第1話 日常と予感

ここは4つの界の境にある【黄昏図書館たそがれとしょかん

色んな界から沢山の妖怪や天人,人間などが集まる唯一の場所だが誰でも来れる場所ではなく心から来たいと思わないと来れない場所でもあった。



***




そんなある日の事。

何時ものようにカウンターで図書館の主の詩音しおんが当番で貸し出し係をしていた。

貸し出しをする人は今の所いないと判断しカウンターに呼び鈴といない事を知らせる看板を置いて2階にある探偵事務所たんていじむしょへと上がっていった。2階に上がると司書の五月さつき村雨むらさめがソファーで資料の整理をしていた。

「二人共資料整理お疲れ様です。終わりそうですか?」

「後もう少しで終わるよ。」

「え、あちょ…待って後もう少しだから!」

詩音が2人に声をかけると村雨は妖狐ようこ特有の尻尾をゆらゆらさせながら頷き五月は天狗てんぐの特徴的な黒い羽を縮ませながら汗をかき焦りだした。

そして村雨は資料整理が終わったようで資料を詰め終えた段ボールを持って資料庫へ向かっていった。村雨が終わったのに気付いた五月はさっきよりも焦ってしまい段ボールをひっくり返してしまい1からまた逆戻りになってしまった。

「手伝います。一緒に頑張りましょう!」「うん!」

「ただいま……はぁ、僕も手伝うよ。」

詩音が苦笑いをしながら資料を拾うと大きな声で答えると資料庫から帰って来た村雨がため息をつきながら言手伝い始めた。




***




3人で資料整理を始めて約一時間でようやく資料整理が終わった。

「ありがと!助かったよ。じゃ、資料庫に行ってきまーす!」

感謝を言った後五月は段ボールを持って資料庫へ消えた。仕事が終わり村雨と詩音がソファーに座るや否や村雨が奇妙きみょうな事を言い出した。

「そろそろ来るかもね。依頼人」

「また…ですか。」

妖狐である村雨が何か感知したのかまたは勘であるのかは分からないけど村雨が予言を思わせる事を言うと必ず依頼人が来ると分かっている詩音は少し切ない顔をした。

『………』

「ただいまーって、何この空気…」

詩音と村雨の間に沈黙ちんもくが訪れてすぐ戻って来た五月もゾッとする程の空気の重たさがあった。そして五月が空気を軽くしようと口を開いたその時。

__チリーン…チリーン…チリーン…

「よし…行くよ。」

「うん」

「ああ…」

呼び鈴ではなく依頼人用の鈴が鳴り3人は気を引き閉めて1階に降りに行った。

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