ぼっち(先)

「ねえ」


「先輩、なんですか? 私のラムネはあげませんよ?」


 学校帰りに駄菓子屋に行きたい、と言い出した後輩に付き合って、駄菓子屋に寄ってから公園にやってきた。


 赤く染まる空の下、ラムネのビンをわずかにこちらに傾けて笑う後輩に、別の子だったらなんて頭をよぎる。


「いらないよ。それよりも訊きたいんだけど、後輩は放課後に遊びたかったんだよね?」


「誰かとですね」


「だから、一人だと思っていたんだけど、飲み物買っていったとき友達がいたように思うんだけど」


 僕の言葉に、後輩が視線を逸らして、何かをつぶやく。


 全く聞こえなかったので、「なんて言ったの?」とたずね返したら、逆切れをするように大きな声で「どう誘っていいかわからないんですよ」と真っ赤な顔で返ってくる。


 その赤さが、夕焼けによるものか、別の理由なのかは僕にはわからなかった。

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