第4話『ゴブリンを一撃』
「そうですね、ここに来たばかりなので、どこか住む所と仕事があるとたすかるんだけど・・・」
と僕が言う。
「なるほど・・・」
とユリカが考え込んでいる。
「よし!!じゃあ、私のもう一人の護衛になってもらいましょう!」
とアスカことアルテミスタ王国第一王女『アスカ・ロイヤード・アルテミスタ』は微笑みながらそう言った。
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「姫様それは・・・」
と小さい方の護衛の少女リリィが抗議する。
「なるほど。それは悪くないかもしれない・・・」
とユリカが言う。
「ユリカさんまで!」
とリリィがユリカが言う。
「ここに来た時、私はギリギリ見えたんだ。ゴブリンを一撃で倒すところを・・・そんなこと私たちにできるか?」
と、ユリカが聞く。
「それは・・・」
とリリィが口ごもる。
「あ、それすごいことだったんだ・・・」
と僕は驚いた。
そう僕的にはカードを投げて、現実化させて岩を落としただけなのだ。
いまいちこの世界におけるこの能力の価値がわかっていなかった。
早めにいろいろ試したいところだ。
「ね!そうと決まればさっそくお父様にお願いしましょ!」
とアスカが僕の方を向いてウインクした。
そして、すごく怒られるでしょうけど・・・と呟いたのを僕は聞き逃さなかった。
そして僕たちは王のもとにたどりついた。
「というわけで、この方を私の護衛に加えたいのだけど!」
と、アスカはざっくりと説明した。
アスカのお父様。
つまり『アルテミスタ王』に!
「何を言っておるのかわかっておるのか!アスカ!」
と、アルテミスタ王はいきなり大声で、アスカに反論した。
やっぱり怒られたわね・・・とアスカ王様には聞こえないように呟いたが僕にはしっかり聞こえていた。
「はじめまして、アルテミスタ王」
と、僕は行儀よく、お辞儀をした。
僕は事前にしっかりと、この国の人達がするお辞儀を見ていて、その真似をしたのだ。
「私の名前は旅人のケンゴです。この国に流れ着いてしまいました。少しだけ腕が立ちます。しばらく、この国においていただければ、とアスカ姫にお願いしました」
と経緯を説明する。
少しだけ腕がたつは、ぶっちゃけとんでもない嘘だが、ここではこう言っておいた方が話が速いだろう。
なるべくはやくカード化のスキルの確認をしないといけない。
「そう、ケンゴは腕が立つってものじゃないのよ!お父様!ゴブリンを一撃で倒しちゃったんだから!」
と、姫は親子モードで父親を説得している。
「なんと・・・ゴブリンを一撃で・・・」
と、アルテミスタ王は考え込んでいる。
ゴブリンを一撃で倒せる人はこの国にはあまりいないのだろうか。
その一言で彼はいきなり態度を変えた。
「それは本当か?」
と、護衛の二人、リリィとユリカに王様は聞いた。
そして彼女たちは、肯定の返事を各々に返した。
「なるほど、それは大変失礼致しました!これからもしばらくアスカの事をよろしくおねがいします!」
とアルテミスタ王はそう言って、僕はアルテミスタ王国第一王女『アスカ・ロイヤード・アルテミスタ』の護衛になることが決定した。
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