第15話 夢の中の夢
寝不足の男がいた。
男は夜中によく目が覚めてしまう。
また、夢の中でも、夜中に目が覚める夢を見て目が覚めてしまう。
また、夢の中の夢でも、夜中に目が覚める夢を見て目が覚めてしまう。
ある時、これはどうせ夢なのかと、横断歩道を赤で渡ろうとしたら、車と接触して軽いケガを負ったりもした。男は、今が夢なのか現実なのか、区別がつかなくなった。
これでは精神がおかしくなってしまうと思い、だれか知り合いに相談しようと、会社の同僚に尋ねてみた。俺は今でも夢を見ているのかと。すると同僚は、「そんなバカなことあるか。今は夢ではなく現実に決まっている」、と言われたが、ハッと目が覚めるとそれも夢だった。現実だと思っていたのが夢の中だった。また目が覚めた。これもまた、夢の中の夢だった。
男は仕方なく、病院に行って先生に相談した。すると、先生は「この薬を飲めば簡単に治りますよ」と黄色のビンに入った薬をくれた。男は、ほっと安心した。すると目が覚めて、それも夢であった。という夢を見た。
目が覚める。目が覚める。また夢の中の夢。の夢を見た夢を見た。 おわり
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます