第4話 メロンパン!

「―――……メロンパン」 可愛い笑顔で六回目のメロンパンを言ってしまった。


ついに、メロンパン時間が六回来てしまったので、一時間が立ってしまった。可愛い寝顔を一時間もじっくりと見るというのはこの先の人生でたぶんないだろう。この上ない幸せを味わうことが出来て、僕自身うれしく思っている。

だけれども、これが何回も続いていくことになるんだとしたら、すこし話は変わってくる。確かに相手はメロンパンとしかつぶやかないメロンパン病患者で、いってみれば無抵抗の女の子なのだが、その無抵抗さにつけいって黙って顔を見ているとなると、自分自身、心の中が罪悪感で満たされてしまうことになってしまうだろう。

それだけは一番避けなければいけない。それだけは、人として、生きるものとして避けなければいけないんだ。


だけれども、彼女を放って置くわけにはいかないし、そろそろ彼女を起こして……


「メロンパンだよぉ~……」


こんなに可愛いのに、こんなに可愛い顔を寝続けさせていたら見れるのに、それを壊してしまうのは、それこそ人として、生きるものとして、それよりも男として避けなければいけないのではないだろうか?


男は、男というのは本来何かの目的のために生きているのではない。男とは本来、欲望のために生きているのだ。

自らの欲望のみに生きる。それは、素晴らしいことであり当然のことだ。

 だからこそ、僕はみずからの欲望に忠実にならなければいけないのだ。


 「ごめんな、もう少しだけ待っていてくれ」

 

 とりあえず、そうメロンパン少女に言ってしばらくそのままの状態を維持することにした。少しだけメロパン少女がうなずいたような気がしたけれども、全くの気のせいだった。

 気のせいというのは、何もすることがないから、何も考えることがないから現れてしまう幻覚のようなものだ。それを解消するには、やらなければいけないことを考えるということだ。

 そして考えるべきことは、次に何をやるかということだ。

 この部屋には本当に何もない。だからこそやることを作るというのも、とても重要なことだ。そこで、やることを作ることにした。


 ここでやることといってもここではスポーツもできないし、ゲームをすることもできない。改めて考えてみると、今僕はかなり危機的な状況に置かれている。確かに、可愛い病人と一緒にいられるのはうれしいけれども、この部屋には窓もドアも何もなかった。もちろん、道具もね。

 だけども僕とこのメロンパンがこの部屋にいるということは、どこからか運ばれてきたことになる。つまりはこの部屋にある扉を使っては言ってきたと考えられるのだ。もしかしたらワープゲートを使って運ばれたという可能性もあるけれども、それはあまりにも非科学的だ。


 とりあえずは隠されている、隠し扉を見つけることに力を注ごう。


 「メロンパン!」


 今度は彼女が力強く寝言を言った。これで3メロンパン時間かな?

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