第23話『湖』

そう、そこには今まで何もなかったはずのものが落ちていた。

ドロップアイテムだろう!


「スライムを倒すとたまに出てくるんだ。何に使うのかはよくわからない・・・」

と、護衛で剣士のユリカが言う。


彼女達は何度か倒したことがあるのだろう、その存在自体は知っているようだった。

そういう彼女の説明を聞いて、僕はそれを手に取った。


「これはジェル?」

と僕は、スライムが落としたアイテムを見て言った。


-


「なるほど・・・」

と僕は呟いた。


これは多分、合成に使える何かだろう。

とその瞬間に思った。

ゲームの世界でもそういう場合が多い。


「とりあえずカードにしておこう!」

と、僕はスライムを手にとったままスキルを発動させた。


『カード化 - カードライズ』


キィィィィンとスライムから手に入れたジェルが光り出し、ポンッとカードに変化した。


「それなにに使うの?」

とアルテミスタ王国第一王女のアスカが僕に聞いた。

そう最もだ、しかしそれはまだ僕にも分からない。

ただ、確実にこの後役に立つだろう・・・という予測をしただけだった。


「うん、まだわからないんだけど・・・。たぶんこの後必ず役に立つと思う・・・」

と、僕は言った。

それは多分RPG世界の定石というようなものに近かったので、この世界の人達に説明するのは、難しいなと思った。


「なるほど!ケンゴのカンね!ケンゴのカンはだいたいあたっているしね!」

とアスカが微笑む。


僕のカンとは、考察しながらの予測のことだろう。

今まで一緒にカードについて調べなからいろいろ考えてきた。その様子を見て彼女はそう思ったのだろう。


「そうだね、これは持っておいて、湖に向かおう」

と僕はそのカードをしまって、そのまま、湖に向かっていった。

そして何分かあるくと、湖が見えてきた。


「あ、姫様つきましたよ!」

と、リリィが嬉しそうに言う。


基本的に彼女はとてもアスカ姫を慕っている。

アスカがおてんば過ぎていつも注意する役割をしているが、基本的にはその好意や尊敬から来ているのだろう。


「これは思ってたより大きい湖だ!」

と僕は言った。


そう、それは、城の湯船よりも遥かに大きい。

そして、その水はかなり綺麗な水だ。

たしかにこれなら回復薬がつくれるかもしれない。


そして、一回のカード化でどのくらいのサイズまでいけるかもわかるはずだ。


「あ、これはちょうどいい実験が出来そうだ!」

と僕は呟いた。


「とりあえず試してみよう!」

と、僕は湖に手を入れてスキルを発動させた。


『カード化 - カードライズ』


キィィィィィン

とその湖の水をカードに変えようとする僕。

そして、水が光りだす。


この大きな湖の水すべてが光りだした!


そして・・・この大きな湖の水が一枚のカードになってしまった。


「すごい!空っぽになっちゃった!」

とアルテミスタ王国の第一王女が、僕がスキルを発動させて、水をカードにしてしまった後の湖を見ていった。

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