第5話 東京での些細な出来事
ACT-5 『東京での些細な出来事』
「おそいッ!もう何やってんのかしら、アイツったら!」
私は、カウンターに置かれたカクテルを一気に飲み干すと、ひとつ大きく息を吐いた。
そして、メニューをパラパラとめくると、適当にアルコールの高そうなカクテルを追加注文した。
「ふぃ!・・」
それをゴクゴクと飲みながら、私はまたひとつ息を吐き捨てた。
彼氏の祐二を待ちながら、飲んだカクテルはもう三杯目。
「久しぶりに会うってのに、どうしたのかしら・・・まぁ、忙しいのはお互い様だし、仕方ないか・・・」
祐二は、個人でグラフィックデザインの仕事をしている。
仕事を取るのも自分の仕事だから、やりたい仕事を優先して出来るところが羨ましい。
それに比べて私ときたら、嫌な仕事でもしぶしぶと行わないといけない。それに、しばらく会社を休んでいたシワ寄せがドッと押し寄せて、こっちに帰って来てからテンテコ舞いだった。
だから、祐二と久しぶりに会うのが楽しみだったし、祐二との旅行の計画を煮詰めるのも、今夜の予定のひとつだった。
なのに・・・祐二はまだ来ない。
「なによ~、あっちから誘っておいて!こんなに遅れるなんて、一体何時だと思っているのよ!」
私は、バッグからスケジュール帳を出すフリをして、右手の時計をチラリと見た。
(もう10時じゃない・・・・)
私は真っ白なスケジュール帳を開き、そこに書き込むフリをしてみた。
しかし、そこに書き込む予定がないのが何かムナシイ・・・
以前には、いや、若かりし時には、週末の予定はおろか、平日までビッシリと予定が詰まっていたものだ。それは女の友人の予定が多かったが、男性の予定もそこそこ入っていたものだ。
それが最近、パッタリと途絶えてしまった。
これが歳を取ると言う事だと、実感せざるを得ないのだった。
「ふぅ・・・」
そう思うと、今の彼氏の祐二の存在がとても大きくなってくる。
今の私の寂しさを紛らわせてくれる大切な存在なのだ。いや、言い方が酷いかな?
いてくれなくては困る大切な存在なのかもしれない。
なんだかいやだな・・・
こんな風にして祐二の存在が大きくなるなんて。
過ぎていく時間と重なっていく年齢の重さ。
それを無理に忘れる道具としての祐二になってしまっている。
これではいけない。祐二に対しても悪い。
そうじゃなくって、私はもっと自然に歳を実感したいのであって、逆風に吹かれて初めて太陽の光の大切さを知ったような実感の仕方はなんかイヤだし納得できない。
28の次は29。
そんなアラビア数字の当然の数え方。
だがそれが、とてつもなく重いものとなり、私の肌のハリを奪ってゆく。
私はそれを数字ドロボウとでも呼びたい。
たった一年経っただけで、私の肌を着実に老化させる犯人は、間違いなくドロボウ以上の大悪党に決まっているのだ。
朝起きて、化粧に何時間かけようとも、その苦労がどれだけ増えようとも、このドロボウはそんなことおかまいなしにやってくる。そして、女にとって一番大切な物を、コイツは軽々と盗んでゆくのだ。
うぷ・・
いささか飲みすぎたのだろうか。胃液が絽山の滝のように逆流してくるのがわかる。
もうこれ以上は飲むのを控えよう。水・・水が飲みたい・・・
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとう・・・・・・・えっ?!ええっ~!」
私に水を差し出してくれたバーテンダーを見て、私はびっくりした。
そこには、田舎での一件で再会した、本間純一、ジュンくんがいたのだから。
「ど、どうしてここに・・・?」
「なに言ってるのさ、ここでバーテンしてるって言ったろ」
私は、酔っ払っている意識の中で必死に考えた。
「え?でも、あなたはエジプト考古学者のタマゴだって・・あれ?」
「だから、レイクミがボクの働いている店に遊びに来てくれる約束をしたんだよ」
私が、いつ、どこで、どうやって、ここでジュンくんと会うと約束したのか。
だがどう考えても、ジュンくんとここで会う約束をした憶えはない。
何故?どうして?考えても考えても頭が混乱していくだけだ。
ぐるぐるとまわる記憶の渦が私のまわりにまとわりつく。
記憶の順番と構成が、どうにも定まってないような不安定な錯覚を覚えた。
(あれ?私はここで誰と会う約束をしていたのだろうか?)
祐二?それともジュンくん?どっちだったか思い出せない。
あ・・
あ・・
あ・・
私、どうしちゃったんだろう?お酒に酔ったからなの?
それとも本当にどうかしちゃったんだろうか?
わからない、わからない、わからないよぉ!
わーーーかーーーらーーーなーーーいッ!
「わーーーーーッ!」
私はハッとして飛び起きた。ここは私のアパート・・・それで今は朝・・・・え?
「わーッ!もうこんな時間!遅刻しちゃうわ!」
私は急いで着替えると、朝食も食べずに家を飛び出した。
そしていつもの満員電車に身を委ね、生活費を稼ぐ為に、収容所へと搬送されていった。
今日は・・そう。久しぶりの出社だった。溜まりに溜まった仕事を片付けなければならない。
案の定、後輩に任せた業務はほとんど進行していなかった。まぁそれは、想定の範囲内だったから仕方ないと思ったが、とにかく私は必死に滞った業務をなんとか元にまで戻す事ができた。
「ふぅ・・・つ、か、れ、たぁ~」
私はフラフラになって会社を出ようとした時、後輩の子が声を掛けてきた。
「あ、先輩~、お仕事お疲れ様ですぅ」
(疲れたのはあんたのせいだけどね・・・)
私は心の中でそう思ったが、それを口に出すのをやめた。
「あの先輩、今夜あいてますか?よかったら仕事手伝ってくれたお礼におごらせて下さい!」
「う~ん・・・よっし、行こうか」
クタクタになった体を癒すには飲むのが一番だ。後輩におごってもらう気はなかったが、その子とふたりで一緒に飲みにいくことにした。
馴染みのバーに入り、馴染みの雰囲気を実感する。
「えっと、私はこのカクテルにしよっ。先輩は何にします?」
「・・・・・・・・あ、え?」
「どうしちゃったんですか先輩、さっきからボーッとしたままですよ」
「いや、あの、何でもないのよ」
私は不思議な感覚に陥っていた。
私は確か、昨日の夜もここにいた覚えがある。
それも、祐二を待っていたつもりが、ジュンくんがバーテンダーとしてここにいた。
それからどうしたっけ?・・・あれ?それともあれは夢?
店内を見回しても、ジュンくんらしきバーテンダーはいない。
私は気になって携帯をチェックしてみた。ところが、祐二からの着信履歴がない。
おかしい・・・祐二と待ち合わせしていたのなら、着信履歴があってもおかしくないのに。それにメールもない。
では一体、私は誰と待ち合わせしていたのか?
それとも、誰とも待ち合わせしていなかったのか?
「あ、あのさ、私、昨日ここにいたっけ?ねぇ、誰といたんだっけ?」
「ど、どうしたんですか先輩?言ってる意味がわかりませんよぉ」
「そ、そうね・・・ごめん。ちょっと疲れているのね・・・」
私はモスコミュールをコクリと口に含んだ。
憶えている味だ。確かに昨日ここに来て、一杯目はこのカクテルを飲んだのだ。
「ねぇ、彼女ひとり?」
「え、いえ、私はいま後輩と・・・」
横を振り返ると、そこには後輩の姿がなかった。どうしたのだろうか、トイレにでも行ったのだろうか?
「ねぇ、ひとりだったら一緒に飲まない?ねぇ飲もうよ!」
その男は、私を強引に誘ってきた。私の横に座ってベラベラと話しかけてきたのだ。
私は、後輩がトイレから帰ってくる間だけガマンしようとした。だが、後輩はいっこうに帰ってくる気配がない。
「それでさぁ、俺、こう言ってやったんだよ!」
その男は、何か仕事の話を熱心に語っていた。どうやら自分で何か仕事をしているようだ。
退屈だったその男の話も、聞いているうちにだんだんと面白くなってきた。
何と言うか、その男はどこか生き生きとしたオーラを放っているのだった。
自由奔放で熱い男。一見チャラチャラしているように見えても、芯はしっかりした男のようだ。
私は知らぬ間に、この男に対してのバリアーを解除していた。
そして、惹かれていく自分に気付いたのだった。
「おはよう・・・」
「え?なに、突然?」
「いやぁ、ちょっとした予行練習だよ。ボクとキミがはじめて迎えた朝の、ね」
「・・・!」
(このヒト、なんて歯の浮くようなセリフを言うのかしら!)
