ゆうちゃんの友達(ゆう)

 今日はあたしの友達のこうちゃんについて、お話しします。


 こうちゃんは、入学してクラスが決まってから、目立っていました。


 髪はさらさらだし、まつげは長いし、控えめに言っても美人で、しかも人当たりも良いと来たら目立たない方がおかしいでしょう。


 どのグループにも属さず、誰に対しても態度が変わらないことも相まって、あたしの憧れでもありました。


 後から聞いたのですが、態度に関して言えば、接し方がわからなかったらしいです。


「こうちゃん」


「生比奈さん、もういいの?」


 昼休み、クラスの人と話してから向かうあたしに、こうちゃんは気を使って、お昼を食べるのを待っていてくれます。


 嬉しいですが、いつもあたしのことを「生比奈さん」と呼ぶのです。


「ゆうちゃん」


「ゆうちゃん、もういいの?」


「こうちゃんが待っていてくれるからね」


 実は話していることは、半分こうちゃんのことだったりします。


 本来人気者街道まっしぐらだったであろう、こうちゃんですが、入学してすぐ男の先輩に付きまとわれてしまいました。


 どうやら、部活の勧誘らしかったのですが、二人が過去になにかあったんじゃないのかと変な噂も出て、近寄り難い人になってしまったんです。


 避けてしまった負い目もあって、皆はこうちゃんに話しかけ難いらしいです。


 つまり、皆こうちゃんと話したいんです。


「仲良くしてくれるのは、ゆうちゃんだけだから」


「そんなことないんだけどなー」


 こうちゃんが皆と仲良く話せるのはまだ先になりそうです。

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