黒後家の術-2
「何だ?」
外部からの爆発音に熱狂した男達も気を取られた。
刹那。今まで男達の成すがまま、微動だにしなかったルキノが目を見開く。背後で抱きかかえる男の頭を掴み、男の頭を軸として、地を蹴る反動、腹筋、背筋のバネを使ってルキノは軽やかに男の頭上に倒立する、観ていたボクサーには、とても人の動きには見えなかった。
ルキノはそのまま腕を顎に絡ませ、広げた脚で振りをつけながら、中空にコンパスで円を書くように身体ごと一回転させる。
男の首の骨が「ゴキッ」っと音をたてネジ折れる。ルキノはその男の背後に優雅に降りたった。首を折られた男は横倒しに倒れこむ。
異変に気が付きルキノに目を向ける「犬」達。ルキノはすかさず両手を翻し、ブラウスの袖口に仕込んだ形状記憶合金製の手裏剣を投擲、袖口のカラーの様な金属は、ルキノが指先でなぞると、体温でクシ打ちの針のように鋭く変化し。一人は眼窩から脳を貫き、一人は喉に突き刺さって、気管を血で溢れ返した。
喉を押さえ、前のめりに倒れこむ「犬」、声にならる叫びを上げ、仰向けに倒れる「犬」。
扉のそばに立っていたボクサーは、咄嗟に床に転がると共に、素早く脇に吊るしたホルスターから、銃を抜き、ルキノに発砲する。
だがそこに、ルキノの姿は無い。彼女は身を伏せると同時に剥ぎ取られた上着を掴み、それに包まれるようにう蹲る。
仲間が邪魔で伏せて蹲るルキノに射線が通らない、立ち上がって狙おうとした刹那、足先が衝撃と共に弾け飛び、火薬と肉のやける匂いが鼻をつき、踏み込む力がなくなる。仲間の足も靴底からはじけ、身体を痙攣させた。
バランスを崩すボクサー。上手く受身も取れず、倒れこみ顔面を打ち付けるが、不思議と痛みが少ない。
ボクサーの脳裏に、何かを踏んだ記憶。そして部屋に漂った香りについて、
爆発物。それと薬物か、、、、そんな言葉が脳裏に浮んだ。
ルキノはすかさず、くるまった上着を翻し立ち上がると、ボクサーに飛び掛って、銃を蹴り飛ばし。髪を掴んで頭をひねると小刀で喉をえぐった。
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