第3話 黒さんにとっての白っち

お昼休み。

いつも一緒にご飯を食べる「面子」なんて者がいない私は、今日も一緒に食べてくれる人を探してる。

今は中庭。このまま見つからなかったら静かな中庭で食べようと思う。

…と、そこで見つけた。

私の狙いの人物。

「白っち★一緒にお昼食べよ‼︎」

静かな幼馴染と中庭でのお昼…。

楽しくなる予感しかない。

うふ…うふふ…うふふふふ…あはははは‼︎

「…どうしたの黒さん。気持ち悪い笑い方。」

…どうやら心の声が漏れ出てしまったみたい。

「なんでもないよ〜!って、あっ‼︎今、絶対、私の事「奇人」「変人」って思ったでしょ!」

「よく、わかったね。黒さん。」

ニヤリと幼馴染にしか見せないであろう笑みを浮かべている。

「今日、1人なのね、白っち。いつもの面子はどうしたの?」

「部活動やら、風邪やら、何やらで都合誰とも合わなかった。それより、黒さんは?いつも人に囲まれてるのに、僕と食べようなんて、」

「私には、いつも一緒の仲良しこよしの友達、いないから。」

「…」

白っちは黙って菓子パンをもそもそと頬張っている。

さっきと変わらない光景のはずなのに、何だか空気が重くなった気がして、

わざと明るく声を張る。

重いのは、嫌いだ。

「まぁ、『親友』って子他校にいるからいいんだけどねぇ〜?」

「ここにもいるよ。」

「え…?」

「僕にとっての『いつもの面子』って、黒さんもなんだけど、黒さんは、違った?」

「あは…確かに。私には、白っちがいたね‼︎

白っちたまにはいい事言う〜!」

嬉しくて、ふわふわした気持ちで、顔付きがいつもと違う気がする。

パン!と頬を叩く。

白っちは相変わらず静かだったけど、どうしてか耳が赤くなってて、思わず笑っちゃったんだ。

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