第8話 ギルド到着!


「素晴らしい目標ですね。応援しています。頑張ってください。」

「おう、ありがとう!」

「いえ、ではこちらがジャイアントボアの牙になります。」

「あぁそれか、ありがとう。」

「いえ、これで期待の新人とのコネクションも取れますので。ね?」

「強かだな、参った。これからも頼らせて貰うよ。」

「ありがとうございます。それでは、ギルドの方に挨拶に行くのですよね?」

「うんそうだよ!何から何までありがとね!ちょっと騒ぎにしちゃったりもしたけど大丈夫?」

「えぇ、勿論。むしろ問題を起こさない冒険者はいないかも知れませんよ?」


笑顔で語る。きっと経験が豊富なのだろう。今度はメリナに向かい、


「アルカディア、ですね。ちゃんと覚えましたよ。これからの活躍に期待しています。」

「え!あ、あのぉそれは...」

「あぁ当然だろ!忘れたくても忘れなくさせてやるさ!」

「えぇ、そうよ!すぐに有名になってやるわ!」

「ふふふ、楽しみにしていますね」

「そんじゃーありがとなー」


手を振り受付嬢と別れる。少し感動的な別れになってしまったか、次に会うときに少し恥ずかしいかも知れない。舞い上がり過ぎたと少し反省する三人。


「んじゃあ、気を取り直して、メリナ道案内頼むぞ!」

「はい!任せてください!」

「そう言えばなんだけどさ、私達勝手に入ることになっちゃったけど大丈夫なの?」

「ギルドですか?大丈夫ですよ!みんな優しいし、お二人は歓迎されるはずですよ!」

「あんなこと言った手前、入るななんて言われても引き下がれねぇな。」

「すでに稼ぎもあげてますし大丈夫ですよ!あ、この角を曲がれば見えますよ!」

「お、そろそろなのか、」

「はい!あれです!あの奥の!」


見えてきたギルド、アルカディアは周りの建物よりは遥かに、大きかった。


「弱小の噂より立派で綺麗じゃねーか?」

「思ってたより全然かっこいいんだけど、本当に大丈夫かな?」

「見栄えだけは完璧ですから!」


そこは誇るところじゃない。二人は思うが口にはしなかった。

そしてギルドに到着する。


「セントラルには負けるけど、でかいな」

「じゃー入りましょう!」


メリナが扉を開ける。


「今戻りましたー!」

「うん、お帰りー。おや?そこの二人はお客さんかな?」


返事を返したのは大きなパーカーのような服を着てフードを深く被っている小さな少女だった。


「二人はギルドの加入者ですよ!」

「ふーん。どこの?」

「アルカディアです!」

「アルカディアねぇ~。...それってうちじゃない!?」

「うちです!」

「本当に!?本当に!?」

「本当です!セントラルにも申請しました!」


ゆっくりゆっくり、まるでゾンビか老婆のような足取りでメリナに詰め寄った小さな少女はメリナに確認をとると、バッ!と二人の方へ振り向く。


「...本当だ。このギルドを世界一にするとも宣言してきた。ハルトです。」

「私も今はなんの力も無いけど絶対に有名にしてみせるって。トーマです。」

「ふ、二人も、こんな、若い子達が、ありがとう!ハルトにトーマだね!」


どうみてもあんたの方が若いんじゃ?てか、幼いんじゃ?と。またも二人の思考が重なる。


「メリナ!」

「はい!」

「よくやったね!ありがとう!」

「いえ、感謝は二人に!あ、あと、ハルトさんが近くの森でジャイアントボアを倒しまして、銀貨25枚で売ってきました!」

「銀貨25枚!スゴいな!今日は宴だ!...ってジャイアントボア!?何で倒したのさ!」

「素手だ。」

「素手!?殴ったとでも言うのかい!?」

「殴った。」

「メリナ、彼はあれかな?バカなのかな?」

「事実なんです。ハルトさんの力はエグいのです!」

「エグい!?メリナがそんな言葉を使うなんて!」

「ほら、証拠あるぞ」


と言って、牙を少女に放る。


「...大きい牙だね。これはまちがいない!

ハルトくん!このギルドに来てくれて本当にありがとう!」

「おう!そんじゃ俺らのことは認めてくれるかな?」

「あぁ、当然だ!スルタナもそれで良いよな!」


どこかにそう呼び掛ける少女。すると、カウンターのような場所から美人が出てきた。背の高い綺麗なおねぇさん。と言ったところか。美しい部類の、上位には位置するだろう。背中に伸びた茶色の髪を毛先だけ結んで纏めている。


「えぇ、問題ないわ。とゆうか、むしろ大歓迎でしょう!これからよろしくね。ハルトとトーマ。私はスルタナよ。料理を作ったり、まあ、たまに戦うわ。他の面倒ごとの対応も私ね。」

「二人ともよろしく!ボクの名前はアルマ。召喚士だよ!」

「あぁ、よろしく!」

「よろしくね!」


自己紹介と挨拶が終わったところで本題へと入る。


「んじゃあ、取り合えずこの世界と、この国と、その他のことについて教えてほしいな」

「わかりました。それでは...」

「この世界?」

「あぁそうでした。二人は異世界人なのですよ。」


そして、スルタナとアルマへの説明が始まる。本題に入れないハルトとトーマは、またか、と苦笑する。




「そんなことがあるんだね。じゃあ今日この世界にきて、ジャイアントボアを倒して、と大変な一日だね。」

「かなりの高度からのスカイダイビングも忘れないでくれ。」

「召喚士のボクでも始めて聞いたよ。」


メリナは召喚士と自称するアルマに暖かい目を向ける。それにハルトとトーマは気づいていない。


「では、やっと本題に入れますね!」


やっと来た本題に、待ってましたとばかりに二人は食いつく。


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