第3話 桃色さん。
「さあ、それは俺も今考えてたんだけどな。どーしたもんかなー...ん?」
と、完全に調子を取り戻したハルトは異変に気づく。
「なに?どーしたのよ?」
「ちょっと静かにするぞ。誰かくる」
ハルトの視線を追いかけトーマも同じ場所を見つめる。すると、
「今の凄い音はこの湖からでしょうか。なにか変わったことはありませんかね?モンスターとかじゃありませんように!うぅぅ」
肩くらいに長さの整ったふんわりとした桜色の髪の少女が肩掛けタイプの鞄を掛けて湖の様子を見に来たようだ。まだ二人には気づいていない。
「わぁ!すごく可愛い子が出てきたじゃん!ちょっと声かけに行こーよ!」
「そうだな。言葉が通じるのかも判断しとかないと。」
二人は桜色の髪の少女に近づき、
「なぁ、今の水の音は俺らが起こしたんだか聞きたいことはあるか?そんで質問していいか?」
「へ?わぁ!ビックリしたー!人がいたなんて気がつきませんでした。あの音はあなたたちだったのですね。あと、質問ですか。その前に聞きたいことがあるのですが、随分珍しい格好をされてるんですね。」
「あぁ、そういや制服だったな。俺たちは異世界から来たから異世界の服だ。で、俺の名前はハルト。こっちがトーマだ。よろしく」
「よろしくねー」
「はい。よろしくお願いします!!...って異世界からですか!?大事じゃないですか!ほんとなんですか!?でも見たことない服だし、いやでも、あ、髪が黒いのも珍しい。 うーーーん...」
「まあ、くわしく説明するとだな...」
ハルトは今日の成り行きを一通り説明する。
「そんなことがあったのですか!にわかには信じられませんが、こうしてお二人がいるわけですし信じざるを得ませんね。本当に犯罪者とかじゃないんですよね?」
「あぁ、断じて違う。そうじゃなきゃあんな音わざわざたてないしな。」
「そうですよね。では、お二人はこの世界について全く知らないのですね?」
「あぁ」
「何も知らないわ」
「そーですか、では!私たちのギルドでこの世界について説明しましょう!来てくださりますよね!?」
「ギルド?まずはその説明をしてもらわないとだな」
「ええと、そうですね。なんだか日常にあるものを説明するのは難しいですね。ずばり、ギルドとはそれぞれの職業の者たちが集まってできた集合体のようなものです!」
「人が集まってできてるって解釈でいいんだよね?」
「はい!私たち冒険者や、商人、生産、など様々ですが、主には冒険者の集まりですね。」
「それは冒険者全員の集まりなのか?」
「いいえそうではありませんね。冒険者のセントラルに加入し、冒険者となったものはソロで仕事をするものと、仲間を見つけ協力し仕事をするものに別れます。その仲間とよりコミュニケーションをとり、また仕事を受けやすくするための組織がギルドです。ギルドは誰でも作ることができます。」
「それは例えば俺でも?」
「ハルトさんは冒険者セントラルに属していないので現状ではできませんね。」
「冒険者はどんな仕事なの?」
「モンスター、魔獣、などと呼ばれるものを倒したり、護衛をしたり、採取したりと、言ってしまえば何でも屋ですね。モンスターの部位は買い取ったりされることもあります。基本は依頼としてセントラルから出されてるものを受けて報酬を得る形ですね。」
「なるほど、命懸けの職業なわけだ。いいね!」
「え?ちょっとハルト?私戦う力なんてないんだけど!?」
「まあ、なんとかなるだろ!」
「そうですね。では、お二人とも冒険者となったら私たちのギルドに来ませんか?」
「良いのか?言っちゃなんだが多分足手まといだぞ?」
「困ってる人は見逃さないのが我がギルド長の考えなので!」
「助かります。これからできることを見つけるつもりだったので仲間ができることほどありがたいことはないですよ!」
「いいえ、いいのです。フフフ」
「? じゃーそのギルドに行く前に1つ聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「なんですか?」
「桃色さんの名前は?」
「あぁ!申し遅れてました!私の名前はメリナです!どうぞこれからもよろしくお願いします!」
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