私は赤面して、思わずこの男から目を背けてしまった。
だって、こんな事言われたの初めてだったから。
祐二は絶対にこんなセリフを言ってくれなかった。
でも、くさいセリフでも、どこか女心として嬉しかったのも事実だ。
「もう、何よそれ、恥ずかしいじゃないの!」
私はその男の肩をボンと叩いた。
「いたいなぁ、レイクミ。ねぇもっとカクテル飲みなよ。ねぇどれにする?」
「え?あんたは、ぷぅやん!どうしてここにいるの?!」
今まで私の隣にいたと思った男が、なんと、ぷぅやんに変わっていた。
「何言ってるんだよ、約束したじゃないか。東京へ行って一緒に飲もうってさ」
「私は・・そんな約束した覚えはないわ・・・それにあんたは死んで・・・」
「え?俺が死ぬだって?ぶはは!何言ってるんだよ、俺が死ぬワケないじゃんか!さぁ、今夜は長い夜になりそうだな、レイクミ。さ、じゃんじゃん飲んで飲んで!」
ぷぅやんは、イヤラシイ目つきで私に酒をすすめてきた。
「い、いやっ!私はこんなのイヤなの!私は・・・祐二が、祐二と待ち合わせしてたんだから!」
「ぶひひ!そんな男はここにはいないブヒ!だから俺とエッチなことするブヒーッ!」
「い、いやあぁー!」
気がつくと、そこは崖の下だった。
いや、そこが崖の下だと気付いたのは、それからずっと後の記憶だった。
だから、今の記憶はちょっと後の記憶なのだと思った。
崖の下と言っても、地面とは十メートルほどあり、このまま落下したら無事では済みそうもない。
幸い、崖の途中のどこかの枝に体が引っかかっているらしく、地面への落下を免れたようだ。
それでも、この場所からの景色はひどく悲惨だ。
散乱した車の残骸に、血が飛び散った岩の上に、何かの死体が転がっている。それも2つも。
私は、早くこんな場所から逃れたかった、早くフカフカのベッドに横たわりたかった。
しかし、体が言うことを利かず、ただ宙釣りになっているしか方法がなかった。
私は体を力いっぱい振ってみた。そんな事をすれば枝が折れてしまうのはわかりきっているのに、だ。
案の定、私は折れた枝から落下してしまった。
そして、岩に叩きつけられている死体の上に来た所で、私の体が空中に停止した。
そして、私は寒空の下、崖の下から免れ、暖かいベッドへと移動することが出来たのだった。
そこで私は妊娠していた。
陣痛に苦しみながら、必死で子供を捻り出そうと懸命だった。
その痛み苦しみときたら尋常ではなかった。
でも、もう少しで子供が生まれてくる達成感に比べれば、その痛みもなんとか堪える事が出来た。
そしてそこには、小さな赤ん坊が産声を上げた。
オギャーオギャーと五月蝿いくらいの声をあげる生命体がそこにいた。
私は、それをまったりとした葛湯のような液体と一緒にすくい上げた。
とろとろと流れてゆく液体と共に、小さなバイキン達が浄化されていくのが見えた。
そうか、これは赤ちゃんを清らかに洗浄する為の液体なんだなと思った。
その抱きかかえられた赤ちゃんは、とても幸せそうな笑顔をしていた。
私はその赤ちゃんの顔をまじまじと見詰める。すると、あることに気づいた。
「これは・・・わたし・・・」
そう、この赤ちゃんはなんと、私自身であった。
私が抱きかかえている赤ちゃんが、実は私自身であったという奇妙な出来事。
ありえないが、ありえないハズもない。
だって、今現実に起こっている事が、この世の全てだとしたら、これも現実だと言う事になる。
でも、今は、はたして現実と言えるのだろうか?
鏡に映った鏡に問い掛けてみる。
しかし、幾重にも重なった無限の世界からは何も答えが返ってこない。
仕方ないので、私はこの赤ちゃんを育てることにした。名前は何てつけようか?
私そっくりの子供なんだから、名前もそっくりに、いや、同じ名前をつけてしまおう。
高見沢麗久美 (たかみざわ れいくみ)
これがあなたの名前よ。
これからあなたのことをレイクミと呼ぶことにするわ。
うふふ、嬉しいでしょ?だって私と同じ名前なんだよ。
うふふ、うふふ。
ガタンゴトン。
そういえばここはやけに揺れるなぁ。
ガタンゴトン。
まただ。揺れる。
ガタンゴトン。ゴォーッ!
私の目の前は真っ暗だった。
そして耳をつんざくような轟音が止むと、そこには明るい世界が見えてきた。
「まぶしい・・・」
私はハッとした。そこは電車の中だった。鈍行列車に朝早くから乗り込んでいたのだった。
いつのまにか眠ってしまった。無理もない、田舎であんな事件があった後だから・・・
私はボーッとする頭の中で物事を整理してみた。
しかし、起きたばかりでは脳に栄養が行き届いていない。
私はバッグからチョコレートを一粒取り出すとそれを口に放った。
甘い口溶けと、次第に脳に栄養がまわっていく感覚。だいぶ頭がハッキリしてきた。
今は何時?昼の12時か・・・
お腹もそろそろ空いてきたし、どうしようかな。駅弁でも買って食べようか。でも、そろそろ新幹線に乗り換える時間だし・・・でもやっぱり・・・
私はしばらく、そんなどうでもよいことを考えていた。
さっきまでの出来事は夢だったのかしら?それにしてもリアル過ぎる。
いや、もともと夢というのはリアルだから、その夢にいる間は夢と気づかないのではないか。
だったら、今の現実感は、はたして本当の現実と言えるのだろうか?
