恋バナ(先)

「先輩って好きな人とかいないんですか?」


 後輩に連れてこられた、僕には入ることの出来ないファンシーなお店の仲、急に後輩が変なことを尋ねてきた。


「いないけど、どうしたの?」


「高校生らしい事って考えたときに、まあ無難かなと思ったんですけど、私もいませんしまるで盛り上がりませんね」


 僕の記憶が正しければ、中高生がなにかと恋愛にしたがるのは確かだけれど、男女で恋バナをするのは極々まれな話だと思う。


 たとえば、片方が話し相手を好いているときとか。


「先輩は使えませんね」


「同じ言葉を返すよ」


 後輩に限って言えば、単純に知識が偏っているとか、変なところ抜けているだけなのは見ての通り。


 ため息をついた後輩が「嫌いな人はすぐに思いつくんですけどね」と言うのに対して「同じく」と同意する。


 そんな僕たちの様子を、周りの人がほほえましく見ていたのは、果たしてどうしてだったのだろうか。

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