第7話 闘魂!? 悪の幹部だゲハラドさん! 中編
「シンシ! チョリ! バグ! オデ! ヤンキー魔法少女を倒すのだっ!?」
「「「「 ニー!!!! 」」」」
「麗華ちゃんエロ!? ヤンキー魔法少女に変身エロっ!?」
「いや」
「どうしてエロっ!? 変身しないと戦えないエロっ!?」
「いやです」
「ふふっ ははっ はぁーはっはっはっ! 変身しない魔法少女などただの少女! このサイアークにひれ伏すがいいっ!」
「一瞬だけでも全裸になるのが嫌エロか?」
「うん」
「仕方ないエロ…… これを使うエロ……」
「これは……」
そういってどこから出したのか分からないくらい、自然にそれは出てきた。私が小学校のプールのお着替えの時間に使っていた、頭から被れて身体を隠すタオルであった。
「もしかして部屋でゴソゴソしてたのは……」
「そ、そうエロ! これを探してたエロ! 決してやましい事をしていた訳じゃないエロ!」
「そうなの?」
「そ、そうエロ! これで隠せば大丈夫エロ!」
「でも…… ちょっと小さい……」
「小学校の時からそんなに身長伸びてないエロ」
「うぅ…… それは言わないで……」
仕方なくそれを頭から被る。どうしてもサイズ的に下が見えそうだったので、胸の辺りまでタオルを下げる。
「(何してるんだ?)」
「(何してんすかねぇ?)」
「(ぷ、プールの…… れ、例の…… あ、あれ……)」
「(オッデェ!? プール!? オッデェ!?)」
(ニーターさん達が何か話してるけど、ちゃんと記憶は消えてるよね?)
「麗華ちゃんエロ!? タイムカードをタイムレコーダーに差し込むエロ!」
「うん! ヤンキー魔法少女! 見参っ!」
二回目となれば多少の慣れがついて回るもの。少し恥ずかしい気もしたが、全裸を見られるよりかはマシだったので、勢いに任せて変身する。光が私を包み込み、
「(嫌だぁ…… 絶対近寄ったらバレるぅ……)」
「(心配性っすね~ パイセンは~)」
「(こ、ここなら…… 人は…… じ、自分たちだけ……)」
「(オデェ! 中二学生ヤンキーコスプレでオッデェ!?)」
「あの~?」
「「「「(……)」」」」
「そちらの方…… 向かいのアパートの鈴木さんですよね?」
「(ビクぅ!?)」
「あの~? どうして? お仕事は? いつもお忙しいって……」
「ち、違う。私は鈴木ではない。シンシだっ! 社会派紳士のシンシだぁ!?」
「社会派紳士って言葉を教えてくれたのは…… 私の人生では鈴木さんだけです……」
「なはっ!?」
「パイセ~ン? バレちゃたっすね~ 無職なのも同時に~」
「だ、大丈夫です…… か、かね?」
「オッデェ!? 身内バレ!? オッデェ!?」
「お前達っ!? 私語は厳禁だと言っているだろうっ!?」
「「「「 ニー!!!! 」」」」
「かかれっ!」
「「「「 ニー!!!! 」」」」
そう言うと共にこちらへ向かってくるニーターさん達。私は見せつけるように軽く拳を握る。
「「「「 ニーっ!? 」」」」
「近寄ったら…… めっ! ですよ……」
「「「……」」」
「オッデェ!? めっ!されたい!? オッデェ!?」
「なら…… 来ますか……?」
「オ、オデェ……」
「何をやっている!? ニーターくん!?」
「ちょっと…… 知り合いは…… あと麗華ちゃん? お母さんには内緒にね?」
「あ~ 女の子に危害を加える趣味はないっすね~」
「ぼ、僕も…… 女の子は…… だ、大事に……」
「オデも…… 女子中学二年生…… オデ…… 出来ないオデェ……」
「なっ!?」
(良かった。これでサイアークさんだけだ)
「お前の部下たちはこう言ってるエロ。もう観念してお縄につくエロ」
「くっ」
「どうしますか? サイアークさん?」
「ふふっ ははっ はぁーはっはっはっ!」
「頭おかしくなったエロか? それは元々エロか」
「違うっ! 私は天才魔法士のサイアーク様だっ!?」
「最悪魔法士のサイアークだエロ」
「ふふっ。そう言ってられるのも今のうちだぞ? カッパのエロよ」
「なにエロ?」
「自信満々だね」
「ヤンキー魔法少女よ! 見よ! あれを召還だっ!」
またもや何かを召還する魔法士サイアーク。何が出てくるのか魔方陣に注視していると、本当に釘付けになった。そこにあったのは私の愛車であるママチャリのマーちゃん。
「マーちゃん!?」
「ふふっ ははっ はぁーはっはっはっ!」
「マーちゃんをどうする気なのっ!?」
「大事に大事に乗られているなぁ? え? ヤンキー魔法少女よ?」
「私の家族に手を出したら許さないんだからっ!?」
「ふ~む。女子中二学生にしては、本当に手を入れているフルノーマルの車体だ。磨き上げられ、油を差し、空気圧も適正」
