第5話 父の場合

 父は自分がルールブックだと思い込んでいる。思い込みも激しい。気に入らないことは脅して怒鳴りつけて解決する。そして、何でも自分の思い通りになると信じて疑わない。

 五歳の子供にハンダ付けを手伝わせ、子供の指を焦がした挙げ句、火傷が痛くて持っていた部品を放したわたしを怒鳴りつける神経の持ち主である。ちなみに、怪我をさせた事は未だに謝っていない。

 高校受験の時は受験料と入学金を出し渋り、血気公立しか受けられなかった。それなりに勉強していたが、そのせいで受験する学校のレベルを落とさざるを得なくなった。さらに、高校卒業後の進路は受験料だけで勝手に学校まで決められてしまった。何でも思い通りにしないと気が済まないのは分かっていたが、わたしの人生まで勝手に決めてしまった。一生根に持つだろう。他にも言い出したらキリがないが、こんな実父は困ることしかない。

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