第20話『大きな木』

「なるほど、毛皮は『生物ではない』ということなんだ・・・」

と僕は呟いた。


そう、どんどんカード化できるもの法則がわかってくる。


「ということは、これもカードに出来るということか・・・?」

と僕は、とことこと歩き出した。

そう目に入った別のものをカードに出来るのか気になったからだ。


「え?何をするの?ケンゴ?」

とアスカが僕に聞く。


「こうするんだ!」

と僕は、それに向かって手を当てた。


-


僕は、そこにあった大きな木に対して手を当てた。

そう、これもカードに出来るはずだ!

そしてさらにグッと力を入れてスキルを発動させる。


『カード化 - カードライズ』


キイィィィィンと僕の手と木が光りだす。

そしてポンッと、木のカードになった。

それを僕は掴む。


「やっぱり!」

と、僕はカードを自分に向け見る。

木の絵が書いてある。

そう、巨大な気が一瞬で自分の手に収まった。


「すごい!植物もカードに出来るのね?」

と、アルテミスタ王国の第一王女アスカが僕に聞く。

そう、相変わらず、鋭い質問をしてくる。

植物も生き物なのにカードに出来るのか?という意味だ。


「そうみたいだ。ということは・・・」

と、僕はなんとなく法則性を見つけたような気がした。

生き物はカードに出来ないというのは、定義が正確ではなかったといえる。動物はカードに出来ない、植物はカードに出来る。そこから僕は考える。


「・・・たぶん、ルール的には、『心臓が動いているいきもの』がカードに出来ない」

と、僕が言う。

そう、それが今のところこの法則性を一番シンプルに認識する方法だ。


「心臓が動いているいきもの?」

とアスカが聞き返す。


「そう、植物だって、いきものだし、ダークラビットの毛皮だって、もともといきもののものだ。だけどこの2つはカードにすることが出来た」

と僕が説明する。


もともと、どこからどこまでが生き物なのか、を定義するのは哲学的にもかなり難しい。

僕らは今は、このカード化におけるルールがわかればいい。


「ふむふむ、確かにそうね!そこから考えると、『心臓が動いている動物』だけがカードに出来ないということなのね!」

とアスカもその仮説を理解する。


「そこから考えるに・・・たぶん・・・。箱の中に何か生き物が入っていた場合、それも多分カードには出来ない・・・」

そして更にこの法則性から僕は考える。

直接カードにしないで、動物をカード化する方法はないのか・・・と。


「・・・けど、それはおいおい試していこう」

と僕は言う。


「あ、後でいいのね?」

とアスカが笑う。


「うん、生物が入っている箱をカードにしたい時があるのかっていうと、直近はなさそうだからね!」

と僕は言う。

そう、哲学を深く極めたいわけでも、このカードのルールを間違い無いレベルまで把握したいわけではない。


アスカを守るための力をつけたいのだ!


「よし!だいたい基本ルールはわかってきた!どんどん使っていこう!」

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