5.OL
「よう。待ったぞ、
「──!!」
自分を視認するや否やスタスタと歩み寄りながら声をかけてきた純白の少年を前にフリーズ寸前にまで追いやられながらも、なんとか意識を保ちつつ、亰は返答しようとする。
「え、えっとあなっ、あなったっは、その、ええとえとえとあの──」
「日本語を喋ってくれ…………いや、まあいい、取り敢えず場所を移そう。どこか二人きりになれる、邪魔の入らない場所へ──」
「ファーーーーーーーーっ!! なっなっな、なななななな、なな、ななな、ななに言ってって、ててっていってんですかあなった!」
いきなり小さくもない声でペラペラと誤解を招きそうな事を述べる少年を怒声で制する亰。
が。
「え、ウッソでしょ…………よりによって
「いや、確かに素材は悪くないと思うよ。日頃の行いで帳消しになってるけど」
「マジでー? あのイケメンと? あのウスボンヤリな都雅っちが? うわーないわー、やってらんないわー。ワカレロワカレロワカレロワカレロ…………」
「いやいやいやいや、ほら、まだ親戚とかの可能性が…………」
──などと好き勝手に騒ぎ立てるギャラリー達。
「いや、あー、もう、何なんですかぁいきなり!」
「……いや、いきなりか? 昨晩お前の家まで送っていった時にお袋さんに伝言頼んだ筈だが……聞いてなかったか?」
「うきゃーーーー! だだだからなぜにそういかにも誤解を招きそうな事をぉ!!」
白衣の少年の言葉を遮るように悲鳴を上げる亰だったが、もう遅い。
「──えー、何? ご家族公認? うっわー、カンペキですわー。こりゃもうカップルですわー」
「てゆーか昨晩って、まさか? まさかまさかまさか? あーやだやだ、お熱いですねーお二人サン~~~」
「ちーがーうー!!ああああああもう何が何やら…………何がどうなってこうなった…………」
──と、頭を抱えていた所に、背後から肩を掴まれる。
ミシリ、と音がした気がした。
「ウフ、ウフフフフフフフフフッフフ。どぉおおおゆーーーー事かっなぁぁぁぁ? ミーヤーコー?」
「………………む、結っ」
振り向くと、そこには絶対零度の笑顔を浮かべる親友が居た。
「いや、その、これは、あの」
「んんんんふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。いや、いんだよー? ミヤコが男作ろうが何しようがねー? ワタシの知らぬ所でイケメン捕まえてようが、なぁぁぁぁんも問題ないんダヨー?」
金髪を逆立てながら語る親友から発せられる感情は、最早殺意しか感じとれなかった。
「ちょちょちょちょちょちょちょ待って! 結むすびムスビ、マイフレンド! 話せば解る離せば判る!」
「ええい口答えするな言い訳は見苦しいぞ! 親友をほっぽいて大人の階段を抜き足差し足するような人でなしにかける慈悲は無し! ぜっこー! ぜっこーだぁー!!」
「儚い! 女の友情って儚い!! フレンドシップストップ安!!」
男子のような低俗な会話を交わす少女二人を前に、少年は頭を掻く。
「あー…………もういいか?」
「よくないです! 全然全くちっともよかぁないのです! アナタ何者ですかミヤコとはどういうご関係ですか! きっちりかっちり説明してもらわない限りは断じてここを通しませんからねぇ!!」
と、校門の前で仁王立ちする結。
「…………先輩だよ。急ぎの用事があってだな」
「先輩って何の先輩ですかね? ワタシ十年近くこの子と付き合いがありますが、アナタとは初対面ですよね? ですよねっ!?」
あからさまに面倒くさそうな態度で答える少年と、ここぞとばかりにツッコミを入れる結。
「…………まあいいか」
ため息を一つ。
その直後に少年は──片腕で亰を抱き寄せた。
「……………………」
「……………………」
静寂。
「はわわわわわわわわわわわわわ!!??」
「んななななななななななななな!!!!」
少年の腕の中で顔を紅潮させながら慌てふためく亰と、それをみて憤慨する結。
「みみみみみみ亰にににににゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにをしてんのよこのセクハラ男ーーーー!! ええい離れなさい放しなさいアンタみたいなチャラ男なんぞに亰はやらんぞこの──」
と、詰め寄ろうとした目の前で。少年とその少年の腕に抱かれた亰の。
周囲の空間が──ベロンと剥がれた。
ように、見えた。
「…………は?」
次の瞬間には。
結の視界から少年と亰の姿は──跡形もなくかき消えていたのだった。
「いや──どこにっ。嘘でしょ何よこれ。ちょっ、みんな今の見た!?」
振り返り、周囲の生徒達に訊ねてみる結。
だが。
「…………今のって、何?」