「石橋さん製の大事な家族なんだからっ! 当たり前でしょっ!?」
「ふふっ。そのような意識高い系の女子中学二年に会ったことなどない。昨今、車体に金を掛けるが、メンテナンスを怠った車体がこの区内を支配している。だがこれは美しいママチャリだ」
「ならっ!? ヒドい事しないでっ!?」
「オデ! こちらに来い!」
「オッデェ?」
すると、所在なさげにママチャリのマーちゃんの近くに向かうオデさん。
「オッデェ? 何するオッデェ?」
「貴様の力が必要なのだ」
「まさかエロ!? その巨体で壊すつもりエロかっ!? そこまで落ちたかサイアークよエロ!?」
「まさか……そのような非道な真似はせん。オデ」
「オッデェ?」
「このママチャリのハンドルを強制的に上に上げろ」
「オッデェ!?」
「都内ではなかなか見かける事は出来ないが、地方ではまだまだ現役。ハンドルをアップしてヤンキー使用にするのだぁ!」
「いやぁーーー!?」
「オッデェ!?」
「はぁーはっはっはっ! この東京都内二十三区でハンドルを上に上げて生きていけるかぁ!? 見られるぞぉ!? 目立つぞぉ!? どうするヤンキー魔法少女よ!?」
(そ、そんなぁ…… いやぁ…… アップハンなんていやぁ……)
「気合いを入れ続けるエロっ!? じゃないとエロっ!?」
「で、でもぉ…… 私のマーちゃんが……」
「オデ! やれっ!」
「オ、オデェ……」
「オデさんっ!? 止めてっ!? 私の家族に強引な事をしないでっ!? せめて…… センターのボルトを緩めてから……」
「ふふっ ははっ はぁーはっはっはっ! そのような事をするとでも思っているのかね? ヤンキー魔法少女よ? 地方では友人同士で一緒に力を込めて、無理矢理アップハンにして友情を確かめ合う。もしくはオデのような怪力持ちが力自慢として単独でこのカスタムに成功させるのだぁ!」
「いやぁーーー!?」
「オデ! 何をやっている!? 早くやるんだぁ!?」
「オ、オデェ…… で、出来ないオデェ…… 大事にされてるオデェ……」
(オデさん……)
「出来ないか…… オデよ……」
「オデ…… 出来ない…… 大事…… マーちゃん……」
「オデさん……」
「そうか。ならもうお前は呼んでやらん」
「オッデェ!?」
「つまり解雇という訳だ。もうヤンキー魔法少女とも会えん」
「オッデェ!?」
「好きなのだろう? 女子中二学生が? 公然の元に会えるという事実がなくなるという訳だ」
「オ」
「オデさん!」
「オッデェーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
私の祈りは届かなかったのだろうか。オデさんはその巨体を存分に生かし、ママチャリである私の大切なマーちゃんのハンドルを掴み天空へと押し上げた。
「いやぁーーー!?」
「オ、オデはいったい? オッデェーーー!?」
「オデ…… ちょっとやり過ぎだぞ…… これ…… 真上向いてるぞ……」
「いやぁーーー!?」
「あれ…… ただ真上に移動しただけに過ぎず、オデのパワーでハンドルが絞られてる……」
「ヤバいっすねパイセン!? バイキンマンの乗ってるマシンのジョイスティックみたいっすね!?」
「……オデさん」
「オ、オデェ……」
「オデさん…… キライです……」
「オッデェーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
「駄目エロっ!? 気合いを入れ続けないとエロっ!?」
「まっ、結果オーライという事で…… なにっ!?」
「キライですぅーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!?」
「なにぃーっ!? 特定空間魔法式を打ち破るだとぉ!?」
「その感情だけじゃ駄目エロっ!? 悪を打ち倒すという気合いがないと駄目エロっ!? その
「えっ!?」
だが時は既に遅かったようだ。私はこの特別空間から放り出されて、見知らぬストリートにいた。しかも全裸でだ。
(いやぁ…… 誰かぁ…… エロちゃん…… 助けて……)
「……お嬢ちゃん大丈夫かい?」
「あっ、やっ、見ないで……」
「これを着て。私の
「……ありがとうございます」
「けれどこれじゃあんまりだ。そこのホテルでお着替えしよう」
「えっ…… ですけど…… そこはラヴホテルじゃ……」
「違うよ? 全然違うよ? あれはブティックホテルさ」
「ブティック……ホテル」
「そう。ラヴホテルじゃないから安心だよ?」
「そ、そうですか……じゃあ」
「さぁ…… いこうか……」
★ 次回 闘魂!? 悪の幹部だゲハラドさん! 後編 ★
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