第5話 空が落ちてきた

空が落ちてきてる___


有り得ないような言葉だが、真兎の言葉は確かだった。今目の前で起こっていることを見るとそれ以外に例えようがなかった。



空が落ちてきてる__

正確には宇宙が縮んだというのか

無限に続く宇宙に限界がきたのだ

そして空はどんどん落ちてくる___



どうしていいのか分からず、周りの人はパニック状態で焦り出した。

周りのビルの大きいスクリーン画面にニュースキャスターが映った。

だが放心状態で何を言っているのか分からなかったが、“空が落ちてきた” “地球が終わる” “助からない”というワードが嫌でも耳に入ってきて血の気が引く。さっきまで暑くて汗が止まらなかったのに全身に鳥肌が立って寒気がする。

いつもと変わらない日常が続いてたはずなのに。



しばらくの沈黙の後、赤花がウソだろ…?と呟いて3人は正気に戻った。


「なっ何が起きてるの…!?」


真兎は混乱したまま翔鈴の方を向いた。


「っ…分からない…とりあえず落ち着け……」


暑さにも負けなかった翔鈴が汗を流していた。

今の言葉は皆にも、自分にも言い聞かせてる気がした。


「もう…助からないって……」


赤花もいつもと違う表情でポツリと呟いた。

普段ポジティブで明るい赤花では考えられないほど顔が青かった。


「バカ!大丈夫だ…!落ち着けよ……」


翔鈴も相当焦っているようでいつもは出さない大声で言った。


「翔鈴…どうするの…?」


真兎は泣きそうな顔で言った。

こんなこと翔鈴に聞いてもどうにもならないしかえって混乱と不安を招くだけだ。

しかし聞かずにはいられなかった。こんな状態に置かれたら誰だってそうなるはずだ。


「っ…どうするか…」


学年トップでも解らない問題だ。


「逃げるか…?」


「何処にだよ」


「警察に行く…?」


「行ってどうする…!」


赤花と真兎の提案を翔鈴は冷静に却下し、必死に頭を回らせた。


「まず…は…親…身内の生存確認だ…」


「けど携帯繋がらないよ…」


電波障害なのかケータイが圏外で繋がらない。

それは人々を更に混乱させた。


「…こうなったら身内の行きそうな場所を片っ端から探せ」


「離れるの…!?そんなの危険じゃ…」


真兎と翔鈴が言い合ってると赤花が腕につけている腕時計を差し出した。


「今から1時間後、別れて身内を探す。

で身内が見つからなくても1時間後必ずここに戻ってくること」


赤花が目の前にあるコンビニを指して言った。

こういうとき赤花は頭がよく回る。皆が焦る状況に陥るときほど冷静なのだ。

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