「いや、だから! あの真っ白男とミヤコが消えちゃうトコ!!」
「え…………? 何言ってんの結? 誰も居なかったじゃん」
「…………は?」
「ていうかさ」
クラスメイトの内の一人が、真顔で言った。
「ミヤコって──誰?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「──やっぱこっちは静かでいいな」
「あ、こ、ここ、は──昨日、見えた」
そこにあったのは──色彩が裏返ったような、奇怪な光景。
場所は変わらない。亰の通う中学、その校門前だ。
だが、明らかに違う。
まず、結を含めた他の人間たちの姿が朧気に歪んでいる──見回しても、まともな姿として映るのは少年と亰の二人きり。
なにより、この視界を満たす、毒々しい色合いに染まった町並みは──形はいつもと変わらない筈なのに、亰には奇妙な異界にしか思えなくなっていた。
「
言いながら少年は亰の手を引いて歩き出す。
「いや、その、あの、ですね! ちょ、手! 手てて手て──」
「離してまたぞろ偏在ズレでも起こされたら手間だ。しばらく我慢しろ」
「し、しばらくって──」
「梟共を撒くまでだ。十中八九もう監視がついてるからな」
「──っ。監視っ、て」
「…………ハッ」
鼻で嗤い、少年は亰に視線を遣る。
「ああもド派手に殺っといて──足がつかないと思ってたのか」
ビクり。と亰の躯が震える。
「や、殺っといて、って──」
「殺ってただろ。
「………………」
脳裏に浮かぶ──血に濡れた光景。
掌に甦る──肉を裂き、骨を断った、あの感触。
そして何より。
それらを体験しながら、これっぽっちも何とも思わなかった──自分自身。
それらの記憶は──けして、単なる悪夢などではなかったのだ。
「自分が人間をやめたのは、もう気づいてるだろ?」
本当に、なんでもなさそうな気の抜けた口調で、少年は言う。
気を遣っているつもりなのか──はたまた本当になんとも思っていないのか。
「…………石仮面を被った覚えはないですが」
「現在進行形で被ってるさ。仮面じゃなくて着ぐるみだけどな」
「…………着ぐるみ、って」
ギュウ、と亰が手を握り締める。
「どこまで自覚してる?」
「…………あたし、が。あたしは…………ひょっとして…………というか、多分、きっと…………」
ブツブツと言葉を溢す亰。
その姿は恐怖に怯えている──というよりは。
深い諦観を湛えているようだった。
「もう──死んじゃって、るん、ですよ、ね?」
「ああ」
即答だった。
「………………」
「………………」
しばらく沈黙の中を歩く。
が、静寂さえも耐え難かったのか、亰から口を開いた。
「一人だけ生き残った…………だなんて、確かに、虫のいい考え方、でしたか」
「ああ。アレの範囲内にいる人間は全員死ぬ」
「五年前みたく──ですか?」
「……………………」
その言葉を受けて。
一瞬、少年の動きが目に見えて止まった。
「…………勘はいいらしいな。その通りだ」
「…………目の前で、見てたので」
五年前、そして昨日。
同じものを少女はみた。
虐殺、ではなく。殺戮、でもなく。
ただただ、目前で巻き起こる──死を。
「名前」
「ん?」
「あなたの名前、まだ訊いてませんでした。あなたはあたしの名前を知ってるみたいですけど」
少年の背中へと、亰はそう問いかけた。
「名前、ねぇ……梟や同類からは【
「そういうのじゃないヤツです。あるんですよね?」
「ある、と言っていいのかね。まあ両親に貰った名前という意味なら、確かにあったが」
「それでいいです。教えて下さい」
「………………」
ふ、と一息つき。
少年は名乗った。
「
「しう、みね?」
「
「
何度かその名を口ずさむ亰。
「なんとなく言いづらいんでセンパイって呼びますね」
「訊いといてそれかよ」
呆れ顔で言う錆をみて、亰はフフ、とようやく笑みを溢した。
「訊きたい事はいくらでもあるだろ──言ってみろよ。教えられる範囲で、教えてやる」
「はい…………ちょっと待ってくださいね。んー……んん~~…………」
しばらく思案に耽り、そして亰は訊ねる。
今現在自らを取り巻くこの状況における、核心であろうその言葉について。
「──
「………………」
「
亰はまっすぐに錆の眼を見つめ、訊ねた。
「そのまんまだよ。死神だ。俺も──お前もな」
「死、神、ですかぁ…………死神、死神ねぇ…………」
「ピンとこない…………って顔だな」
「ええ、はい、まあ、そうですね。まったくもってピンと来ません。ピンとは来ませんが──」
一拍置き。
亰は言った。
「──しっくりは、来ました。来ちゃいました」
「そうか」
錆の言葉はどこまでもそっけない。
そっけないがしかし。
ぞんざいだとは、亰は感じないのだった。
