第15話 夢の中の夢

寝不足の男がいた。

男は夜中によく目が覚めてしまう。

また、夢の中でも、夜中に目が覚める夢を見て目が覚めてしまう。

また、夢の中の夢でも、夜中に目が覚める夢を見て目が覚めてしまう。


ある時、これはどうせ夢なのかと、横断歩道を赤で渡ろうとしたら、車と接触して軽いケガを負ったりもした。男は、今が夢なのか現実なのか、区別がつかなくなった。


これでは精神がおかしくなってしまうと思い、だれか知り合いに相談しようと、会社の同僚に尋ねてみた。俺は今でも夢を見ているのかと。すると同僚は、「そんなバカなことあるか。今は夢ではなく現実に決まっている」、と言われたが、ハッと目が覚めるとそれも夢だった。現実だと思っていたのが夢の中だった。また目が覚めた。これもまた、夢の中の夢だった。


男は仕方なく、病院に行って先生に相談した。すると、先生は「この薬を飲めば簡単に治りますよ」と黄色のビンに入った薬をくれた。男は、ほっと安心した。すると目が覚めて、それも夢であった。という夢を見た。


目が覚める。目が覚める。また夢の中の夢。の夢を見た夢を見た。 おわり

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