リアルで夢と気づかないのが夢だとしたら、現実を実感している間もひょっとしたら夢かもしれない。
そんな逆説もまたしかり、だ。
あぁ、どうでもいいか、そんな事。
例え今が夢だとしても、それが何だと言うのだ。夢は覚めていずれ現実になるのなら、別にあわてて夢から覚めることもない。しばらくは夢の世界でノンビリするのもまた一興だ。
ぐうぅ・・・
でもお腹が空いてきた。ということは・・・
「夢じゃなーい!」
知らぬ間に、電車は駅に着いていた。新幹線に乗り換えなくてはならなかった。
私はあわてて新幹線のホームへ駆け込み、駅弁を買って新幹線に乗り込んだ。
「あ、そういえば指定席を取っておいたんだった。急ぐことなかったわ」
私は安心した。これでおちついてお弁当が食べられる。
「あら?・・・おかしいな」
ところが、私の指定席には、誰か別の人が座っているのだった。
一度、その場所を通り越しながら席の番号を確認してみたが、間違いなくそこは私の指定席だった。まわりには誰も乗っていなく、よりによって私の席に間違って座るなんて。
自分の席に座られて少しムッとしたが、怒ってもしょうがない。
「あの~、すいません。そこ私の席なんですけど・・・」
私は小声で優しく声を掛けてみた。
「・・・・・」
しかし、返事がない。
黒いトレンチコートに帽子をかぶっているその男の人は、どうやら眠っているようだ。
私はもう一度、こんどは少し大きな声を出してみた。
「すいませーん。そこ私の席なんです」
「・・・・・」
またしても返事がない。これはもうダメだ。完全に熟睡しているのだろう。
私は仕方なしに、その人の肩を揺すってみた。
「もしもーし、ちょっと起きてくださいな」
なんだか眠っている人を起こすのは気が引ける。でもそうしなければ、私の座る場所がない。座ってゆっくりお弁当を食べることもできない。
ところが、何度も揺すってみても、その男は起きるどころかピクリとも動かない。不審に思った私は、その男の顔を、下からそぅっと覗いてみた。だが、深々と被った帽子が邪魔で顔が見えない。
こうなったら駅員さんを呼ぶしかないと諦めかけた時、その人がピクリと動いた。
私はやれやれと思って、もう少し様子を見ようとしたその瞬間。
その男の口から発せられた言葉が、私に衝撃を与えた。
「レイ・・クミ・・・逃げ・・ろ・・・・」
ドサリ!
その男は、そのまま前かがみになって倒れてしまった。そして、口からは血が垂れていた。
「きゃあぁッ!」
「逃げ・・ろ・・・」
その言葉が男の最後の言葉だった。目を開けたまま絶命してしまった。
異常に気づいた乗客も、わらわらと近寄ってきた。それを遮ろうとする駅員達。
この男は確かにこう言った。私の名前を、そして逃げろ、と。
聞き間違いではない。確かに聞こえたのだ。
私の気が動転していくのがわかる。肩はワナワナと、膝はガクガクと震えていた。
田舎から東京への帰りの新幹線で、こんな恐ろしい出来事を体験しようとは、私は予想も出来なかった。
しばらくして。
私は駅の待合室で、警察からいくつか質問を受けていた。
死体第一発見者が私なのだから、それも当然の義務なのだろう。
だがしかし、いくらそうであっても、その人の大切な時間を割いてしまう権利は警察にあるのだろうか?例えば、ある一刻を争う時に、今回のようになった場合、時間に遅れることによる損失は一体誰が保障してくれるのだろうか?
とにかく今回、死体を一番に発見したことによって、プラスになることはひとつも無い事だけはわかった。
警察の取調べの際も、私は、あの男の口にした言葉を教えなかった。
当然だ。誰が教えるものか。しかも、私の指定席に座り、私の名前を呼び、私の目の前で死んだ。
どう考えても、私と全く無関係だと言い切ることは出来ないだろう。
例えそれが、超がつくほどの偶然だとしても、それをなんとか必然と結び付けたがるのが警察の仕事だろう。それから、私に自由の時間が訪れたのは三時間後だった。一応、重要参考人として、名前と住所と職業を聞かれた。未婚者だということも教えた。
なんなのだ。一体これは何なのだ。
たかが、死体の第一発見者であっただけで、何故こうもプライベートを暴露しないといけなのだろうか?その時の私の人権はどうなっているのだろうか?いっそ黙秘権を行使してやれば良かったのだろうが、そんな事しても逆に疑われるだけだと思ったのでやめておいた。
それにしてもおかしい。
田舎でのあの忌まわしい事件。そして今回の原因不明の死体の件。
いや、死体ではない。
あの男は間違いなく生きていて、私に何かメッセージを残して死んでいったのだ。
立て続けに起こった事件には、何か関係があるのだろうか?
