ホラー短編集
丸虎
目が合った
ある夜更け、私は二階の自室で布団を頭までかぶり目を閉じていた。
視覚を閉ざせば自然と聴覚が働くもので、風に揺れる雨戸のかすかな音を聞いていた。
しばらくは眠れないような予感。
その日は何故か目が冴えた。
遠くにバイクの通るような音を聞いていた時、不意に「ちーん」と一階の仏間のお鈴が鳴るのを聞いた。
あぁ、祖母か誰かが鳴らしたのだろうなと思った。
しかし、家には今、祖母はいない。
他に鳴らしそうな人は私と同じ二階で眠っている。
では誰が?
怖かったが、更によく聞こうと耳に意識を集中させた。
すると、「キーン」という高い音があるのに気がついた。
よく集中すると耳の奥がズキズキと軽く痛んでいたのがわかった。
耳鳴りだった。
ほっとした。
でも、そこで嫌なことを思い出した。
友人に聞いたよくある話。
「耳鳴りがすると近くに幽霊がいる」
耳鳴りがお鈴の音に聞こえってしまった時のような不安がぶり返していた。
少し早まる心音とともに耳鳴りがひどくなる。
だから、布団の中で目を開けた。
意を決し、布団をそっと持ち上げる。
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