「じゃあ、その死神サマらしいあたしををぬっ殺そうとしてきたあの白い人達って何者ですか? センパイは梟だとか呼んでるみたいですが」
「あいつらは
「えぇ…………ただの人間って、あれがですかぁ?」
怪訝な顔を浮かべて訝る亰。
それも当然だろう。あの妙ちきりんな格好をした連中を『ただの人間』と評するものはそういまい。
「俺に言わせれば、な。まあ敢えて特別扱いするなら──死を克服しようとする、人間だ」
「はぁ? 死を克服って…………え、不老不死でも目指してるんですか? マジに石仮面ですか?」
目を丸くする亰だったが、錆は気にせず説明を続ける。
「この場合の死っていうのは
錆は酷く煩わしそうな口調で、そのおどけたような喩えを吐き出した。
「…………あー、はいはい。なんとなくわかりました。本当になんとなくですけど」
ハァ、と今度は憂鬱そうなため息をつく亰。
「ってことはあれですか。
「魂、ねぇ…………人間にそんなもんあんのかね。まあ
「死なせる、ですか。殺すのではなく死なせる…………」
「あの性悪女の言葉を借りるなら、だがな」
ケッ、と錆は不愉快げに吐き捨てた。
「性悪女、って、もしかしてあの──」
「あ"ー、その話はまた今度だ。今はもっと根本的な話をしよう。…………死なせるって言葉からなんとなく察せられるかもだが、
「自浄…………?」
「今世界人口何人ぐらいか知ってるな?」
「へ?」
唐突過ぎる質問に面食らいつつ、亰は律儀に返答する。
「い、いきなり世界ですか。えーっと、七十億人ぐらいでしたっけ?」
「もう十年しない内に八十億いくらしいな──どう思う?」
「え、どう思うと言われても…………いや、多いなぁーって」
「多くなると、どうなる?」
「え、どうなるって、そりゃ──」
「まあ滅びるわな。人類が、つーか地球が」
「…………はぁ。まあ」
いきなり規模が大きくなった話に気後れしながら、亰は適当な相槌をうつ。
「宇宙船地球号、なんて言葉があるが、まあその言葉でいうならとっくのとうに定員オーバーで沈没しかけてるワケだ。この星は」
「そして船が沈めば──結果的に乗組員全員が死んじゃうワケですね。つまり
「口減らし、らしいな」
面倒臭そうな口調で、吐き捨てるかのように錆は言った。
口減らしの為の間引き。
随分と夢のないその表現に、亰はなんとも言いがたい気分を抱えた。
「集合無意識ってあるだろ?」
「えーっと…………SFとかで出てくるヤツですか。人間はみんな無意識のウチに繋がってるとかいう」
脳裏に微かに浮かんでいるあやふやな記憶を、どうにか亰は口にする。
「ああ。一人一人、個人個人での人間の意識ってのは要は島みたいなもんで──
「つまり集合無意識から──
全くもって現実みのない突飛なその話に、亰はなんとかかんとかついていこうとする。
「この世界──
「人間の認識内の世界、ですか…………」
人の生きる世界は──人の作った、人の中にあるモノでしかない。
人が見て、人が聞いて、人が感じて、その結果象られる、心象偶像。
それが、この死色の世界らしかった。
「ああ。あと言っとくが、今は俺が完全に引きずり込んでるから他の人間もよく見えないが──個々人のものとは視点が少しズレてるってだけでここも実在する世界には違いないんだ。物を壊せば向こうでも壊れるし、生き物を死なせりゃ向こうでも死ぬぞ」
「完全に、引きずり込む…………?」
「あー、その辺の話はややこしいからまた今度だ。で、俺たちがそうであるように、
ポツリと錆はそう呟いた。
独り言のように。
……他人事のように。
「…………着ぐるみ、ですか」
「殻って言ってもいいけどな」
「
ボソリ、と亰もまた呟いた。
「ま、そんなワケで
「…………なるほど、そうやって人間が抵抗しているから人口増加が止まらないワケですね」
「いや…………まあ根本的に
「えー…………」
「そもそも
「あー、そいえばそうでしたか…………」
あまり思い返したくない記憶が亰の脳裏を掠める。
「ま、お前が
「そ、そうですか…………いや、そう言われても、なんて反応すればいいのかわかんないんですけども」
「そりゃそうか。ま、豆知識は確かにこの辺にしとくとして──まだ訊きたい事はあるのか?」
ピタリ、と足を止める。
目前にあったのは、何の変哲もない素朴なマンション。
…………亰の家がある場所だった。
「取り敢えず、なんとなく現状は理解しました…………けど、あたしにとって大事なのは現状じゃなくて──これからの事、ですよね」
「ああ。お前の生きていた世界は──もう、亡い」
どこまでも無感動に。
錆は言う。
「だから大事なのは──つまりこれからどんな世界で生きていくかってことだ」
「…………生きてるんですかね?