いや、あるハズがない。だって、田舎での事件は、人の欲の虚しさが生み出したものだから無関係だ。
しかし、これらをすべて偶然で片付けられるものではない。こんな偶然があってたまるものか。
私は悩んだ。このまま東京に帰るべきか、それとも田舎へ戻るべきか。
私は駅のホームで立ち尽くしていた。
だがたとえ、田舎に戻ったとして何が解決してくれよう。
あの忌まわしい事件を思い出すのはもういやだ。できればあの地から遠ざかりたいのが本音だった。
「あ、そういえば・・・」
私は、ある人物を思い出した。
田舎での事件から私を救ってくれた人物。いや、正確には救ってくれたわけではないが、それでも力になってくれた人物。本間純一、ジュンくんに電話を入れようと思ったのだ。
プルルルル・・・
新幹線の発車の合図が聞こえた。そして私は。
「おそいッ!アイツったら、なにやってんのかしら!」
私はひとつ大きく息を吐くと、カウンターに置かれたカクテルを一気に飲み干した。
そして、適当にアルコールの高そうなカクテルを追加注文しようと、メニューをパラパラとめくった。
「ぷぃ!・・」
私はまたひとつ息を吐き捨てながら、それをゴクゴクと飲んだ。
カクテルを飲みながら彼氏の祐二を待っているが、もう三杯も飲んでしまった。
「まぁ、しょうがないか・・・忙しいのはお互い様だし。でも久しぶりに会うってのに・・・もう」
私は新幹線の事件の後、東京へ戻った。
そして、とあるバーで、彼氏の祐二と会う約束をしていたのだった。
久しぶりの東京、久しぶりのこの街。
久しぶりと言っても、わずか数日の間だった。でも、いろいろあった、ありすぎた・・・
私は、田舎で起きた事件を思い出しながら、カクテルのグラスを眺めた。
でも、この忙しない場所にいると、なんだか田舎での出来事がウソだったかのように思える。
こっちであれだけの事件があったならば、新聞や各メディアで大いに取り上げられてしまうだろう。
それが何事もなかったように過ぎ去っていくのは、田舎特有の現象でもあり、怖い部分でもある。
田舎での事件は、まるで別の次元で起こったかのような錯覚に感じるのも無理はない。
「はぁはぁ・・待った?」
「おそーい祐二!もう三杯も飲んじゃったわよ、ここはオゴリね」
「そんなぁー」
久しぶりの祐二との再会。なんだかちょっぴり懐かしい。そしてそれが心地よい。
私は祐二との会話を楽しんだ。
どこか頼り無くて、それでも夢に向かって頑張る祐二は相変わらずだ。
それが嬉しい。変わってないあたりまえがとても安心するのだ。
私達は旅行先を決めた。場所は北海道。私はどちらかと言うと、もっと都会の街のように栄えた場所へ行きたかったが、祐二の押しの前に負けてしまった。
「うぉし!毛ガニいっぱい食うぞぉ!」
「うふふ、でもお金もっと貯めないとね、高いんでしょ?毛ガニって」
「うむむ、それをいうと心配になってきたなぁ・・・あ、でも実家からお金借りればいっか」
「ダメよ。できるだけ自分で何とかしなきゃ」
「レイクミ、なんだかしばらく会わないうちに、キビしくなったなぁ」
「当然よ!祐二をもっとしっかり教育してやるんだから!」
「それって、何だが子供あつかいされてる気がするぞ・・・」
「そうよー、祐二ちゃん!あはは!」
「こいつ、あはははは!」
こうして、祐二との楽しい夜は更けていった。
「今からどうする?」
「ん、今日は帰る。明日も仕事だしね」
「そっか、おやすみ」
「うん、おやすみ」
私達は、唇と唇を軽く合わせた。
祐二と別れ、それからアパートに向かって歩き出すと、私の携帯電話が鳴った。
「なぁに、こんな時間に・・・」
着信相手はジュンくんだった。
「はい、もし」「あ、レイクミ!今どこ?!」
携帯からジュンくんの大声が漏れる。私は思わず携帯を耳から遠ざけた。
「ちょっと、何よいきなり。声が大きすぎるわよ」
「そ、それより今どこにいるんだい?場所を教えてくれ!」
「え、どこってその○○町だけど・・」
「わかった、じゃあその駅で30分後に集合!よろしく!」
「ちょ、ちょっと待・・」ツー・・・ツー・・・
ジュンくんの電話は切れていた。それにしてもどういうことだ?
まさか、東京にジュンくんがやって来ているのだろうか?
