生徒倶楽部。その3

この小さい教室に誰か入ってきた。

「失礼する」

この人、夜孔は初めて見たようだが、女の子は知っている

ような目で見ている。入ってきたのは男の人、勿論制服を

着ているが、風格が違う。

「先輩!」

女の子が親しんだ声で言うものだから、今入ってきた男が

先輩なのは間違いないと夜孔は確信した。なんだい、その男

は先輩の他の何者だと言うのだい。

「おっと、その隣の男の子は誰かな?可愛らしい後輩が

連れてくる男の子だ。新入部員の他は無いな」

「勿論ですよ先輩!新入部員の他はありません!」

堂々した口調の女の子、確実に先輩という人の話し

にノっている。どんどん進んでいく話に夜孔は、つ

いていくのに集中した。

「えっと、ここは部室なんですね。何をしている

部活なんですあ?」

「ん?その説明まだだったな新入部員君」

「いや、まだ入るなんて決めてませんよ自分」

そこは落ち着いていた夜孔。まるで波に立ち向かう

魚のよう。だが、魚は魚で生きることで精一杯。でも

夜孔は人間なのだから、生きること以外でも精一杯。

例えば今のこの状況みたいな。

「んー、まぁまぁとりあえずこの部活の説明だけでも

させてくれ」

とりあえずノリに任せて夜孔を入部させようとした先輩。

それをなんらく失敗に終わらせかけられた。ノリに任せ

たら結構危ないな先輩。

「まぁ、説明だけなら」

夜孔は説明だけならいいって言うけど、実際他に入る部活

が無いのは事実。実際、この訳のわからない部活に引き込まれる

ビジョンが頭の中で浮かんでくる。これは、運命という定めのように

感じている。これから起こることの不安感が、夜孔に付きまとうのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

懍とする鈴 緋想艦 @hisoukan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