第17話謝罪→弁論(言い訳)→反省
「えー、これより一時時間を停止致しまして、緊急謝罪会見を行います」
ピクシーがそう言ってこちらを向く。俺の目の前には水晶玉があり、これがテレビカメラと同じような役割をするらしい。
「さあ、サイトさんどうぞ」
こうなったのは10分程前の事だ。朝食が出来たので、アンジェがエリスを起こしに行ったのを見計らって、ピクシーが話しかけてきた。
「あのー、サイトさん。今度は貴方宛に苦情が来てるのですが…」
?俺何かやっちゃいけない事しただろうか?まあ国境を勝手に越えたりはしたけど…
「えーと、どういう内容?」
「貴方の描写が不鮮明かつ分かりずらい、子供に聞かせるのが難しいと…」
「子供⁉︎子供いるの⁉︎てか、描写って何⁉︎」
「失礼な。神様にも子供はいますよ」
し、知らなかった…
「そ、それで描写って?」
「我々は神の力で貴方の模倣人格…、つまりAIの様な物を作り、貴方が感じたものを描写させていたのですが、それが下手過ぎて苦情が…」
「いや、AIの責任を俺にとらせるなよ‼︎」
「とりあえず謝罪会見しますね。あっ、時間は止めるので心おきなく言い訳して下さい」
「無視‼︎からの言い訳‼︎」
という事があり今に至る。
っていうかこれ、俺に非なんかなくね⁉︎どうしろと⁉︎
そして始まった謝罪会見。
まず一つ目は「何故描写が不鮮明なのですか?」だ。
んなもん知るか‼︎と答えたいが、神にそんな事言ったら消されそうなので真面目に答える。
「その件に関してはAIが悪いと思うんですが…」
そう言いかけて、ふと気付く。
「あるとするならば、恐らく神々から贈られた一般常識ですね」
「神々からの贈り物を愚弄する気か⁉︎」
いや、あんた誰だよ⁉︎贈り物を愚弄って何だよ⁉︎「水晶から来る質問に答えろ」って言われたけど本当誰だよ⁉︎
「いえ、そういう事ではなくて、使い勝手が悪いんですよ。例えばエリスと再会した時。本来の俺ならもっと描写出来たと思うんですが、彼女の着ているドレスを見た瞬間にその素材と抜い方、解き方やドレスに合うアクセサリーなどが頭に入って来るんですよ‼︎寮の扉を見た時、樹齢と木の種類と内装をどうするかが流れ込んで来たんですよ‼︎そんな中顔色を変えずにいる俺の方が凄いよ‼︎周りなんか見れねえよ‼︎ハアハア…」
少し話し過ぎた。水晶の向こうの奴は黙り込んでいるので俺は満足だ。
「えー、質問が無い様なのでこれで会見を終わります」
反省しろよ
「じゃあサイトさん。時間戻しますね」
こうして俺は不満を抱きながらももとの時間に戻る。
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