プロムの後に ④


「…あ、えっと…その、プロム…君のドレス姿、とっても魅力的で素敵だったよ」


ジェイソンは少し照れながら、はにかんだ笑顔でそう話した。


ケルシーはみるみる顔が真っ赤に染まり、目を見開いたりぱちくりしたり、照れと恥ずかしさから動揺しまくっていた。


「…君とライアン、とってもお似合いだったし」


ジェイソンは少し寂し気に表情を変えた。


「…貴方とマーサだって、凄く魅力的で素敵だったわ」


さっきの動揺が落ち着いたのか、ケルシーはジェイソンに対抗するかのように返した。


「君はライアンの事、好きなのかい?」


ジェイソンは少し笑って尋ねる。


「…ライアンはとっても、とっても魅力的で素敵な人よ」


「でも、私は彼とは付き合わないわ」


「…だって、私にも彼にも…別に好きな人がいるんだもの」


少し俯きながらそういうと、ケルシーは逆に尋ねた。


「ジェイソンはマーサの事、好きなの?」


ジェイソンはびっくりした顔をしたが、すぐに笑って答えた。


「マーサは凄く可愛らしくて魅力的で素敵な女性だよ」


「けど、僕は彼女とは付き合わないよ」


「だって、僕にもマーサにも…別に好きな人が居るからね」


ジェイソンは少し寂し気な表情をしつつ、答えた。


「じゃあ、どうしてマーサとプロムに行ったの?」


ケルシーは不思議そうな表情で首を傾げた。


「え、それは…ケルシーとライアンがプロムの約束してたし、ケルシー凄く嬉しそうだったから…」


ジェイソンは少し動揺しながらも言葉を返し、ケルシーに尋ねた。


「じゃあ、ケルシーはなんでライアンとプロムに行ったの?」


今度は逆に、ケルシーがとても驚いて目を見開いた。

そして、慌てて答えた。


「それは、貴方がマーサとプロムの約束したの見ちゃったから…」


ケルシーはしょんぼりとした顔でジェイソンを見つめた。


ジェイソンは少し考える素振りを見せて、笑って答えた。


「あれは、マーサに勉強見て貰おうと思ってさ…ほら、僕はすこぶる頭が悪いから」


ケルシーはケラケラ笑って「確かに!」なんて答えた。


「テイラーやガブリエラは彼氏と忙しいし、ジークはシャーペイに振り回されっぱなしだし、ライアンは頭は僕やチャド並みだし、ケルシーはピアノで忙しいだろうから…マーサは比較的に時間の自由が利いたんだよ」


ジェイソンがしっかり理由を説明すれば、ケルシーは納得はしたものの、少し不満そうな表情を浮かべた。


「私だって、時間の自由ぐらい利くのに」


少し拗ねたような顔をするケルシーを、ジェイソンは笑って見つめた。


「君は…限界まで無茶しちゃうから」


ジェイソンは悲しげに呟いた。

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