「………………」
しばらくの沈黙を挟み。
呟くような声で、錆は言った。
「そりゃあ、ものを考えて、言葉を喋れるなら──生きてるんじゃねえの」
その言葉には。
言葉以上の意味が籠っているように、亰には聞こえた。
「…………そう、ですか。うん。そうかもですね。それじゃあ一先ず──
「………………」
「喋れるし、生きてるんなら、家族と話します。後の事は、そこから考えますよ」
「ふーん。そうか。じゃ、またな」
そう言うと錆はようやく、亰と繋いでいた手を離した。
直後──世界の色が元に戻る。
人類全ての共有する巨大な
くるり、と身を翻して。拍子抜けするほどあっさりと。錆は去っていこうとする。
「え、ちょ、その、いいんですか?」
「いいのかって何がだ」
咄嗟に引き留める亰の声に、振り返りもしないで錆は応えた。
「いや、その…………センパイ、昨日あたしを助けてくれて、今日こうして、色々教えてくれたじゃないですか」
「ああ」
「つまりこう、なんかあたしに、やらせたいこととか、欲しいものとか、その、見返りを求めるというか、何しらの目的があったんじゃないかと…………」
「ねぇよ。自意識過剰だなお前。お前を助ける理由なんざ、安っぽい同情と薄っぺらい偽善としょうもない気紛れで充分だろ」
「うわーー容赦ない」
バッサリと切り捨てられた亰は、クスリ、とまた笑みを浮かべる。
彼とはほんの少し言葉を交わしただけだけど。
それでも察せられた。
彼は今、嘘を言ってはいなかったが──同時に本当の事も言っていない事ぐらいは。
「まあ、それはまたの機会に、ってことでいいんですかね。それじゃ、センパイ──」
ペコリ、と頭を下げて。
「昨日、命を助けてくれて──今日、色々教えてくれて──ホントにホントに、ありがとうございました。このご恩は忘れません」
「いらねえよ、さっさと忘れろ」
「嫌です。絶対絶対忘れません!」
ニコリ、と笑顔を一つ咲かせて。
少女は家へと帰っていった。
「…………
その背を見ながら、錆は呟いた。
酷く、虚しそうな表情を浮かべて。
「死神に、家なんてない──その先にあるのはただの
都雅亰の家じゃ、ねえんだよ。
誰にも届かない声で、そう死神は吐き捨てた。
▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
「しかし…………なんて言えばいいんだろう」
家の玄関の前で、亰は立ち尽くしていた。
「死神になったらしいです──なんて言ったら笑われますよ。ええ」
弟が聞いたらまたぞろ白い目線を投げかけられるに決まっている──小学六年になった弟は最近やけに姉への態度がキツい気がする。反抗期なのだろうか。嘆かわしい事だ。
無口な父は、きっと何も言わない。何も言わないが、自己啓発本でも押し付けてくるかもしれない。読書嫌いな亰に昔から本を薦めてくるのだ。
そして、母は。
お節介で、口煩くて、料理が上手い、あの母は──
ガチャリ。
とドアが開いて、中から母が出てきた──また料理の材料を買い忘れたのだろうか。
「あ──お母さん。あのね、あのね──」
なんと言おうか。
なにか言わなければ。
だってあたしは。
まだ、生きているのだから──
「…………どちら様ですか?」
「…………え?」
「何かごよう?
「………………」
声が、出ない。
思考が、回らない。
ゆらゆらと陽炎のように歪み出した視界の中で、表札に目をやると。
そこに。
亰の、名前は
ナカッタ。
『お前の生きていた世界は──もう亡い』
その言葉の意味を。
本トうハ。
ちャンと理かイしテ異たのデは──ナかっただロウか。
「あ、ああ、あ、あああああ──」
「ちょ、どうかしましたか?」
まるで他人のように。
まさに別人のように。
接してくる。
母の。
胸から。
──刃が生えてきた。
「え?」
その声は亰のものか──母のものか。
その深紅の刃には、まるで血が通い、脈打っているかのようで──
ドクン。
と音がした。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
その音が響く度に。
母の身体から──血の気が、失せていく。
母の身体が──萎んでいく。
数秒後。
母は母ではなくなっていた。
ペラペラでパサパサな、別のナニカになっていた。
「…………お」
お母さん、と呼ぶのは踏みとどまった。
呼んではならない。
呼べるわけがない。
この。
母と認識して──たまるものか。
「お、おかえりなさーい」
干物から刃が。
気の抜ける声が響く。
「や、待っとったで」
玄関に立っていたのは。
深紅の鎌を持ち、真紅の髪を靡かせた──見知らぬ少女だった。
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