第33話両陣営の様子

「最人は俺だけど…」


そう答えたが返事はない。だって彼我の距離大体500m位あるもん。相手は拡声器でも持ってるのかな?


「なあ、拡声器って知ってる?」


新種扱いされている奴隷2人は知らないだろうから取り敢えずアンジェに聞く。


「お前…プロポーズ迄したのだからそこはエリス様にふるべきだろう?」


「えっ?」


「ん?」「「「え?」」」


え?何言ってんの?


「何で俺がプロポーズした事になってるの?告白はしたけどプロポーズはしてないよ?」


「?お前エリス様を『国から連れ出す』とか馬鹿な事を言っていたではないか?コレはもうプロポーズだろう」


「は?いや、俺は目的の為に一国に縛られたくないから、エリスを国から剥がしたいだけで、身分差とかは考えてないぞ。まあ、あの国王は嫌いだが…」


「そうです…こいつはこういう奴なんです…私に初めて会った時もプロポーズしてそのまま放置とか…女の子は相手の事を好きか嫌いかに関わらず告白自体は嬉しいんです。なのにこいつは…」


夜月が独り言で爆弾投下しやがった‼︎


「ほう…」


アンジェが殺気を放って来た!最人は怯えた。


「そ、そんな事よりアレどうにかしない?」


そう言って俺は前に並ぶ軍勢を指指した。


✳︎


一方、最人の指差した先…ムカデの本陣(馬車)


「おい!どうなってるんだ!奴等何も言って来ないぞ!」


馬車の護衛の男…ではなく幹部の男が声をあげた。この馬車を中心として軍を展開している。


「《エコー》が使えねーだけじゃねぇか?」


別の幹部がそう言うが男は苛立った声で叫ぶ。


「幾ら末端とはいえ、1人で盗賊団のアジトを潰したんだ。少なくともDランクと見積もった方が良い…そしてそのDランクが《エコー》使え無いわけないだろうが!」


大層ご立腹の様だ。


「報告します!男と女達が互いに距離をとりました!」


馬車の屋根…ではなく馬車の上…屋根の上に取り付けられた見張り櫓から偵察していた兵が叫ぶ。


「は?何で距離をとるんだ?女共が男を見捨てたか?」


「何やら言い争いをしている様です!」


ここで今迄黙っていた3人目の幹部が口を開いた。


「もう少し待とう…奴等が仲間割れしてから攻撃した方が効率が良い…」


こうして、ムカデは戦闘準備に入った。







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