第18話『実験結果』

「グエェェェ」

と唸り声をあげる、小さいモンスターが登場した。


「これがそう?」

と僕がアスカに聞く。

そう、それは黒くツノの生えたうさぎだった。

僕が想像していたモンスターとほぼ同じだった。


「そうよ!ダークラビットよ!」

とアスカがそう言った。


-


「よし!早速試そう!」

と、僕はダッと走って、ダークラビットの元に行った。


そう、僕が試したいのは自分のスキルが生物に通用するかどうかだ。

そして、モンスターを選んだのは他でもない。

うっかり消してしまっても問題がない。そもそも倒そうとしているからだ。それが人だと大問題になる。なのでこの実験は速くやりたかったが、モンスターのいる外を選んだ。


そして、僕は、ダークラビットに触れた。


すぐさまスキルを発動させる。


「いくぞ!」

と僕はダークラビットに触れながら言った。


『カード化 - カードライズ』


と、触ったものをカードにするスキルを発動した。


キィン!

という音がする。

そして、手が弾かれた。


そう、ダークラビットは『カードに出来なかった』のだ。


「やっぱり出来ない・・・!」


そう、ダークラビットに向かって触ったものをカードにするスキル『カード化 - カードライズ』を発動したが、キャンセルされてしまった。


そう、やはり生物にはこのスキルは通じないのだ・・・。


「あ、ケンゴ!危ない!」

とアルテミスタ王国の第一王女アスカの声が聴こえる。


その声が聴こえるより速く、衝撃が襲ってきた。

そう、手を当てただけで無防備になっている僕に向かって、ダークラビットが跳びかかってきたのだ。


「痛い!!」

と、言いながら僕は尻もちを突いてしまった。


「小さいモンスターと、侮っていたけど・・・普通につよい・・・」

そう、こういううさぎのような可愛い姿をしていても、これはモンスター。しっかりと凶悪なのだった。無手で戦える相手ではない。


「こりゃまずい・・・」

と僕は呟く。


そう、このまま何度も攻撃されたら死んでしまう・・・。

僕は、兵士でもなんでもなく、ただの人間だ。

特殊な訓練は受けていない・・・


そう思った瞬間・・・


「いくぞ!」

と、言って、ユリカが剣を構えた。


そう、彼女は先ほど僕が渡した、火のカードと鉄の剣のカードを合成して作った、ファイヤーソードを構えたのだ。


「この剣試させてもらうぞ!」

と言いながら、グッと、一歩踏み込んでダークラビットに斬りかかる。


「とう!」

と、すごく美しい剣筋で横一文字に、斬りつけた。

ゴウッと、剣から炎が出たまま、彼女はモンスターに攻撃した。


「す・・・すごい」

と僕は呟く。

そう、彼女の剣筋はかなり綺麗なもので、一日二日では出来ないことであるのは明白だった。


そして、ダークラビットはそのダメージで倒れた。


「うん、この剣は確かにすごいな!」

とユリカはもう一度、その炎剣を高く掲げ、微笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る