第13話 ゴムを剥がすメロンパン
「近藤さん」
「はい、なんですか?」
僕はまず、彼女に対してこの部屋の状況に伝える前にあることを聞くことにした。
「近藤さんは、なんでこの部屋に居るんですか?」
「あなたに連れられてきたんじゃないんですか?」
「いや、僕はそんなに力、無いですよ」
「私が重いっていうんですか?」
「そうじゃなくて……」
まぁいいや。彼女もここの部屋になぜいるのか分からないということが分かったから。彼女が首謀者ということもないだろう。
「じゃあ、近藤さん。元々、どこにいたか覚えていますか?」
「元々いた場所ですか……。確か、お兄ちゃ……いや、兄の部屋ですね」
「その部屋で何していましたか?」
「ゲームをやっていて……そのまま寝ちゃった……かな?」
なぜ、疑問形で聞いてくるのかは分からない。
ただ、彼女から何か情報を得るのは無理そうだ。
「佐藤さん! 私も質問をしてもいいですか?」
彼女が今度は質問をしてくる。
「何ですか?」
「この部屋は一体何なんですか? 私よりに起きていましたし、何かしら知っていると思うのですが……」
確かに、彼女より先に起きていたがこれといってちゃんとした情報を手に入れることはできていない。
ただ、彼女に少しであっても情報を伝えないのはあまり良くないと思うので、とりあえずその情報を伝えることにした。この部屋には窓はおろか扉がないという事。床がゴムとコンクリートの二層構造になっているという事。彼女がメロンパンと寝言で言っていたこと。少しだけれども情報を伝えた。
伝え終わると、彼女は「なるほど……」と言って、難しい顔をした。
そして、彼女は「分かりました近藤さん!」と言って、ニコッと笑顔になった。
「一緒に、このゴムの床を早く剥がしちゃいましょう!」
女の子がゴムって言うと、なんかいやらしく聞こえるな。俺がおかしいのだろうか?
ただ、これによって床のゴムを取り除くのが少し楽になった。これはうれしいことだ。
僕と彼女は、僕が途中まで取り除いたゴムの場所まで行き、ゴムを最後まで取り除くことにした。
「意外と、ゴムって重いですね」
「そりゃあだって、ゴムを巻いていってるんですから、徐々に重くなっていきますよ」
「なるほど」
僕と彼女は取り除くときに、そんな会話をしていった。
そして、ゴムをすべて取り除いた後。ようやくあるものが見つかった。
「これが……隠し扉」
「そうですね……」
小さな扉が、床に設置されていた。なぜ、こんなところに隠し扉があるのかは分からない。だけれども、この部屋から脱出するんであれば、この隠し扉は大事な要素なのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます