第19話『ドロップアイテム』

「す・・・すごい」

と僕は呟く。

そう、彼女の剣筋はかなり綺麗なもので、一日二日では出来ないことであるのは明白だった。


そして、ダークラビットはそのダメージで倒れた。


「うん、この剣は確かにすごいな!」

とユリカはもう一度、その炎剣を高く掲げ、微笑んだ。


-


「ユリカ、めちゃくちゃ強いんだね!」

と、僕がユリカに言う。

そう、なんだかんだで彼女が戦うのを見るのは初めてだったのだ。

リリィもユリカも護衛ということだから、強いということはわかっていたけど、ここまでとは。


「いや、そんなこともない・・・」

と、彼女は少し頬を赤らめて言った。

褒められることに慣れていないのだろうか、褒められ慣れているアスカとは全然違うリアクションでなかなか可愛いな、と思った。


「そうよ!ユリちゃんは強いのよ!私より!くやしいけど!」

とアルテミスタ王国第一王女のアスカはぷんぷんと悔しがりながら言った。


「そんなこと言ったって、アスカは、勉強や外交もあるししかたないだろう・・・」

と、ユリカが言う。


ユリカはアスカが勉強や外交をしている間に、剣の修行をしているということだろう。

それはさすがにどんなにアスカのセンスがいいとはいえ差はつく。


「それはそうだけどぉ!」

と、悔しそうに言う、アスカ。

このお姫さまは負けず嫌いかつ、おてんばなようだった。


「あれ?ダークラビットがいたところに毛皮が落ちてる」

と僕が言う。


「そうだな、倒したら出てくるんだ」

とユリカが言う。


この世界ではそれは当たり前の事のようだった。

それは生々しい表現をみなくて済むから助かるな、と血とか嫌いな僕はこっそりそう思った。


「なるほど、ドロップアイテムということか・・・」

と、僕は呟く。

そう、倒したダークラビットが落とした、ダークラビットの毛皮。

それをみて、一つ疑問が湧いた。


「ん?これはカードにできるんだろうか?」

と僕は疑問を口にした。


これは、生物なのか?ものなのか?

この世界ではどう判定されるのだろうか・・・。


その法則を知ることはこの世界で戦うにあたって重要な知識になる。


「試してみよう!」

と僕は、ダークラビットの毛皮に手を触れてスキルを発動させた。


そう、触ったものをカードにするスキルを。


『カード化 - カードライズ』


と、発動させると、キィィィィィンと僕の手とダークラビットの毛皮が光りだした。


そしてカード、『ダークラビットの毛皮』になった


「なるほど、毛皮は『生物ではない』ということなんだ・・・」

と僕は呟いた。


そうどんどんカード化できるもの法則がわかってくる。


「ということは、これもカードに出来るということか・・・?」

と僕は、とことこと歩き出した。

そう目に入った別のものをカードに出来るのか気になったからだ。


「え?何をするの?ケンゴ?」

とアスカが僕に聞く。


「こうするんだ!」

と僕は、それに向かって手を当てた。

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