はいられた?

私の家は門がない。

マンションであるとかではなく、古くなったため撤去したのだ。

そのせいか、時折分別のない小さい子供が庭の方に入り込んだりしていた。

これは、そんな家に住む私の話だ。


私がお菓子箱の中身を整理していた時のこと。

パタパタと自宅の庭を走っているであろう音が聞こえた。

音が軽く、比較的短い間隔の足音から

幼稚園に入る前くらいの子供かなと思った。

まぁ、たまにあることだ。

家の中に入ろうとしたりすることもないし放って置くことにした。


お隣の子かな、と考えながらテレビに目を向けた。

私の好きなバラエティ番組がやっていた。

22時から始まるものだ。


あれ、こんな時間に子供?


流石に疑問に思った。

音はだんだんと近づいてき、

子供特有のはしゃいだ甲高い笑い声がすぐ側の窓の外から聞こえた。

この時間だと普通の子供の行動も不気味に思えてしまう。

そして、少し窓を過ぎたところで静かになる。

子供は立ち止まったようだ。

私の正面にある、カーテンの閉まった窓の向こうにいるのだろう。


遅い時間であるし、不気味と言っても子供を放って置けない。

外の様子を見るためカーテンを開く。

カーテンの「シャッ」という音にビビるくらいには怖かった。


外は暗い。

窓には自分と室内が写っており、外の様子は見づらい。

よく目をこらすと隣の家と自宅を区切るの柵付近に二人立っているのが見えた。

父と子の親子らしい。


父親がいるのにどうして人の敷地に入ってはダメだと叱らないのか。

いや、柵の向こう側にいるのか?

前者なら関わりたくないなと考えながらも声をかけないことには始まらない。


少し勇気を出して窓を開けた。


ちょうど、死角になる位置。

顔を出せばすぐ真横。

そこに女の顔はあった。

にったりと笑った髪の乱れた女に驚いた私は慌てて窓を閉めた。

急いで自分の部屋に逃げ込む途中、窓を閉めきれなかったことに不安を覚えた。

なんとか部屋にたどり着く。


と、いうところで目がさめた。


私はドキドキしながらもホッと胸をなでおろした。

ただの夢でよかったと。


落ち着いたので、水を飲みにお菓子箱のあるあの部屋まで行った。

そこでもう一度、肝を冷やすことになる。


窓が少し開いていたのだ。

カーテンが挟まり、閉まり切らなかったと言ったところか。

まるで、あの夢の跡のように。


珍しく祖母が閉め忘れたのだと自分を納得させる。


きっと気のせいだ。


だから、お菓子箱の底の方に眠っていたはずのチョコレート菓子が机の上にあるのもきっと偶然だろう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る