プロムの後に ③


人の少ない花壇の側で、2人は踊った。

まるで、プロムの会場にいるかのように…そして、プロムの時間に戻ったように。


美しく、少し激しくも鮮やかに踊り続け、そして踊り終える。


2人は少し息を切らしながら、お互いに、少し照れながら微笑み、見つめあった。


「ブラボー!」


一際大きな声と、共に響く拍手。


そこに居たのはチャドだった。


「チャ、チャド!」


ジェイソンは少し驚き、慌てた。


「とっても素敵だったわ、ケルシー」


声と拍手と共に、テイラーも現れた。


「テ、テイラー!?」


突然現れたテイラーに、ケルシーは驚いて目を見開いた。


「いやー、楽しかったよ!」


ニコニコと笑いながら現れたのはライアン。


「私も、もう一回踊りたくなっちゃう!」


マーサは笑いながらウキウキと身体を動かした。


「ジーク!私達も踊るわよ!」


対抗心を剥き出しにするシャーペイと、それに対して困り顔を返すジーク。


シャーペイはジークの手を引き、強制的に踊りだした。

ジークは踊り始めると同時に、シャーペイをリードし始めた。


それにつられるようにマーサとライアンも踊りだし、チャドとテイラーも加わって踊りだす。


「皆、凄い…」


ケルシーは綺麗な景色を見るように見惚れていた。


ジェイソンはそんなケルシーの肩に手を回し、楽しげに皆を見物していた。



「…ねえ、ケルシー」


不意に、ジェイソンが言葉を紡いだ。


「…どうしたの、ジェイソン?」


ケルシーはとても不思議そうな顔でジェイソンを見つめた。


「君と話したいことがあるから…別の場所に行かない?」


ジェイソンは少し躊躇うように話した。


「わかったわ」


ケルシーが笑顔で答えると、ジェイソンはケルシーの手を引き、人気の無い場所に歩いた。

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