M.W.S.とAEGIS

1.M.W.S.の歴史

M.W.S.とは「Mobility Weapon System」の略称である人型機動兵器だ。西暦2160年に国連の機関が、「対テロを目的とした陸海空全てにおいて圧倒的な汎用性を持ち合わせる新型兵器を作れ」と言う命令を下したことが開発の始まりであったとされる。

だが、開発が難航したのみならず、西暦2180年から、石油資源の枯渇を機に始まった経済戦争をきっかけとして『最後の現代兵器戦争』とも言われる第三次世界大戦が勃発。それにより計画は中止され、かつプロジェクトリーダーの戦死などにより中断。完全に道を閉ざされたかに見えた。

だが、戦争終結後、現用兵器の限界を悟った各国が、このプロジェクトに対し積極的な資金援助や技術援助を行ったことで、一気に開発が波に乗り、2203年1月3日、実戦に耐えうるM.W.S.第1号機「M-01ピースメーカー」が完成する。

しかし、対テロを目的に掲げていたにもかかわらず、最終的には桁外れの破壊力を見せつけたことから、結局「軍用兵器」として採用された。

当初、一部から兵器としての効果が疑問視されていたが、2203年6月に起こったある国家間紛争に対し、M.W.S.を買い付けていた日本国防軍と米軍の合同部隊がM.W.S.を実戦投入、結果僅か一週間で紛争を鎮圧し、日米軍双方とも被害無しという驚異的な戦果を叩きだしたことをきっかけに、M.W.S.は次第に歴史の表舞台へと入っていく。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


2.AEGISの出現

M.W.S.が急速にその普及を伸ばしていた2209年、「アーク遺跡」が隆起する。ここで発見された未知の鉱石「レヴィナス」を、M.W.S.に採用できないかという技術者の考えを元にしてAEGISの開発はスタートした。

当初の計画では、レヴィナスを用いたM.W.S.を軽量化と重装甲化を両立させた底上げが考えられていたのだが、レヴィナスが「人の内に巡る力の具現化」、いわゆる「気」の特性を発見したことで計画は大幅に変更、その特性を最大限に生かしたM.W.S.の開発が行われることになった。

しかし、「力の具現化」をやるにあたり、通常のM.W.S.の持つバッテリー駆動では無理があった上、どう足掻いても操縦者の力を具現化させるには至らなかった。

そこでレヴィナスそのものをジェネレーターにすると同時に、パイロットそのものもジェネレーターに変えるという発想が生まれた。これが後の「マインドジェネレーター」と「イーグ」になるのである。

パイロットのジェネレーター化のために行われたのが、液状レヴィナスの体内への注入と、マインドジェネレーターへの「気」の送電システム「IDSS」の導入である。それにより、常に機体に気を送れるようにしたと同時に、IDSSの中に操作ユニットも組み込むことで操作の簡略化にも成功させた。またこの時、僅かにではあるが、身体能力の強化が認められたことが、後の「イーグ」の編成へと繋がっていくのである。

これと同時に「力の具現化」にも目処が立った。「気」を用いた兵装「オーラ兵器」が完成したのである。

これらを全て導入したM.W.S.が2256年、ついに完成した。それも、使用しているのは全て純正度99.9%以上のレヴィナス「ラインハイトレヴィナス」で固められた、超高級機である。

「神のような力を持つ機械の巨人」、故に機体は「XA-000機神きしん」と名付けられたが、あまりにもコストが高額すぎたこと、システムがM.W.S.と同等に見えても違いがかなりあることから、カテゴリーがM.W.S.の発展型に変更された。

そして名付けられたのが『Aura Employment Generator Installation System Equipped Mobility Weapon System』、AEGIS-エイジスである。

つまりAEGISはあくまでもM.W.S.の1カテゴリーにすぎないのである。これは3275年になった今でも変わりはない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


3.プロトタイプエイジスとエイジスとM.W.S.の違い

エイジスがM.W.S.と似て非なるものであることは述べたが、それ以外にも数多の違いがある。

現在のエイジスは「KL-クエネストレヴィナス」と呼ばれる人工的に再現されたレヴィナスを用いている。ラグナロク以降、アーク遺跡がなくなったことで、レヴィナスの採取が不可能になったためだ。

しかし、人工的に再現したとしても、再現度は65%がせいぜいであると同時に、M.W.S.の15倍もの高コストであるため、あまり配備には至っていない。

更には気を用いるシステムのため、操縦者の負担が桁外れに大きい上、マインドジェネレーターがどうしても持たないなど、実はエイジスはM.W.S.と異なり持久戦には向いていないのである。

そのため各国がエイジスをハイエンドモデルとしつつも、主戦力にはしないのである。

一方のプロトタイプエイジスは、レヴィナスの持つ自己再生能力や脅威的な気の伝導率などもあり、エイジスを遙かに凌駕する性能を持つものの、残存数が少ない、発掘してやっとこさ使えるという状態、なおかつ結局持久戦に向かないなどの難点もある。

つまり全ての兵器が一長一短なのである。

なお、M.W.S.の動力はフレームに内蔵された水素式の燃料電池となっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る