40.颱
──第一施設、
舞台壇上に座すのは
観客席にて向かい合うは最高位──
そして。
その狭間に身を置くのは──
「「【
その死神は、純白の学生服、俗に言う白ランに身を包む少年の姿をしていた。
血のように赤い瞳は何処とも言えない中空を見据えている。
ただ、その背後には巨大な鎌を持つ死の影が、虚ろに幽かに漂っていた。
「…………やっっってらんないなぁもう。ってことはどーせ【
「確かに。これで我らも軽々には動けなくなったワケだが…………さて、どう出る気かな、【
「………………」
白衣の死神は口を開かない。
静かにその場で佇むばかり。
「…………あい、つ。ってことは…………もしかして…………あの子、も」
硬直する
しかし。
「逸るな
「…………は、い。ししょー」
弟子を諌めるのは、師である
しかし突如としてこの戦況に投げ込まれた【
その膠着状態はどれだけ続いたのか。
数秒か、数分か──或いは刹那の刻だったのかも知れない。
なんにせよ、最初に沈黙を破り動き出したのは──狭間に立つ白き死神だった。
【
「…………ちぇっ。やっぱ狙いはあたしらか」
「二対一に臆する事もなしか…………無謀、というワケでもないだろう。さて──どう来る? 【
睨み合う死神達。
だが、視線を交わし合うのはほんの一瞬。
先手を切ったのは──
「
「は?」
「な、に?」
【
両者の口から間の抜けた声が思わず溢れる。
「
「えっ、は? ちょっ」
「いや、貴様、何を」
止まる気配など微塵も無く。
白き死神は葬送の祝詞を紡ぎ続ける。
「
【
朧気だった死の
黒々しき鎌を手に取った純白の刈り手がくっきりとその輪郭を顕し──その刃を振りかぶる。
「や、あ、はいぃ? う、そおおぉぉッ!?」
「いやちょっ待」
そこまで。
狼狽する獲物に躊躇するほど、白衣の死神は慈悲深くもなければ暇人でもなかった。
かくして刃は振るわれる。
人も
「──【
迸る白き閃光、その数は二つ。
白き巨影が放った斬撃をまともに受ければ、耐えられるものなどいる筈もない。
故に。
それを目前にした二人に。
──出し惜しみする猶予など、ある筈も無かったワケだ。
「──【
「っっっ、【
再びの白光がホールを埋め尽くす。
「くっ…………!」
「きゃっ…………!?」
その閃光と轟音、衝撃に怯む
やがて刹那の空白が終わり、視界が開けると──
「…………チッ、やっぱ初手必殺は決まらないもんか」
と、億劫そうな【
その【
「くううううぅぅぅぅ、き、読めないにも程があんでしょこのろくでなしがあっっっ!! なぁに初手からいきなり最大火力ぶっぱしてんの順序ってもんがあんでしょ闘いにもさぁ!」
「く、ぉ…………やって、くれるな【
【
【
共に健在。
【
【
そして、それぞれその様相は一変している──
【
だが、異様なのはその隣──【
まず目に入ってくるのは巨大な縄で編まれた両腕だった。それを交差させ【
そして【
が、その有り様ながらも苦しむ様子は一切見せないまま、【
「真なる死神の権能、その担い手──とか言ってたっけね、【
「勘弁してくれ。あのクソ女に好き勝手噂話を吹聴されてると思うと胸糞が悪くなる」
毒吐く【
そこで一旦【
「…………またお前か、
「こっちの台詞だよ、行く先行く先現れやがって。合縁奇縁と言うには随分と業の深い因縁だ」
「止めろ。鳥肌が立つ。お互い金輪際会うのは御免だろうに──それと…………」
チラリ、と。
【
「………………」
「………………」
視線は交錯し──しかし、言葉を交わす事はない。
今、語るべき事はない。
両者はそう判断し──実際それは極めて正しいだろう。
この
【
「なんにせよ、ぐちゃぐちゃと呑気に言葉を交わす猶予はないな──おい、梟共、半分くれてやる」
「…………は?」
【
「
「んな──何勝手なコト抜かしてやがんだテメェ」
「嫌か? 断るか? なら俺は構わん。このまま三つ巴の乱戦スタートだな。まぁ九割九分九厘、
何気無い口調で、さらりと【
「………………」
「…………隊長、どうするんですか」
「ししょー…………」
が、戦局は彼らが迷いを断つまで動かず待ってくれはしない。
「随分と…………舐めた発言をしてくれる。
「さあな。…………果たして舐めてるのはどっちなのか。それがわかるのは勝負が決した時だけだ」
微かな苛立ちを見せる【
た瞬間には【
「──な」
「さて、次の幕を開くとしよう。──せいぜい跳ねろ白兎、皮を剥がされたくないのならな」
そのまま【
「──【
更なる葬送の唄が紡がれ──白光がホールごと【
「──っ! 【
閃光が収まった頃には、最早【
「
ポッカリと天井に空いた大穴。それを目指す【
だが。
それを彼らがみすみす見逃す筈もない。
「──【
冥き
ピッ。
と、その頬を小さく裂いた。
「──あー畜生気に食わん。結局あいつの描いた絵図にまんまと乗せられるのは全くもって気に入らねぇ、が」
と、
「そうも言ってられる状況じゃあ、ねえっすよね」
と、
「五対一です。
と、
「ぶっっっった斬ります」
と、
そして──
『始めますよ、みんな』
戦局を何処かから俯瞰しながら。
「──やはり、舐められているようだな。私は」
それに相対する
しかし、超越者に相応しいだけの気迫を確かに放ちながら。
砂塵舞う玉座に座す死神は、その業を容赦なく解放する。
「枯れて滅びろ」
巻き起こる砂塵嵐。
先頭で対峙する
「
その、真の
「
──第一施設
──【
──開戦。
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△△△△△△△△△△△△△△△△
「──ったく、分断するにしたって荒っぽいなぁもう」
「まぁそう言うな。お前クラスを相手に手を抜けるほど自惚れちゃいない」
施設屋上。
戦場を移した二人の
「しかし、二対一を嫌ったのはわかるけど、
「……俺は同じ事を二度言うのは嫌いなんだが。勝負は終わって初めて結果がわかる。ガキでも知ってるぞ」
「はいはい、すみませんでしたー。ま、時間稼ぎと割りきったのならアリかもね…………で、一対一であたしと
「まあな…………初手での【
「はっ。スカウターみたいなノリであんなもんぶっぱなされちゃたまんないっての。それじゃあ──とっとと始めよう。あんたを吊るして【
ザワザワザワ。ザワザワザワ。
まるで蛇の大群のように、周囲に絞首の荒縄が押し寄せてくる。
「──【縊死】の【
「わかってんじゃん。その素っ首、あたしの縄で絞り折ったげる──よっと!!」
夥しい数の縄が襲いかかり。
【
──
──【
──開戦。
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