第6話 妊娠出産産後クライシス

 結婚後すぐに妊娠し、流産した。極々初期の流産で、誰のせいでもない。たまたま受精卵が不出来でそれ以上成長できなかっただけである。(だからって納得はできないけれど)そんなことは医学的にもわかりきっていることなのに、両親はひたすらわたしを攻め続けた。

 手術が必要で、一週間ほど養生のために実家に帰っていたのだが、全く気が休まることはなかった。辛いのはわたしだ。ただでさえ辛いのに、更に精神的に追い込まれた。母もわたしを生む前に何度も流産していたと聞いている。なのに、わたしを追い詰めることの無意味さや残酷さを、何も感じなかったのか疑問だ。実の親でもアテにならないなと痛感した出来事だった。


 また妊娠できたが、切迫流産と診断された。一度入院して、引っ越しを控えていたために退院しても家に帰れず、実家で寝泊まりすることになった。結局そのまま移動できず出産まで実家にいた。最初の一週間で嫌になった。次の一週間で再入院が決まったが、父の顔を見なくて済むことに心底救われた気がした。退院後はまた、とんでもない発言に心底呆れかえる毎日が待っていたのだが。

 季節が変わり体系が変わり、着る物がないから買い物に行きたくて車で送って欲しいと頼んだら自分が面倒くさいからと拒否して怒鳴りつけられたり(その時はまだ切迫じゃなかった)何かにつけていちいちケチをつけられ喧嘩を売られ、気に入らないことがあると理由をでっち上げてでも追い出そうとする。しかもその時産

後1ヶ月くらいで。(授乳を妨害してでも生まれた子供を触りたがるので、わたしが怒った。ことがきっかけだった。)頼んだことはやらない。やっても散々怒鳴りつけてなかなか動かない。やっとしたらどんな小さなことでも恩に着せる。でも、自分のしたいことはわたしが断っても押し付ける。何より切迫で寝てなくてはいけないのに家事をさせたがる。殺す気か!

意地でも絶対何もしなかった。

 そのくせ、自分の老後の介護を、わたしの妊娠と産後の世話を引き換えに無理やり約束をさせようと躍起になっていた。わたしが生活費を払おうとしたのを一方的に受け取らなかったくせに、その生活費を払わなかった事を引き合いに介護の約束を強要。それは約束ではない。強迫と言う。

 うっかり介護なんぞしてしまったら、次は虐待をでっち上げられるのではないかと危惧している。弟を頼ってもらいたいものだ。


 そこまでされて相当なストレス。なのに母は自分の身を守ることしか考えていない。もちろんわたしを庇う気はない。流産したときも散々わたしのせいだと言い続けた人たちは流石言うことが違う。

 心身ともに健やかな生活なんてとても無理だった。イライラしながらすごして、我が子は大丈夫なんだろうかと、生まれた今でもたまに心配になる。完全なる産後クライシスだ。

 産後クライシスは普通は夫に対して起こるらしいが、わたしは父だった。死んでも連絡しなくていいとすら本気で思っているくらいなので、離婚に発展するのはよくわかる。電話が鳴るだけでイライラできてしまうのだから、一緒に住むとか、子供を触られるなどということが到底許せないだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る