それも今から会うだなんて・・・すべてが突然すぎる。
「もう、ホントに来るの?あらかじめ連絡ぐらいして欲しいわよね、まったく!」
私はジュンくんの勝手な行動に呆れてしまった。だけど、それがジュンくんらしいといえばらしいけど。
私は仕方なしに、駅まで向かうことにした。ジュンくんが本当に来るのか半信半疑だったけど、来るというのなら待っていなければならない。
そして30分が過ぎた。
「この寒空にレディーを待たすなんて・・もう、ほんっと無神経なんだから!本間純一!」
「呼んだ?」
すると、私が立っている犬だか何かの銅像の後ろから、ジュンくんがひょっこり顔を出した。
「ちょっと、どこにいたのよ!そんな所にいたのなら声掛けてよ!」
「ゴメンゴメン。ここには10分ほど前に着いていたんだよ」
「じゅ、10分前?じゃぁ、どうして私に声掛けてくれないのよ!」
「いやぁ、それなんだけどさ、ここにある銅像の彫刻って、どこかエジプトの彫刻と似ている部分があってさ。これを製作した人はエジプト文明に興味があるのか?それともただの偶然か?って考えていたのさ。そうすればじきにレイクミが気づくかなぁって・・」
「そんなくだらない事はどうでもいいじゃない!もう!」
「くだらなくはないさ、ちょっとした事から大きく発展して謎が解決することもある・・・そう今回の事件のように」
ジュンくんは、急に真面目な顔つきに変わった。
「そ、それってどういう意味?まさか何かわかったの?」
そうなのだ。新幹線で起きた事件の後、私はジュンくんに連絡した。
そして、今の自分はどうしたらいいのか、何をしたらいいのかの判断を委ねてしまっていたのだ。
いくら混乱していたからといって、よりによって頼りないジュンくんに頼ってしまうとは自分が情けない。
でも、それでも。あの田舎での忌まわしい事件の時、少しだけ頼り甲斐があるなと思ったのも事実だった。だから、新幹線の出来事の際、ジュンくんに連絡してしまったのかもしれない。
「事件を調べていくうちに、いろいろわかってきたよ。まずはあの事件が起こった数ヶ月前から話さないといけないんだけど、その前にもっと大事な出来事があってそれがなんと・・」
「ちょ、ちょっと待ってよ!そんなに一度に話さないで。それにこんな場所で話を聞くのもなんだし、場所を変えましょうよ」
「う~ん、それもそうだね。じゃあどこか、ご飯が食べれる所にしよう、朝から何も食べてないんだよ・・・あれ、そう言えば、お金あったかなぁ・・・」
ポケットからもぞもぞとサイフをさぐるジュンくん。そしてサイフの中身を確認して苦笑い。
「だったらコンビニでおろせばいいでしょ?24時間営業なんてどこにでもあるし」
「いや、ボクはキャッシュカードを持ち歩かない主義なんだ」
万遍の笑みをするジュンくん。どうやらその精神が誇らしいとでも言いたげだ。
「あのね・・・じゃあカードはどこにあるのよ」
「実家」
「・・・・・」
この都会ではただのバカだと私は思った。
全財産120円のジュンくんに、コンビニで肉まんでも食べれば?と言うのも酷だったので、仕方なしに私がお金を貸してあげることにしてファミレスへ入った。
そこに。
レイクミと純一がファミレスに入るのを遠くから監視している男がひとりいた。
黒いサングラスをかけたこの男は、さっきから2人の後をつけているようだった。
「いい、これはオゴリじゃないのよ?貸してあげるだけだから絶対に返してよ!それに利子もつけるわよ!」
私は、ジュンくんの無計画さに腹がたっていたので、かなりキツめに言ってやった。
「もちろんお金は返すさ。でもアリストテレスは、貨幣が貨幣を生むことは不自然と言っているし、キリスト教では利子は禁じられていたんだ・・ところでその利子って単利?複利?」
「あーっ!もうゴチャゴチャうるさいわね!利子はいいからさっさと食べなさい!」
私がファミレスで大声を出したので、まわりの客に注目されてしまった。
「じゃあ、いただきまーす!むしゃむしゃ・・・あぁ、おいしー!」
ジュンくんはまわりの事はおかまいなしに、テーブルの上のオムライスをむしゃむしゃと食べ始めた。子供みたいにご飯粒を口のまわりにつけながら、だらしない食べ方だった。
「で、早速だけど、なにかわかったの?」
「うん、モグモグ、それがね・・・ごほっ!」
ジュンくんはいきなりむせたので、口の中のごはんが私に向かって飛び出した。
「やだっ!キタナイ!」
「ごめんごめん・・・ゴクリ・・・ふぅ・・・で、何だっけ?」
「何だっけじゃないわよ!何か調べてわかったから、こっちへ来たんじゃないの?」
