60.UUU
「──くそっ。おい、離せ
「…………やれやれ、過保護ねー。あんな間隙に
由比ヶ浜海岸から少しだけ離れた鎌倉海浜公園にまで
「
「だぁからー。そういう信頼は相手に見えてるところで表さないとダメなんだってば。シャイでへそまがりなんだからもう。
「うるっせぇっての。…………そろそろ聞かせろ。お前、この湘南で何を企んでる」
冷ややかな目で見据えながら
対する
「ネタバレなんて無粋な事はしないよー。今は一先ず二人の闘いを温かい目で眺めようじゃないの。ぷーはんだってそうそう捨てたものじゃないからさー」
「あーそうかい…………ふん、どうせ観客は俺たちだけでもないんだろうがな」
「ま、そりゃそうでしょうね。
「? あの子って、どの──」
そう
「…………」
ゆっくりと振り返り、
黒白の髪を湛えるその幼い少女を見て。
「……………ル、イ」
その声を受けて。
●◉●◉●◉●◉●◉●◉●◉●◉
◉●◉●◉●◉●◉●◉●◉●◉●
「随分と派手にやってくれたものだねぇ…………既存のデータでは【
こちらも海岸からある程度離れた場所。
【
「いやそんな感心してる場合じゃないですって。被害ヤバすぎですって洒落になってないですって」
焦燥を隠そうともせずそう語る青年は同じく
「民間人を案じる君の気持ちは立派なものだがね、
「相変わらず人間に興味無いよねー
「君も大概だと思うがね、
「うーん、それ皮肉? まあ確かに僕もそんに民間人とかは気にしないけど」
そういって笑うのは、まだ少年というべき年頃ながら
弱冠十四歳で隊長の座に登り詰めた天才児、という触れ込みでその名は局内に知れ渡っている。
「【
「止めたまえよ
ベロリ、と
◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○
○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎○◎
「…………出遅れた、かな? 【
「…………そうですか」
「ホッ…………巻き込まれなくてよかったぁー」
「やれやれ、
【
【
「まあ、この
「
「さて、ね。やってみなくちゃ、どうとも言えないね」
そんな
「…………いやはや、現代は
「失敬なー!
「人外かどうかはともかくとして、君が人でなしなのは間違いないだろう、
「………………ウヒ」
「うんうん、そこはちゃんと否定せずにいる程度のギリギリの分別はある
少女達のそんなやり取りを尻目に、
「呑気な女子会、結構な事ですけどねぇ。この先湘南で何が起こるかわかったもんじゃないんです。もちっとだけでも緊張感持った方が良いんじゃないですかねぇ?」
「
「うーん膠もしゃしゃりもない」
いつもの自らの隊長の辛辣な言葉に呻きながら、
それに一瞥もくれることなく
「久しぶりに会えるかな…………
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夏の陽射しを厭うかのように。
闇の中で跳梁する狩人が、独り。
「相っ変わらずミヤコちゃんは人気者だね~♡ みんなの視線を一人占めっ! 悪いコだなぁもう…………あひゃ♪」
ザクッザク。
肉が裂ける音。
「ああ"っアアあア"ア"ア"アぁぁぁァ!!!!」
「しかーし、敵もさる者引っ掻く者。なかなかどうして油断ならないみたいじゃん? 格下だからって甘く見ちゃ一杯食わされちゃうよねー。ねー? …………おい、話題振ってんだから答えろや。お前だよお前」
ギチチチッ、ブチィ。
肉が千切れる音。
「はばっ、あ"ー! あー! アア"ーあっー!!!!」
「人語を喋れーーー。喉と肺は
「もう止めてぇ! 知ってることは全部話したって言ってるでしょ! それ以上傷つける必要なんてない!!」
そう叫んだのは、少し離れた位置で縛られている女性。純白の隊服に身を包んでいる。
そして、死神に──【
彼は
殺してくれと懇願する程の──しかし苦痛で意識を手放すまではいかない紙一重の線で、である。
「知ってるよー。てか話聞いてた? 別にオレ尋問してるワケじゃないって。世間話世間話。気軽な話題を振っただけなのに、それすらもシカトするんだもんなぁ。会話に幅のない男は一緒に居てもつまんないよお姉さん。今のうちに乗り換えるのをオススメするね。つーかそもそも情報とかはもう
「なっ、なら…………どこにこんな事する必要があるのよ!」
「ないね、どこにも。いちいちやること成すことに必要性なんて必要ないでしょ。遊び心を大事にしてこーぜ」
一切の迷いなくその言葉は【
それを聞いた
「貴女は…………なんなのよ」
それは恐怖や怒りからではなく、純粋な疑問。
「どうしてこんな事が出来るの…………何故平気で、他人の命を踏みにじれるの」
「え、
そしてその回答もまた、この上なく純粋な代物であった。
「趣味だよ、趣味。ホビー。心当たりが無いとは言わせないよ、共感できないとは言わせないよ。みんな好きでしょ。
「………………」
「わかってくれたぁ? うんうん、オレにとっても今回はなかなか大舞台になっちゃいそうだし、モチベとテンションageてきたいんだよねー。強いていうならそういう意味があるね、これには」
ズボォ、ドチュドチャ。
「ふびゃアあアアアああーーーー!!!!」
【
「死が二人を
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大海嘯が轟き、海岸一帯が波に呑み込まれていく。
其処にいた人々も、建物も、全て。
哀れな犠牲者達は皆、水底へと沈んでゆき──日の目を見ることなく【
「さて、これで決まってくれりゃあ楽なんだが…………まあそう易々と事は運んじゃくれねぇわな」
海上に立つ
彼のその呟きに呼応するかのように、眼前にて大きな水柱が立つ。
「──だああっせええええええい!!!!」
怒声と共にその水飛沫の中から飛び出してきたのは、考えるまでもない。
【
そして彼女が乗っているのは──
「…………水上自転車!? そういうのもアリか…………!」
幅広で大きな車輪を駆り、水上を疾駆しながらに
「やってくれたな三下ぁ! リゾートを何だと思ってんだ無粋野郎!」
「そいつは失敬、形振り構ってる余裕は無いもんでね…………!」
互いの意気は充分。
湘南の海で死神二騎がぶつかり合う。
「轢き飛ばす!!!!」
「ロッカーん中にブチこんでやる」
果たして。
湘南における此度の一大祭典。
その号砲となる一戦が、祭りの参加者達の視線を一心に集め、今始まる。
一先ず。
【
対。
【
いざ尋常に──開戦。
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