第3話『護衛』
「え?姫様なの?」
と、僕がモンスターに襲われていた少女に聞いた。
「あ、ええと・・・、うん、そうかも」
と、彼女は、ばつが悪そうに、言いながら微笑んだ。
そして、小さい方の少女がぐっと前に出た。
「そう、この方は、アルテミスタ王国第一王女!『アスカ・ロイヤード・アルテミスタ』さまよ!」
と、その少女はそう言った。
-
「なるほど・・・アスカちゃんなのか」
と僕が呟く。
「なっ!アスカちゃんとは!なんという呼び方をする!!アスカ様と呼びなさい!!」
とその小さい少女は僕に抗議する。
小さいから両腕をぶんぶんと振りながら僕に猛抗議する。
「リリィ、やめなさい!この人は命の恩人よ!」
とアスカは言う。
「でも・・・アスカ様・・・」
と、リリィと呼ばれた少女は悔しそうにいう言う。
心底、姫を尊敬しているのだろう、そんなことが感じられる態度だった。
「やっぱり襲われていたのか・・・だから、一人で行くなといつも言っているだろう!」
と、もう一人の少女がアスカに言った。
いつも襲われているらしかった。
「でも・・・ユリちゃん・・・」
とアスカが言う。
「ユリちゃんはやめろといっただろう。もう子供じゃないんだ」
と、ユリちゃんと言われた少女は言った。
子供の頃から一緒にいるのだろうか?
「すいません・・・危険な所を助けていただいたようで、私達は姫の護衛のユリカとリリィです。本来は私達の仕事であるところなんですが・・・」
とユリカが悔しそうに言う。
「そう、抜けだしてきちゃった!」
てへっ!と可愛らしい笑顔で言うアスカ。
そして、また顔をしかめる、ユリカ。
ずっと厳しい顔をしているが、よく見るとこちらもまた美しい顔立ちだった。
「抜けだしちゃったのか」
と僕が笑った。
これは結構なおてんば姫のようだ。
「さて、どんなお礼をしたら良いのか・・・」
と、ユリカが言っている。
「私の旦那様になってもらうとか?」
と、アスカが笑う。
「え!」
と僕が驚く。
異世界にきて五秒で王婿?
五秒じゃないけど・・・。
「冗談でもそんなことを言ってはなりません・・・婚約者がおられるのですから・・・」
とユリカが言う。
「えー、でも!お父様が勝手にきめたやつじゃない!ザ・政略結婚よ!となりの国から攻められるのが怖いからって!」
と、ぶーぶーと文句を言うアスカ。
「なにか、お困りのことはありますか?」
とユリカがぐっと話を戻して僕に聞く。
当然たくさんある、住むところもないしお金もない。
「そうですね、ここに来たばかりなので、どこか住む所と仕事があるとたすかるんだけど・・・」
と僕が言う。
「なるほど・・・」
とユリカが考え込んでいる。
「よし!!じゃあ、私のもう一人の護衛になってもらいましょう!」
とアスカことアルテミスタ王国第一王女『アスカ・ロイヤード・アルテミスタ』は微笑みながらそう言った。
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