電子遭難/5
光が消えたと思った瞬間に、体が戻ったように感じた。
ヘルメットを外して、周りを見る。
「全員無事だよな!」
最初に正詠がヘルメットを外し、僕を見て頷いた。それに続いて日代、遥香も無事のようだった。
「みんなの相棒は?」
遥香が言うと、彼らの周りから相棒が現れた。
「テラス! テラス出てこい!」
思わず叫んでいた。
「テラス!」
ふよりとテラスは現れた。しかし、いつもの元気がない。
「大丈夫か!」
ぴこん。
テラスが表示されたディスプレイには『疲れた』と表示されていた。
「こいつ……」
安堵のため息をつくと、みんながいつの間にか周りに集まっていた。
「今回はテラスに助けられたな……」
正詠も僕と同じようにため息をついた。
「うんうん。テラス、良くやったよ!」
遥香は能天気な笑顔を浮かべ、リリィはテラスの頭を撫でている。
そして、全員が同時に深く息を吐いた。
「一体何だったんだ、あれ……」
筐体から降りてそう漏らしたが、みんな答えることはなかった。
「とりあえずさっさと戻るぞ」
日代が切り替えるようにそんなことを口にしたが、時既に遅し。
僕ら以外いないはずなのに、地下演習場のドアが開いた。そこからは生徒指導の先生と、僕らの担任、そして校長先生が現れた。
「何をしている!」
生徒指導の先生が、荒々しく声をあげる。
「いやぁ……ははは。こりゃあヤバイっすね」
僕らは、もう何度目かもわからないため息をついた。
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