第17話『スキル考察』

「わかりました、遠くに行き過ぎないのを条件に、少しだけ町を出ましょう!」

とユリカは納得した。


「よぉっし!そうと決まれば早速行きましょう!」

とアルテミスタ王国第一王女のアスカは満面の笑みでそういった。


-


「弱いモンスターってどんなのがいるの?」

と、僕がアスカに聞く。


この世界のモンスター事情が全くわかっていない僕だった。

最初に倒したのがゴブリンだったので、ゴブリンがいることだけはわかっているけども。


「うーん、なにかしらねぇ。ダークラビットとかかしら?」

とアスカが言う。


ダークラビット。

たぶん、闇に落ちたうさぎなのだろう。

黒い姿で、ツノとか生えているのだろうか。

わりとRPGで定番と言えないこともない。


「うさぎか。いいね。ちょうど試したい事があるんだ」

と、僕がアスカに言う。

そう、あまり大きすぎない方がいい。

うさぎは僕のイメージにぴったりだった。


「うさぎで試したいこと?」

と、アスカが聞く。


「そう、いままで試したのは、岩。椅子。水。火。なんだ。これは全部、生物以外だ」

と、僕が今までの実験をざっと振り返って僕が言う。


まず最初に知りたいのは、どんなものをカードに出来るのか、ということだ。

たぶん、なんらかの法則性がある。

さすがに、すべてのものをカードにできてしまうと無敵過ぎる。

『カードに出来ないものがある』と考えられる。


「ふむふむ」

と、アスカは話を聞いている。

たぶん一緒になってその法則性を考えてくれているのだろう。


「複雑な形状の椅子や、火や水などの、気体や液体もいけることがわかった。次はやっぱり生物がいけるかどうか。これで大分、戦い方が変わると思う」

と僕が言う。

そして、カード化出来ないものがあるとすれば、生物である可能性は高い。僕はそう思っていた。


「なるほど、生物もカードに出来るということがわかれば、最悪敵を全部カードにしちゃえばいいもんね!そして、仲間もカードにして隠したりすることが出来る!それが出来たら・・・かなり無敵ね!」

とアスカは言う。


「いまので、よくそこまでわかったね!」

と僕は驚く。


ほんとにアスカは頭がいい。

この流れでここまで、理解出来てしまうとは。

普段からいろいろなことを知ってずっと考えているのだろう。


たぶん、戦争のことも。


彼女は国民を守るということには自覚がある。

そのためにいろんなことを知って、自分に出来ることをやろうとしている。

なので、ちょくちょく、護衛を撒いたりして、真実の声を聞こうと努力しているのだろう。


そんなことを考えていると・・・


「グエェェェ」

と唸り声をあげる、小さいモンスターが登場した。


「これがそう?」

と僕がアスカに聞く。

そう、それは黒くツノの生えたうさぎだった。

僕が想像していたモンスターとほぼ同じだった。


「そうよ!ダークラビットよ!」

とアスカがそう言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る