で荷物が無いことに気付いたとこ。


 パタン


「終わりましたか?」


 光が真っ先に聞いてきた。


「いや、荷物が無い…」


「大変⁉︎盗まれたのですか⁉︎」


 あ、言い方間違えたか…


「あー、違う。俺荷物持って無かった」


「それは、一切持っていないと…」


 OH…


「いや、自分で創った異空間に放り込んで、一回も出して無いだけ」


「…そういえば、まだあなたの能力を見せて貰って無いのですが…」


 夜月が会話に入って来た。


「あ、忘れてた。まあ、今度で良いだろ」


「…それ、何年後ですか?」


「わかったよ。今日気が向いたらな」


「…それ、何年後ですか?」


「…今日中に、披露させて頂きます」


 そう言うと、夜月は満足そうな顔をして何も言わなくなった。


「じゃあエリス行くぞ」


 廊下で話していた俺達を気遣ってか、曲がり角で待っていたエリスに声をかけた。


「はい…何でわかったんですか?」


「ん?師匠に気配察知の方法を教えて貰ったからな。半径10m位なら大体わかる。5m以内なら確実だな」


 師匠は30m位行けたが…


「師匠?とは誰ですか?」


「んー。俺の武術の師匠ってとこかな」


「そうですか…」


「取り敢えず移動しようぜ」


 ✳︎


 ……取り敢えず西門の前迄来た。この後ラステリカに行く予定だからだ。退学になったので、予定を繰り上げてエリスの親父の説得だ。


『転移すれば良いじゃん』と思った奴。俺が考えて無いとでも思ったか。アンジェに聞いたら、魔法学校に張られている結界のせいで転移不可能らしい。


 という事で門迄来たのだが…。


「…なあ、何で開いてないんだ?」


 そう、出て行けと言っておきながら、門を開けないという低レベルなイジメに引っかかっていた。

「開きっぱなしだと魔物が流れ込んだりするからでしょう」


「…なあ、アンジェ。ずっと気になってたんだが…その紙何だ?」


「この門の開け方が書かれた紙だ。先程校長から渡された」


「早く言えよ…で、どうやって開けるんだ?」


「『20秒で元に戻るから破壊しろ』と」


「《ホワイトファイヤーボール》」


 それを聞いた瞬間に白炎球が門を溶かした。やったの俺だが…


「お前は…何してるんだ…」


「あ?破壊しただけだけど?」


「馬鹿者‼︎コレは破壊じゃなくて溶解だ‼︎」


「別に同じだろ?」


「…この門にかかった魔法は《破片修復》だ。破片がなければ修復されない‼︎見ろ‼︎門の中心だけ修復してないだろう」


 ……


「と、とっとと行こうぜ」


 そう言って門を潜る。


 ……………


「アンジェ」


「ああ、《ワープ》…アレ?」


 あっ?やっぱり?門潜った瞬間に、目の前に軍勢が見えたから嫌な予感したんだけど。


『聞け‼︎我らは大陸間盗賊連合である‼︎サイトという者はいるか‼︎』


 うっわ。名指しとか…嫌な予感しかしねぇ…

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