99.易
焦燥がその場を支配していた。
【
聖書にも謳われた災厄そのものである
「
「放出された
「多摩川沿いを最終防衛ラインとします! なんとしても
【
無論、それを珍しいことだなどと思える余裕は、その部屋には無い。
「現在是政橋へとヘリで急行中! 到着次第是政橋から河口までの間に対【
「
「【
「対
「周囲に溢れかえっている
「
「警察、消防共に民間人の避難誘導で手一杯です! こちらに人員を回す余裕はとても──」
「ここで止めなければ首都圏が丸々蟲の餌食と化すと伝えなさい! そうなれば被害推定は今の数倍にも及びます! 【
「元より湘南にて任務に当たっていた
「各隊には言わずもがなではありますが、くれぐれも単独行動は慎むようにと言明してください。この状況において貴重な戦力たちを無駄に損耗するわけにはいきません。…………それぞれの指揮系統はいつ脱落しても問題ないように引き継ぎは終わらせておくように。以上です。…………念造には出撃準備を命じておいてください。
私も──
□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇
◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□
「──今頃
そんな台詞と共に主要陣地内へと建設された大型テントの中へと入ってきたのは、
「ようやく来たかよ、
「開口一番嫌味かぁ? 真夏の暑さでついに脳ミソがわいたかよ?
「相変わらず、仲良しさんですね、お二人共。今日も今日とて、微笑ましくて、何よりです」
「「どこ見て言ってんだよお前は」」
ちなみに
「これで【
「これだけバカデカい
霊に倣って手元のタブレット端末に目を通す
黒い塊と化した
「死神というよりもはや怪獣だからねぇアレは。一体どうしろと言うのやら」
「どうしろもなにも、それを思いつくのがあんたの仕事だろ。
「おやおや、随分と買い被ってくれているのかねぇ?
「こっちも悪趣味な
「はは、酷い言われようだねぇ。まあ事実故否定も出来ないが。だが、頼みの綱とするなら私などよりも他にいるだろう? そこの、我ら【死対局】が誇る最強戦力たる彼女がね」
「………………」
その言葉を向けられた当人──
「…………おい
「いえ。ちゃんと、聞いてはいますよ。聞いては」
「聞いてるなら尚更だ。反応ぐらい見せろ…………で、何見てんだソレ」
「んー…………イメージトレーニング、です。【
その言葉で、隊長一同の間に僅かな驚きが奔る。
あの桁違いというのも憚れるような大災相手に、既に静かに、具体的な闘志を向けていたその事実に。
「──やれやれ。自分の凡庸さを痛感させられるな」
「右に同じだねぇ」
「は。お前らの根性が足りないだけだろ」
男衆がそれを受けて笑う。感覚が狂う程の規模の敵──そう、敵と向かい合う。結局自分達のやることなどそれしかないのだと。
「…………私としては、だ。
「………………」
「
眉を顰めた
その顔は、一変もしない無表情のままで。
「…………特に。私に、言われても、って感じですね。父母の、仕事については、私は、ノータッチですので。知りたければ、父母に、訊ねて下されば」
「墓の下でかい?」
「そうなりますかね」
「つまり届かぬ問いというワケだ──いや、案外早く訊けそうかね? この先を思えば、すぐさまあの世で逢えてもなんら不思議はない」
「んな後ろ向きなこと言ったってなんもならねえだろ──んで
「最前線──とまではいかないが、【
「はは。それはそれは耳が痛い──呑気に座ってるのが恥ずかしくなってくるねぇ」
「あんたは監獄内で【
言いながら
そこに映し出されていたのは──
「──いやこれ『シ■・ゴジラ』じゃねえかよ!!」
「あ痛」
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