第21話文化の保護は大事だよ

 さて、いろいろあったが、このままでは1時間目が終わり兼ねないので、先生に目で合図を送る。先生は首を傾げたが理解した様で口を開く。


「はい。ここまで。とりあえずモブはいつもの通り反省文だ。後で職員室に取りに来い」


「何故ですか‼︎俺だけが悪い訳では無いでしょう‼︎」


 一応先生には敬語使うんだな…こいつ。


「先に仕掛けたのはお前だろう?他の奴等も異論は無いな?」


「はい。異論では無く疑問ですが…何故この3人は今日編入なのですか?」


 赤茶色の髪が目立つ女の子が手を挙げた。


「それは編入届けが昨日提出されたらしい。私もよく知らない」


 …適当だなこの人。


「それでも始業式は一週間前だったんですから、その時に入れば良かったんじゃないですか?」


 本当、その時入りたかったよ。俺も…


「いや、それ私に言われても知らないし。気になるなら本人達に後で聞け」


 …普通に面倒いのだが。


「さて、もういいか?では3人とも編入おめでとう。私はエルナ・セレーナこのクラスの担任だ。お前達の席は…。空いてるとこ座っとけ。次は移動教室だから、次の放課にな」


 そう言うと先生と生徒達が廊下に出て行く。俺達も続く。


 ✳︎


 校舎を出て15分ほど歩いた。


 軍隊の行進の様に2列にきっちりと。


 これは、魔法学校の教育の一環で、卒業生が軍隊に入ってもいいように今から訓練するのだそうだ。


 そのためか、全員無言。


 …俺には、歩いている最中は誰とも喋れない呪いでもかかっているのだろうか?


 そんなこんなで、着いた場所は『神社』


「…ピクシー」


 小声で呼び掛ける。


『はい。丁度こちらも話したい事が…』


「そんなことはどうでもいい。それより何故この世界に神社がある?」


 …そう。普通、神社なんて無いハズなんだ。


 アレは日本特有の木造建築のハズだ。


「そんなこと…。いえ…まぁ、…それは若干神の趣味を持ち込んだと言いますか…、強い要望の文化を地球からコピーした。ではダメですか?」


(まあ、主にロキと一部の神の我儘ですが…)


「…異世界観が壊れるから2度とやるな」


「…実は日本もコピーされてるんだな〜。これが」


「…口調を変えて誤魔化そうとしたが、今さらりと『やらかしました』って言ったよな?」


「そんなことより、私は必要無さそうなので、天界に戻ることになりました。それでは、さようなら〜」


 そう言いながら消えるピクシー。


 ………………。


 …逃げたな。


 さて愚痴を言っても解決はしない。


 俺は目の前に立つ先生と、その後ろにある神社に注目した。


「それでは授業を開始する」

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