第24話『巨大な力』

『カード化 - カードライズ』


キィィィィィン

とその湖の水をカードに変えようとする僕。

そして、水が光りだす。


この大きな湖の水すべてが光りだした!


そして・・・この大きな湖の水が一枚のカードになってしまった。


「すごい!空っぽになっちゃった!」

とアルテミスタ王国の第一王女が、僕がスキルを発動させて、水をカードにしてしまった後の湖を見ていった。


-


「これは・・・すごいな・・・」

と僕は呟いた。

手元にある水のカードはカードになってしまえば、一グラムもない、四角い紙にすぎないが、能力を使えば凄まじい量の水に変わる。


「浴槽より遥かに大きい、湖の水が一枚のカードに・・・」

と、僕は呟く。

そう、それはかなり凄いことだ、ひとつづきの水なら一枚のカードに出来ることは城内での実験でわかっていたが、こんなにも大きな湖の水がたった一枚のカードに変わってしまった。


「この能力に上限はないのか・・・」

と、僕は呟く。

そう、ひとつづきというルールは凄まじい。

もっと巨大なものも可能ということだからだ。


「そして・・・怖いな・・・」

と、僕はさらに呟く。

そう、一人で扱うには巨大過ぎる力だ。


「怖い?」

と、アルテミスタ王国第一王女のアスカが僕に聞く。


「そう・・・。あまりにも巨大過ぎる力だ・・・」

と僕が呟く。


「たとえば、いま湖の中ではなく『この場所』で元の水に戻したら・・・」

と僕が言う。


その言葉を三人は考えているようだった。

そして、剣士のユリカがはっと気がついたようだ。


「そうか、全員溺れてしまう・・・」

と、護衛で剣士のユリカが言う。


「そうなんだ。実際、これを城に持ち帰っても、浴槽よりも多いこの水を実体化できる場所がない・・・」

と、僕が言う。

そう、完全に持て余している。

いまの僕らでは扱いきれない。


「そうね・・・なるほど。貯水場を作る必要があるわね」

と、アスカが言う。


「貯水場!それはいいね。そうか、城側を進化させればいいのか・・・」

その発想は僕にはなかった。


さすが姫だ。

一人では扱い切れなくても国で扱おうというアイデアだ。

それは素晴らしいアイデアだ。


「そうか・・・この力とアスカのちからで、国を発展させていけばいいのか・・・」

と、僕はやっとこの能力の価値が分かり始めていた。

この力は個人で使うには巨大すぎるし危険だ。

しかし、国で使おうと思えばかなりのことを効率化できるはずだ。


「それは面白そうね!やっぱりケンゴは私と結婚するしかないかしら?」

とアスカはにっこり笑って言った。

よっぽど政略結婚が嫌なのだな・・・と僕も笑った。

とりあえず、この巨大な力を国でうまく使う方法を考えつつ、いま出来ることをやろうと僕は考えた。


「よし、次は薬草を探して傷薬を作ろう!」

そう、出来ることからやっていく作戦だ。

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