「そうそう、それなんだけどね・・・」
今まで子供のようだったジュンくんの顔が真面目に変わった。
「どうやら天栖村での事件、一筋縄じゃ済みそうもないんだよ」
「どうゆうこと?」
「ボクらが通った天栖小学校、あの当時の卒業生は11人だった」
「そうよ、確かに11人よ。それは間違いないわ」
「じゃあ、ちょっと書き出してみようか・・・」
ジュンくんは、テーブルの上の口ふきを一枚取り、それに名前を書いていった。
「天栖小学校の卒業生11人の名前はこうだ」
――――――――――
レイクミ
ボク(純一)
あづみちゃん
よしこちゃん
ぷぅやん
チョロ太
かおりちゃん
ごっち
ミーやん
サオちゃん
ぬーぼー
――――――――――
「そうね、これで全員よ。間違いないわ」
「この中で、かおりちゃん、ごっち、ミーやんは先月にそれぞれ違う原因で亡くなり、この世にはいない。そして、あづみちゃん、よし子ちゃん、ぷぅやん、チョロ太は先日の事件で死んだ・・・」
「・・・・・」
私は無言でうなずいた。こうして紙に書き出してみると、11人中、なんと7人も死んでいるのだ。
気味悪く思うなという方が無理かもしれない。
「同級生で生き残っているのは、ボクらを入れてあと4人だけなんだ。こんな偶然ってあるわけがない。いや、あってはいけないことなんだ」
「そりゃそうよ。でも、もし本当に偶然に偶然が重なっただけなら有り得ない事じゃないわ。この世の中には、そういった偶然が起きても不思議じゃないし、それに・・」
「言いたい事はわかるよ、レイクミ。でもね、もしこれが偶然ではなく、誰かが起こした必然だったとしたらどうなるかってことだよ」
「必然って・・・あんたまさか、誰かが私たち同級生を殺したって言うの?そんな・・そんなフザけた話あるわけないじゃない!じゃあ誰が何のために殺したっていうの?!ねぇ誰よ?!」
私は取り乱して立ち上がって叫んだ。またしてもファミレスの店内に声が響き、客の注目を浴びた。
「まぁまぁ、落ち着いて座りなよ。もしも、仮に、の話だよ」
ジュンくんは、私を落ち着いて座らせようとなだめた。
「でも、言って良い事と悪い事があるわ!そりゃ、小学校の同級生が7人も死ねば不思議だと思うわ、でも、それは考えてはいけないことよ。第一、そんな事して得するのは誰よ?」
「うん、誰が得するかどうかはわからないさ、でも、今回の事件はあまりにも不自然な事が重なり過ぎているんだよ」
「不自然な事が重なる?例えば?」
「そう、まずは思い出してごらん。きみが天栖村に帰ってくる前にアパートに届いたハガキと、実家に届いたハガキは何だったのか?」
「そ、それは・・・たぶん・・・」
私は、言い辛くて言葉を詰まらせた。
「それはたぶん、よし子の出したハガキだと思うわ。私に恨みのあるよし子は、不審なハガキを出すことで、天栖村に帰ってこさせようとしたのよ。それで偶然に私のおばあちゃんが亡くなったから、それでチャンスと思って私をぷぅやん達と会わせようとしたのよ」
「あらかじめ不審なハガキを出しておいて、きみのおばあちゃんが偶然亡くなったのを利用したってことかい?それじゃあきみは、おばあちゃんが亡くならなかったら田舎に帰らなかったのかもしれないよ」
確かにジュンくんの言葉も一理ある。
「そりゃそうだけど・・・でも、ハガキを出す事で、何らかの不審感を持った私が家に連絡すれば、実家にも同じようなハガキが届いていて、それで私の住所を聞きに来た人物が同級生の誰かだったとすれば、アルバムを調べに実家に帰ったかもしれないわ」
「たしかにね・・でもそれはあまりにも間接的じゃぁないかな。言い換えれば、成功する確率が低いってことになる。もし、よし子ちゃんがきみに絶対に復讐したいと思ったのなら、ただ、きみのお母さんから連絡先を聞いて、同窓会か何かをやるから帰ってきて欲しいと伝えればいいだけの話だ。あれだけ大胆な殺人計画をしたのなら、そうするのが道理じゃないかな?」
「・・最初は、そう、最初はただ私にハガキを出して驚かすだけだったのかもしれないわ。でも、途中で気が変わって私を・・その、殺そうと思いついたのかもしれない・・・」
私は、自分で言っておきながら自信がなかった。
確かに、あれだけの残酷な計画を用意周到に行ったよし子なら、直接私を呼んだだろう。
「あ、でも、そうすると、私を呼んだよし子が疑われるからじゃない?」
「だけど、チョロ太と共犯で、ぷぅやんを殺そうとしたぐらいだから、疑われても仕方ないと諦めていた部分があったはずだ。現に、よし子ちゃんは農郷のお金を横領していた罪もある」
「そういわれれば・・そうね」
