第18話 オレとオレとオレの殺人

それは、ある小さな居酒屋で起きた事件。


オレはもう我慢の限界だ。

目の前にいるヤツを殺したくて仕方がない。

こいつはいつも、オレの作った料理を不味いといって残しやがる。

その癖、酒をのむと暴言を吐くは、酔いつぶれるは、ゲロを吐くはで、どうしようもねぇ。今夜はもう我慢できない。こいつで、ヤツを一突きして殺してやる!


オレはもう我慢の限界だ。

目の前にいるヤツを殺したくて仕方がない。

こいつは、オレをいつも汚い目で見やがって、愛想も悪い。

どうせオレのような貧乏人には、早く帰って欲しいのだろう。

この前だって、モツ煮に髪の毛入ってたし、おでんに虫の足をワザと入れやがったんだ。今夜はもう我慢できない。こいつで、ヤツを一突きして殺してやる!


オレはもう我慢の限界だ。

目の前にいるヤツを殺したくて仕方がない。

こいつはいつも、オレの尻を撫でるしセクハラばかりしてきやがる。

そのニヤけた子汚い顔で見つめられると鳥肌が立つんだよ。

おまけに給料は安いし、こき使われるし、仕事はキツいしで最悪の環境だよ。

今夜はもう我慢できない。こいつで、ヤツを一突きして殺してやる!


その30分後、事件は起きた。

居酒屋にいた3人がお互いを包丁で刺し合い全員死亡。

その切り傷から、お互い相当の殺意が見られた。

現場検証を行っていた警察は、ほくそ笑んだ。


オレはもう我慢の限界だった。

こいつら3人を殺したくて仕方がなかったんだ。

いつもオレをバカにしやがって。ざまあみろ。           おわり

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