高校生らしさ(後)

「こうやって、よく先輩と寄り道しながら帰っていますけど、高校生らしい事って何があるんでしょう?」


 ふと思って、先輩に尋ねてみる。


 先輩は如何にも面倒くさそうな様子で、でも何かを考え始めた。


「ゲームセンターとか?」


「確かに居られる時間は、十六歳で一区切りでしたね。


 二十時まででしたっけ?」


「その辺はお店次第だと思うよ」


「まあ、私はまだ十五歳ですからいけないんですけどね」


 十六の誕生日を過ぎたら、先輩にゲームセンターに連れて行ってもらおうか。


「無理に高校生らしい事しなくても、中学の時の延長線上で良いんじゃない?」


「中学の時は吹奏楽漬けでした」


 だから高校では学生らしいことをしたい、と以前言ったような気がするのだけれど。


 忘れていたのか何なのか、しまったと先輩が顔を歪めるので、「先輩は駄目駄目ですね」とため息をついた。

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