その6「やっぱりエロネタ」

ネタ不足が深刻化してまいりました。第六回です。ここからはどのラノベにも登場するお約束をどのように取り入れていくのかを話します。これを言い換えれば王道とも言えるように、まっさらな頭の中でこれらのお約束から先に組み込んでいけば、キャラクターや情景描写の手助けとなるばかりか、模範的な展開の手順書にもなります。今回はそれのもたらす効果も解説しながら進めていきます。

まず1つ目は「両親は不要」という話から。これは特にラブコメや日常系でその傾向が強く表れています。実際物語の展開時にその人の家族関係なんて全くもって関係してきません。むしろ邪魔なぐらいです。じゃあいっそのこと消せばいいんじゃ?と閃いた先人たちは長期出張やら単身赴任やらで両親を登場させなくするという手法が確立されました。さらに、そうすると必要な時だけ、簡単な理由付けで呼び出せるため、後々絡みが欲しくなった場合でも追加できるという特性があります。具体的に出来る事と言えば、主人公に家事得意要素を付与できる。深夜帯だろうが休日だろうが主人公の行動に縛りがなくなる。金銭的にも自由のため、普段出来ない事も率先して行える。お泊りシーンなどの描写難易度が下がる。などなど、割といい事づくめです。いつも言ってはいますが「ありきたりには訳がある」と言うのを常に考えて、その利点を活用していくことが大事です。

2つ目はキャラクター性の分布についてです。個性と言えば早いでしょうが、どのアニメのキャラクターも一定のグラフに当てはめて分けることが出来ます。それは貧富と活発か消極的かどうかです。これにも一つ注意点がありまして、片方の分布が一定であれば、もう片方の分布域はより広がっていくのです。例にとって話しましょう。

例えば学園アイドル物を例にとって言えば、アイドルという性質上あまりに消極的なキャラクターはまず採用できません。舞台に立つ前から後ろ向きな発言ばかりで、活躍できないキャラクターを入れるのはあまりにも非合理的で望まれないからです。

では、先ほど話した分布を見てください、この場合活発か消極的かのグラフに書き表すとほとんどが活発に分類されます。では何で個性をつけるか、それは残った貧富のパラメーターで差別化を図るのです。5人いるとすれば、1人は貧困、3人は中流、残る一人が金持ち。または4人が中流、1人は金持ちという構図になります。前者では個性の幅は広がりますが、どうしても貧困帯の一人が展開の障害になりやすいです。しかしそれを逆手にとって、学園もの等では、その人のために皆でバイトするとかその人の所属を維持するために努力する、という話へ展開する事で、キャラクター間の結束を強める描写が可能になります。話数も消費できるので書き手としてはありがたい限りです。金持ちの場合は主人公たちの資金的不安が一切無くなりますから、多少現実味の無い話にも裏付けを行えます。逆に戦争モノになってくると主人公たちの資金面での環境はほぼ等しくなりますから、代わりに無口なキャラクターができたり、主人公がリーダーシップを発揮しやすくなるという利点があります。お約束として登場する無口キャラや金持ちキャラの誕生にはこのような製作者側の利点があったのです。ちなみにですがここで話しているのはキャラクターの内面に関わる話。それにそれぞれの世界観に合った技能優劣、または種別の要素も付け足されますから、そのレパートリーはかなりのものになるでしょう。これを活用して魅力的なキャラクターの制作に取り組んでいきたいものですね。

そして忘れてはならないのがお風呂シーン、水着シーンといった読者へ対するお楽しみ要素の盛り込みです。こう言えば難しく聞こえますが要はエロいネタを入れれば良いんです。必須だとは言いませんが、その効果は絶大でしょう。いつしか言っていましたがハーレムものというのは読者は主人公に感情移入し、仮想的な体験をさせることで幸福感を生み出すという主軸があるため、このようなシーンを盛り込むことで読者に対して「美味しい思い」をさせることができます。ストーリーとはまったくもって関係ない息抜き要素ではありますが、少なからず好感を得られることは確かでしょう。また、このような息抜き要素とメインストーリーの緊迫を組み合わせる事によって物語に緩急をつけ、全体のリズムを整える効果も期待できます。


まとめ:お約束は描写効果の宝庫である。これらを利用してキャラクター性を高めたり、物語全体の自由度に対する障害を撤廃させることができるため、より理想的な展開を進めていくことができる。ほかにも、主人公は読者の鑑という点を十分に理解し、いかにおいしい思いをさせてやるかで、読み手の興味関心を惹く事ができる。


次回:文章レイアウトを考察する

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