「ボクの推理はこうだ」
「推理って、あんた・・」
「まぁ黙って聞いてよ。まず、チョロ太は、ぷぅやんとよし子ちゃんに弱みを握られていた。また、ぷぅやんは、チョロ太とよし子ちゃんに弱みを握られていた。そして、よし子ちゃんはぷぅやんとチョロ太に弱みを握られていたことになる」
「えっと、ちょと待って、頭が混乱してきたわ・・・でも、ぷぅやんは、よし子に何の弱みを握られていたの?」
「それはきみさ。ぷぅやんは、きみの事が好きだったから、それをばらされたくなかったんだろう。アルバムを切り抜いたり、小説を書いたりしてたからさ」
「ああ、そうか・・じゃ、よし子がぷぅやんに握られていた弱みは何?特になさそうだけど」
「それは、つまり、ボク・・・だと思う」
「ボクって、ジュンくんのこと?よし子の弱みが、何でジュンくんなのよ?」
「今だから話すけど、ボクは昔からよし子ちゃんに告白されてたんだ」
「ええーっ!!あんたが?ホントに?またウソばっか!」
しかし、ジュンくんの真面目な顔を見て、それがウソではないと思った。
「あ……ゴメン。どうやらウソじゃなさそうね。たしかに、私があの崖で殺されそうになった時、ジュンくんをとられて嫉妬したと聞いたわ。でもそれは、自分から男を取り上げられたのが悔しいのであって、ジュンくんという特定の人を取られて悔しいという事とは思わなかったわ・・・」
「よし子ちゃんは、小学校を卒業する時に告白してきたんだ。ボクは当時、男女の関係が、何の意味があるのかわからなかったから断ってしまったんだよ」
「あんたらしいわね」
「でも、中学生になっても、よし子ちゃんはボクの事を思ってくれたみたいで、ボクが天栖村を出てからもずっと手紙を送ってくれたんだ」
「ちょっと待って、あんた高校は行かなかったの?」
「そうだよ、ぼくは中学を卒業して、そのまま考古学の道へ突っ走ったのさ。何の知り合いもなしにエジプトへ旅立った時は死にそうになったよ。どんな事があったかって言うとさ……」
「言わなくていい! その話はいいわ。それでよし子は?」
「今回、日本に帰ると手紙に書いたから、それでよし子ちゃんが会いたいって言ったんだ」
「それで天栖村に帰ってきたと。それにしても、あんた、よし子に冷たくなかった?特別に会話してる様子もなかったし」
「それは、よし子ちゃんがボクと手紙のやりとりしているのを、みんなに知られたくなかったからだよ。誰にも言わないで欲しいって書いてあったから、ボクはわざと演技をしたんだよ」
「演技ねぇ・・・でも、よし子は特別に接したかったと思うわよ。口ではそう言っても、本心は違うんだから。それが女心なのよ」
「えぇ?そうなの?・・・わかんないなぁ」
(あんたにはわかりそうもないわねぇ・・)
「あ、それと付け加えておくけど、ぷぅやんの親は事件当日、ともに町へ出て働いていたそうだよ。お父さんは住み込みで家を建てて、お母さんはパートをしていたそうだ」
「そう・・ずいぶんお金に困っていたのね」
そう考えると、ぷぅやんがあづみを殺したいと思ったのも、何となく理解できる話だ。
「だからってお金に困って人を殺してはいけなしい、脅してもいけないよ」
「それもそうね。でも、これですべてのツジツマが合ったんじゃない?不自然なことなんてないわよ?」
「いや、まだあるさ。きみが新幹線で死んだ男の正体は誰だかわかるかい?」
「え?だれよ?」
「もしかしたらと思って、同じ村出身の同級生だと言って警察から名前だけ教えてもらった・・」
「ど、同級生って!まさか?!」
「そう、そのまさかさ!それは、ヌーボーだよ!」
「ヌーボー?・・・あっ!」
ジュンくんは、さっき書いた天栖小学校11人のリストを、私の目の前に突きつけた。
ピルルルゥ……
突然、私の携帯に着信があった。祐二だった。
「どうしたのかしら、こんな時間に。ちょっと待って・・もしもし祐二?」
私は動揺しながら電話に出た。
「・・・・・・」
「え?違うよ、何言って・・え!ちょっと待って!祐二!ちょと祐二ッ!」
「何の電話?ボク、トイレに行ってくるよ」
その時、ファミレスの外で、レイクミと純一を監視していたサングラスの男が店内に入ってきた。
そしてふたりを見つけるとこちらへ走ってきた。何と男の手には、ナイフが握られていた。
「殺してやる!ブッ殺してやるぅ!」
「きゃぁ!」「うわぁ!」
「許さない!ぜったいに許さないぞッ!!」
祐二は、私達のあとをつけてきたようだった。ジュンくんを浮気相手だと勘違いして。
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