某漫才-1グランプリ2017雑感 ~だからそれはブログでやれ~

 このエッセイ1年ぶりの更新ですよ。完全にズボラな感じが出ている。というかこれもまたエッセイではない。

 さて、良い結果は残せなかったものの、自身も今年は予選に出たので、この祭典については自分なりに採点しよう。来年以降の挑戦に向け、備忘録も兼ねて。



【全体】

 審査員による好みみたいなものが明確に出たなあという印象。中川家礼二やオール巨人は「話に展開のある漫才」が好きで、松本人志は「一つの事柄に拘って深めていく漫才」が好きだったように思う。この辺りは、自身の漫才スタイルと関係しているように思う。

 あと、去年からの連続出場の組については「ライバルは去年の自分」という感じだった。何か1つ、新しい部分がないと、点数が上向きにくいのだろう。



【個々のコンビ(ファーストラウンド出場順)】

1.ゆにばーす

 個人的には最高点。出場順の関係もあったかもしれないけど、僕はとても好きなネタだった。

 男女コンビだけど、相席スタートのように男性と女性が対等の力関係。ネタも男女コンビでしか出来ないネタを書いてきた。

 ネタの構成が秀逸。1度ボケとして使った「1階」というくだりを最後の大ボケに使うところは、天丼のタイミングが抜群だったと思う。

 どちらのキャラも濃いからブレークしやすいけど、漫才も続けてほしいなあ。


2.カミナリ

 去年のM-1の出世枠。今年もどつき漫才は健在。加えて、ある程度話してからそこまでのボケに一気にツッコんでいくという、磁石のパターンの構成にしてきた。

 ただ、やっぱり去年の印象が強すぎたので、そこを超えられてないのかもしれない。上沼さんのコメントはある程度正しいと思っていて、叩く以外のツッコミで観客に対する驚きを狙う、というのは悪くない+αだと思う。


3.とろサーモン

 優勝おめでとうございます! まずはそこですね。

 深夜枠ではよく活躍していた彼らだけど、久保田の斜に構えたキャラクターや若干猥談が入るネタも多かったので、ゴールデンでどこまでウケるか気にはなっていたものの、杞憂に終わった。

 漫才を終わらせようとしてもボケ役が終わらせてくれない、というネタはよくあるけど、久保田の自由人としてのキャラを序盤で確立できていたので、そこが観客にもすんなり入ってきた印象。

 最終決戦の焼き芋の新興宗教っぽい呼び込みは、いつもの久保田のネタらしくて大好きです。


4.スーパーマラドーナ

 すっかり知名度の上がった彼ら。執念の敗者復活はお見事。

 去年と同じ、田中の1人芝居に武智がツッコむパターン。田中の怖さ・不気味さみたいなものは十分出せていたと思うけど、最後にツカミのフリが大ボケになるパターンまで去年と一緒だったので、審査員からするとそこに対する物足りなさはあったのかもしれない。

 演技力とテンポはものすごく上がってきているし、個々のキャラも良いので、売れてほしいなあと思ったり。


5.かまいたち

 キングオブコントと2冠を狙う出場。コントが得意なコンビは限りなくコントに近い漫才をやることも多いんだけど、ここはしっかり漫才が出来ていたと思う。

 学校の怪談のおかしい点を指摘する、というネタで、これ自体は多分昔からあるベタな類ではあるものの、そこを惹きつけるのが山内の演技力の為せる業。怪談を茶化すのではなく「本当におかしいと思っている」という感じが良く出ていた。多分終盤でもう一捻りあったら3位を狙えたのでは。


6.マヂカルラブリー

 大学の先輩女性が昔から好きだったので、個人的にはよく見ていたコンビ。

 あの独特な雰囲気を受け入れられるか、というのが第一関門だけど、今回の審査員は割としっかりした漫才師が多かったのでそこが難しかったかもしれない。大竹まことさんやラサール石井さんだったらもう少し高評価したかも。

 でも、ネタは確かに単調ではあり、動きで笑わせようとする部分が多かったので、もっとトーク主体のM-1向きのネタ選定でも良かったかもな、とは思う。


7.さや香

 所謂ダークホース枠。新山さんが、あのシュッとした感じでハイテンションなボケをかますのが割と意外性があって面白い。一方で石井さんのツッコミは大声ながらキレがあって、その落差みたいなところにまた一笑いある。若いお客さん向けの会場なら、すぐに空気を掴めるだろう。

 しゃべくり漫才も出来るのか、フリートークも出来るのか、みたいな振り幅が気になる1組。大阪で腕を磨いて、来年か再来年あたりに東京に来たら楽しいなあと思う。


8.ミキ

 ここもほぼ東京では無名だったように思うけど、会場を爆笑させて最終決戦まで。その力量に脱帽。

 日常の何気ない話のなかで、亜生が揚げ足を取ったり茶化したりして、昴生が甲高い声でキレる、完全な大阪のしゃべくり漫才。10年くらい前に解散した「ちゃらんぽらん」とかもテンポは違うけどしゃべくりだったなあ、と思い出した次第。

 ボケはとても昭和っぽい感じで、いとし・こいしさんやのいる・こいるさんを彷彿とさせる。ただ、最終決戦のボケは結構ノリツッコミが多めで、言葉のチョイスも少し古い印象は拭えなかったかもしれない。あと、「話題が動かない」漫才だったので、中川家礼二とかは好みじゃなかっただろう。


9.和牛

 昔の屁理屈漫才から今のスタイルに変えてから、本当に評価が上がったように思う。昔のも好きだったけどね。

 去年同様のコント漫才だったけど、前半は緩めにスタートして後半の2分で前半そのものをフリにして大オチまで持っていく、そのスタイルがとても面白かった。去年と違う新しいことをやっていこう、という意気込みがとても伝わってきた。

 特に1本目は最後の爆発力が高かったので、最終決戦で披露してたらとろサーモンを抜いたかもしれない。まだ結成11年、来年も期待してます。


10.ジャルジャル

 今回の審査員の傾向が如実に出たと思う1組。こういう「ある意味漫才ではない」というネタをどう評価するか、というところは、正当派の漫才師からするととても難しいポイントだったのだろうと思う。一方で松本人志がジャルジャルに最高得点をつけたのは、そのお笑いに求めるスタイルから来る違いなのだろう。

 でも、「ジャルジャルここに在り」という感じのネタでとても良かった。正直、ネタを見たタイミングで「最終決戦は難しいだろうな」と思っていたけど、ああやって既存のスキームをぶち壊していくのは心地良い。また見たくなる漫才師、という点ではトップクラスだった。





 さて、来年はどんなお笑いの年になるのか。僕もバタバタな毎日のなかで、趣味でも何でも参加できればなあと思ってます。

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